瑠愛
(なんだかんだ考えてみたものの、特に何も思い当たらないんだよな)
部活が終わってもなお、私はそんなことを考えていた
何か、この事を見逃してはいけない気がしたから
瑠愛
う〜ん……
千切豹馬
あっ、瑠愛
瑠愛
あっ
少し遠くに綺麗な髪をなびかせる人影が見えた
瑠愛
なんか、ちょっとお久だね
千切豹馬
去年以来話してなかったからな
前の男の子……
千切豹馬くんとは去年同クラだった
そこそこ話す方だったが、今となっては他人とも言える関係だった
瑠愛
なんか懐かしいわ
千切豹馬
そんな前のことでもないだろ
瑠愛
まあね
千切豹馬
今帰り?
瑠愛
うん
瑠愛
そっちも?
千切豹馬
おう
瑠愛
尚更珍しいね
瑠愛
こうやって会うことないじゃん
千切豹馬
お前美術部だしな
瑠愛
舐めないでいただきたい
瑠愛
ところでお嬢はお一人ですか?
千切豹馬
今日は珍しく一人だな
千切豹馬
つーか、瑠愛にその呼び名使われると腹立つ
瑠愛
なんでそんな刺々しいのよ
千切豹馬
瑠愛だから
瑠愛
(謎すぎる……)
とはいえ、ここで会えたのもなにかの縁だ
きょとんとする彼には、少し付いてきてもらうとしよう
瑠愛
えっとね、確かこの辺だったはず……
千切豹馬
お前も大変だな
私は今日のことを全て彼に話した
どうでもいいような小さなことかもしれないけど
一応信頼をおいている人ではあるから
千切豹馬
てか、これ俺が来る必要あんのかよ
瑠愛
ありますよそりゃもちろん
私は今不登校になっている友達の家へと
千切くんと一緒に向かっていた
千切豹馬
俺あんまりあいつと話したことねえけど
瑠愛
私がぼっちに見られないために付いてきてもらってるから大丈夫
そういった瞬間、軽く肩を押された
千切豹馬
ほんとそういうところ瑠愛っぽい
瑠愛
そりゃ私だからね
千切豹馬
でも欠席人数が多いことといじめって繋がんないよな
瑠愛
まあほんの数人を集中攻撃するイメージがあるしね
瑠愛
だから正直、いじめを疑ってるわけじゃないよ
どちらかというと
欠席が多かったことでふと友達のことが疑問になっただけ
休みっていうのが、当たり前になってた
瑠愛
ただ、なんか見過ごしちゃいけない気がする
千切豹馬
もしものこともあるし、訪ねとくことは無駄じゃねえと思う
瑠愛
ちょっとトラブルの発端は潰しておかないと
千切豹馬
それに越したことはねえな
ピーンポーン
瑠愛
……なんか緊張するなぁ
千切豹馬
そんな気ぃ張るなって
瑠愛
そうよね
連絡にも返事はなかったから、会うのは久しぶりになると思う
だからか、少し緊張していた
瑠愛
……ワンチャンいない説?
千切豹馬
だとしたら、タイミング良すぎだろ
瑠愛
それか寝てるかも
千切豹馬
親くらいいそうなもんだけどな
瑠愛
(普通にいるんかーい)
千切豹馬
(こいつ会いたいのか会いたくないのかわかんねえ)
瑠愛
えっと、逢坂瑠愛です
友達の母親
ああ、瑠愛ちゃんね
友達の母親
まさかあの子に会いに来てくれたの?
瑠愛
ちょっと心配だったので
瑠愛
すみません急におしかけて
友達の母親
ううん、全然大丈夫よ!
友達の母親
ちょっと、瑠愛ちゃん来てるわよ
その言葉を最後に、段々と声は離れていった
瑠愛
……今の大丈夫だった?
千切豹馬
日本語としては割と
瑠愛
マジで良かった……
数分後
友達の母親
ごめんなさい、あの子無理そうだわ
瑠愛
無理って、会うのがですか?
友達の母親
ええ。本当にごめんね
瑠愛
いえいえ!
瑠愛
こちらこそすみません
瑠愛
では私はこれで失礼しますね
友達の母親
ありがとね
千切豹馬
まさかの結果だな
瑠愛
私あんまり友達じゃなかったのかな
千切豹馬
関係ねえよ
瑠愛
でも私と仲いい子皆んな学校来ないから色々きついんだよね
千切豹馬
そしたら瑠愛ぼっちじゃねえのか?
瑠愛
世一と廻
千切豹馬
あの二人と仲いいのか
千切豹馬
そういや、蜂楽がお前のことよく話すからそりゃそうか
瑠愛
ええ!?
なんか聞き捨てならない事を聞いた気がするけど……
瑠愛
(変なこと、話してないといいな)






