これは私が友人と高校生の時に体験した話です。
その日はクラスの日直の仕事で2人で遅くまで残っていました。
そして何気なく始まった怪談話です。
明理
あぁ〜。
すっかり遅くなっちゃったね。
弥生
そうだね。
先生も日誌の他に
色々な作業押し付けなくてもいいのにね。
明理
そうだよね。
お陰で外も真っ暗。
と日誌の他に色々と押し付けられたことに対して
色々愚痴を言い合っていた。
そしてしばらくして弥生からこんな話を振られた。
弥生
ねぇ、そういえばウチの学校から
少し行った所に『幽霊トンネル』って
呼ばれてるトンネルがあるの知ってる?
明理
幽霊トンネル?
そんな呼ばれ方のするトンネルなんて
あったっけ?
弥生
えー、明理知らないの?
ウチの学校内でそれなりに
有名な所よ?
明理
有名…ね。
弥生の話によると
そのトンネルの壁には子供の大きな姿が
7つ描かれていました。
ですが誰が描いたか分からずトンネルが出来た頃からあったそうです。
そして何とこの絵には変な噂があります。
噂というのは丑三つ時(2時から2時半)に
赤い車で入り走りながら数を数えると
絵の数が合わない事があるそうです。
絵の数が1人少ない6人だったら幸運に恵まれるが
それとは逆で1人多い8人だったら怖い目に合うそうです。
例えばある人が赤い車に乗って数えて6人だったそうで
しばらくして宝くじが当たり
ある人は数えて8人だった時は
帰り道に急に車のエンジンが止まり
バックミラーに幽霊の姿が写ったそうです。
弥生
それで、今話したところに
これから行ってみない?
明理
え、今から!?
弥生
そう。
明理
え…。
うそ…。
弥生
だって、ウチの学校で
噂になってるくらいだし
1度行ってみたいって思うじゃない。
明理
思わない。
絶対に思わないから!
弥生
怖がりだなー。
明理は。
それもそうか。
明理、霊感あるし。
そうなのです。
明理には霊感があり小さい頃から
色々体験をしていました。
なので弥生に誘われても
最初は断っていました。
しかし…。
弥生
明理一緒に行ってみようよ〜。
もしかしたら何も起こらないかもしれないじゃない。
明理
え、ヤダよ汗
行きたくない。
明理
仮に行くとしても
私達車持ってないじゃない。
しかも赤い車なんて。
弥生
それなら大丈夫よ。
明理
え?
弥生
私のお兄ちゃんが
丁度車持ってるよ。
弥生
随分前に免許取ったし。
明理
陸さんが?
弥生
そう。
よく出かけてるし。
まぁ、暇な時だけど。
明理
ねぇ、1つ聞いていい?
弥生
何?
明理
もしかして
陸さんの車の色って…。
弥生
赤だけど?
明理
うわ…。
マジか。
弥生が言った言葉に
明理は驚きました。
まさかこんなことってあるのかと…。
そして弥生に押し切られ行く事になりました。
ですが今日はもう遅く行けないので
後日学校が休みの時
陸さんに連絡してOKだったら
行く事になりました。
明理
まさか陸さんが
行くのをOKしてくれるなんて…。
弥生
ふふーん。
お兄ちゃん
今日は一日何もなく
暇してたんだって。
明理
まぁ、決まっちゃった事だし
仕方ないけど陸さんどのくらいで
来るの?
弥生
えーと、
後、10分くらいかなー。
弥生のお兄さんである陸さんは
高校を卒業して大学に上がる前に
1人暮らしをする為に家を出ていました。
高校時代からバイトしてコツコツ貯めたお金で
住むことにしたそうです。
ちなみに今もバイトしてるそう。
陸
いや〜
遅くなっちゃって
ごめんね、2人とも
弥生
何が遅くなっちゃってよ。
寝坊した癖に。
陸
無茶言うなよ。
俺、昨日遅くまでバイト
だったんだぞ。
明理
お、お疲れ様です…汗
陸
明理ちゃん優しー。
弥生とは大違いだわ。
こんな妹がよかったな。
弥生
何よ!
もう、お兄ちゃんの言う事
聞いてあげないんだから💢
陸
怒んなって笑
明理
ふふ笑
仲良いね2人とも。
弥生
どこがよ。
全く。
陸
それで?
どこ行きたいんだっけ?
弥生
忘れたの?
この間メールで言ったじゃない。
陸
そうだっけ?
で、どこだっけ?
弥生
全くもう…。
幽霊トンネルよ。
ゆ・う・れ・い
トンネル!
陸
幽霊トンネルだって?
何でそんなとこに行くんだ?
明理
え?
陸さん知ってるんですか?
陸
知ってるよ。
てか、詳しい。
明理
詳しいんですか…。
明理
でも、何で知ってるんですか?
弥生から聞いたんですか?
陸
あれ、弥生から聞いてない?
俺も、明理ちゃん達が通ってる
学校の卒業生だよ?
明理
え!
そうなんですか?
初耳です。
陸
そうなのか…。
弥生なんで教えてあげなかったんだよ。
弥生
べ、別にいいじゃない。
お兄ちゃんには関係ないし!
陸
まぁ、いいけど。
とにかく俺も卒業生だったから
よく知ってるよ。
俺達の時代も結構有名だったしな。
陸
でも、何で行く必要がある?
噂だけど結構危ないって聞いたけど。
弥生
だからよ。
噂かもしれないけど
有名な話だし行ってみたいって
思うじゃない。
仮に危なかったとしても。
陸
弥生は昔から1度決めたことは
絶対何があっても諦めると言うことを
しなかったよな…。
明理
そういえば、そうですね…。
弥生
何よ、2人して!
とにかく長話はここまで。
さっさと行きましょう!
毎日忙しくたまにしか帰って来ない
陸さんと再会し久しぶりの会話を一旦やめ
車に乗り出発することにしました。
しかし、この時ここで
行くのをやめておけばよかったと
明理は思うのです。
陸
うぁ…。
暗いな。
さすが幽霊トンネル。
陸
てか、今更ながら
聞きたい事がある。
弥生
何よ。
今更やっぱ帰ろうというのは
ダメだからね!
陸
分かってるよ。
2人とも両親には何て
言って出てきたんだ?
弥生
え?
明理
え?
陸
そりゃ、そうだろう…。
女子2人がこんな時間出かけるなんて。
いくら俺が居るからってさ。
明理
わ、私は
今日は弥生の家に泊まると言って
朝から弥生の家に来ました。
後はその弥生に合わせて欲しいと。
陸
そうなんだ。
偉いね。
で、弥生お前は?
弥生
明理の言う通り
最初はお母さんに
今日は明理が泊まりに来るからって
言ってその後はお兄ちゃんが今日久しぶりに
帰ってくるって言ってたから2人で今から迎えに行くって
言ったの。
弥生
最初は怒られたわよ。
こんな時間に出かけるんじゃないって。
陸
そりゃ、そうだ。
弥生
それにお兄ちゃんは車持ってるんだから
しばらくしたら帰ってくるんだからって。
陸
そうだな。
帰るつもりだったよ。
この前メールくれるまでは。
弥生
な!
さっきはそうだっけ?何て言って
とぼけてたくせに!
陸
あれは嘘だよ。
ああ言えばお前達は
諦めるかと思ってけど
現にここまで来てしまったわけだけど。
陸
それで?
結局何て言って家を出てきたんだ?
弥生
お兄ちゃんに会ったらすぐ帰るからって。
陸
そう言ったんだな?
嘘じゃないな?
弥生
何でこの状況で
嘘言わないといけないわけ?
陸
分かってるよって。
とりあえず母さんには連絡する。
連絡してないもんな?
弥生
え、今から?
もしかして今から帰るとか言うんじゃない
でしょうね?
陸
さぁな?
とにかく待ってろ。
と言って
陸さんは自分の携帯で
少し離れた所で電話をかけ始めた。
そして5分後
陸
母さんには事情を話しといた。
このままトンネルの中に入ってみよう。
もうすぐ2時だし。
弥生
え、帰らないの?
陸
どうして?
弥生
どうしてって…。
私はてっきり帰るのかと…。
陸
あぁ。
母さんには無事に会ったけど
今道が少し渋滞してて帰るのが
遅くなるって言っといたから。
弥生
お兄ちゃん…。
ありが…
陸
そのかわり
1つ貸しな!
弥生
は?
陸
普通ならそうだろう?
だから今度何か奢ってくれれば良いからな!
弥生
感謝して損した💢!!
明理行こっ!
明理
え、弥生!?
陸
え、ちょっと2人とも待ってくれよ!
冗談だからさ!
弥生
冗談であんな事
言えるか!
弥生は怒りながら
明理の手を引っ張って
スタスタと車の中に戻った。
陸
弥生、いつまで怒ってるんだ?
いい加減機嫌直せよ。
弥生
うるさい!
何が今度何か奢ってよ。
いくら冗談でも本当に許せない!
明理
弥生…。
弥生
あ。
明理は気にしなくても良いからね。
いつも兄妹の言い合いみたいなものだし。
明理
そうなの?
弥生
そうだよね、お兄ちゃん?
陸
そ、そうだな…。
と、とにかく中に入るぞ。
陸が入ると言ったので
時計を見たら丁度2時。
トンネル内に入るのは丁度良いタイミングだ。
弥生
お兄ちゃん、ゆっくり走ってね。
陸
分かった。
弥生
明理、右側の壁を見て。
確かそっちに描かれてたはずだから。
明理
うん。
明理
あ!
あれじゃない?
人の形の…。
陸
確かに、あるな。
弥生、間違いないな?
弥生
うん。
間違いないわ。
弥生
明理、一緒に数えましょう?
明理
え…。
私も?
弥生
そうよ。
2人で同時に数えてみないと
分からないじゃない。
明理
そてもそうか…。
わ、分かったわ…。
弥生
それじゃ、2人とも準備は良い?
陸
ああ。
明理
うん。
弥生
じゃ、行くわよ。
そして、陸はゆっくり進み
明理と弥生は口には出さず心の中で
数えました。
そして2分後。
陸
おい、どうだったんだ?
2人とも。
弥生
私は7人だった。
明理は?
明理
私も7人だった。
弥生
え、なーんだ。
明理も同じだったのね。
陸
やっぱりただの噂話だったのかな?
弥生
ねぇ、丑三つ時が終わるまで
まだ少しあるから戻ってもう一度
数えてみない?
明理
え?
まだやるの?
変化なかったのに…。
弥生
当たり前よ!
だって納得いかないもの。
陸
納得いかないって…。
俺はやめといた方がいいと
思うぞ。
後で後悔するぞ。
明理
そうだよ。
弥生。
陸さんの言う通りだと思う。
弥生
何よ、2人して…。
確かにここでやめといた方がいいとは
思うけどさ。
ここでもう一度確かめて噂が本当になるかもしれない
じゃない。
陸
ったく…。
仕方ないな。
弥生
お兄ちゃん?
陸
良いか、弥生。
もう一度チャンスをやる。
そこでさっきと同じで
何もなかったらこのまま帰るぞ。
弥生
何かあった場合は?
陸
その時はその時だ。
弥生
何よ、それ。
まぁ良いわ。
ありがとう、お兄ちゃん。
明理
…。
明理は本当は戻りたくなかったが
弥生にイヤな顔をさせたくなかったので
黙ってついて行くことにした。
そして元の場所に戻り…。
陸
じゃ、2人とも
もう一度行くぞ。
弥生
うん。
明理
はい…。
さっきと同様で
陸はゆっくり進み
2人は心の中で数えました。
そして次の瞬間…。
明理
え!
弥生
嘘よ!
陸
どうしたんだ、2人とも!
何人だったんだ?
弥生
…。
明理
…。
陸
何で黙ってるんだ?
明理と弥生は顔を見合わせて
同時にコクンっと頷いた。
そして最初に口を開いたのは
弥生だった。
弥生
私が数えた時は
8人だったの…。
陸
え…。
弥生
嘘じゃないわ…。
おそらく明理も私と顔を見合わせたということは…。
陸
まさか!
明理
そのまさかなんです。
何と今度は数えた人数が
さっきより1人増えていたのです。
そして何かを感じた陸は…。
陸
と、とにかくここから出るぞ。
大変なことになるかもしれない。
弥生
う、うん…。
そして、陸が車を走らせようとした時
急にエンジンがかからなくなり…。
陸
え!
どういうことだ?
エンジンがかからない!
明理
どういうことですか?
弥生
お、お兄ちゃん!?
何とかならないの?
陸
何とかってな…。
陸
うわぁぁぁ!
弥生
きゃあああ!
明理
イヤー!!
そしてしばらくして
3人は何とかトンネルから出ることが出来ました。
あれ以来あのトンネルには
行く事がなくなりました。
それから何週間か経ったある日。
弥生からこんな事を言われました。
弥生
ねぇ、明理。
明理
何?
どうしたの?
弥生
あのトンネルに行った時の事なんだけどさ。
明理
えっ。
私あんまり思い出したくないんだけど。
弥生
分かってる。
私だって思い出したくないもの。
でも、これだけは言っとかないとって
思って…。
明理
何を言うって?
弥生
うん…。
あの後明理を送った後のことなんだけど
家に着いた時に車のドアを見たらね…。
明理
うん。
弥生
手形がいっぱいあって…。
明理
え、マジ?
弥生
マジ。
それからお兄ちゃんとはこの話は禁句になっちゃってね。
明理
そうだろうね…。
弥生
明理はあの後からは
何か影響とかなかったの?
明理
影響…はなかったけど
でも…。
弥生
でも?
明理
聞きたい?
弥生
え、何を?!
明理
とりあえず
聞きたいか、聞きたくないか。
弥生
聞く。
実は車が急に揺れ出した時、
明理は見えていたのです。
真っ青な顔をした数人の幽霊の姿を。
けど、2人には見えておらず余計に怖がると
思い言えなかったのだという。
明理
…ごめんね。
言えなくて。
言おうと思ったんだけど
怖がると思ったから。
弥生
ううん。
気にしないで。
教えてくれてありがとう。
これからはああいう所に行くのやめようか。
明理
そうね。