私にはお兄ちゃんがいた。
昔、お母さんから聞いたことがある気がする。
私が物心つく前に亡くなってしまったけど、
野崎 栞
(引き出しに何か入ってる…)
野崎 栞
(手紙…?)
「大きくなった栞へ
お元気ですか?俺は栞のお兄ちゃんの颯です。 覚えていたら嬉しいな、
学校はどうですか?お兄ちゃんは勉強が苦手で、特に方程式! …あれは本当に分からない…
だから学校が嫌いです。…でも、給食で出るカレーライスが美味しくて好きでした。栞はあのカレー好き?好きだと一緒だね!
そう言う小さな楽しみがあるって素敵だと思う。 栞はこれから辛くなることがきっと来る。
そんな時はね、お兄ちゃんが話聞いたげる。 ほんとは栞といっぱい話したかったけど、もう出来ないみたいだね、
けどお兄ちゃんはずっと栞のそばにいるから。栞も小さな楽しみを見つけて。 これを栞が読んでくれていることを願います。
栞の永遠のお兄ちゃん、颯より」
野崎 栞
(…お兄ちゃんは、ずっと生きたかったんだ…)
野崎 栞
(なのに私はずっと死にたいって思って…)
野崎 栞
(ありがとう、お兄ちゃん。)
野崎 栞
(私、お兄ちゃんの分まで頑張るよ。)
野崎 栞
(…だから、これからも見守っていて。)







