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6.シャンプーの残り香
ノア
私は、重い体を起こし、ベッドから転がり落ちる。
ノア
時刻はもう21時。 何分待ってもお兄さんが帰ってくる気配は無い。
頭にのしかかる「孤独」と「退屈」の文字がどうしてもきえなくて、 不安と喪失感に苛まれる。
退屈には慣れてるはず。 天界でも孤独と退屈にずっと悩まされてきた。
忘れようとして、何度もまぶたを閉じたけど、眠れない。眠れる訳がない。
私は眠る事を諦め、カレーを持ってお兄さんの部屋に入る。
昼に掃除した状態から何一つ変化のない部屋を見渡し、ベッドに腰を下ろす。
ノア
私は、無造作に畳まれた布団にくるまると、再びまぶたを閉じる。
心地よいお兄さんの香りに包まれ、なんとも言えない 幸せな感情が浮かんでくる。
ノア
ガチャッ
頭の遠くで鍵の開く音がした。
ノア
意識が途切れる。あまりに簡単に寝付いてしまうものだから、 気のせいだと思っていた。
優生
布団がめくられる。途切れていた意識が、覚醒したように目を覚ます。
翌朝
優生
優生
ノア
優生
そう言って私の頭を撫でるお兄さんからは、 私と同じシャンプーの残り香がした。
続く