君は何に見える？（完結済み）

レイを探し始めて6日目。武道は千冬と話しながら、また町を歩いていた。

ぼーっとしながら歩いていると、大通りの真ん中に人だかりが出来ていた。二人ともそれに気づき、人を避けて何があるのか見ようとした。前に行くにつれ、大人の男の怒鳴り声が聞こえてきた。

どうやら子供が男３人に怒鳴られているようだった。

子供の姿は武道達からは大人の影に隠れて見えないが、その声には聞き覚えがあった。

子供が煽りまくったせいで、大人３人が殺気に満ちているのを周りの人達は感じ取ったが、誰も止めようとはしなかった。その内警察が来るだろうと安心していたからだ。

大人の1人が子供に掴みかかった。それを見た武道と千冬は飛び出そうとしたが、その足はすぐに止まった。

子供が大人３人を倒してしまったからだ。本当に瞬きの間に人が３人倒れた。倒れたおかげで見えた子供は、

レイだった。

2人が状況を飲み込めずにいると、レイは倒れた大人の内ポケットから何かを取り出して、人混みの中に走り出した。

レイは女の人と別れると、大通りから脇道に逸れ始めた。急いで武道と千冬が追っていくと、どんどん人気のない方へ進んでいった。

さっきまで前にいたレイが背後から声を掛けて来た。

明らかにレイの顔色が変わった。

そう言うとその子は自身の髪を引っ張った。

ズルン

白い長髪の中から、黒の短髪が現れた。