テラーノベル
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あなた
悶々と考えている。 「おれのことも名前で呼んでよ」 時雨とは、主に晩秋から初冬にかけて一時的に降ったり止んだりする冷たい通り雨のこと。 単語の意味まで調べてしまった。
あなた
声に出して呼んでみる。時雨の顔が思い浮かぶ。
あなた
恥ずかしい。 とても恥ずかしい。
あなた
華子の本を読もうと紙袋を開いてみたら、A5サイズの分厚い本が入っていた。表紙はフルカラー。確かに時雨の絵だが、今よりも線が硬くて色使いもだいぶ違う。学生時代の時雨を想像してしまって、結局、読めなかった。 「京都土産」の方は、琥珀糖と、珊瑚色のネイルだった。可愛らしいピンクの色。時雨が自分のためにこれを選んだと思うと、もっと恥ずかしくなって、悶々はさらに深みに嵌まる。
あなた
ベッドに転がり、抱き枕を抱きしめる。あっちを向いたりこっちを向いたり。
あなた
横になったままスマホを操作する。 『具合とうですか』 すると、すぐに既読がつき、海の写真が送られてきた。その後、ひと言『佐渡』。佐渡――佐渡ヶ島。新潟県。
あなた
時雨
あなた
すると、通話がかかってきた。 一瞬ためらい、応答する。
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
そもそも嘘である。
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
その声音に笑みがこもった。目を細めて、きっと口角がきゅっと上がっている。 照れる。
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
だいぶ酔っ払っているような気がする。
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
口を尖らせるのが目に浮かんだ。 かわいい。
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
バタリという音がして、深い寝息が聞こえ始めた。
あなた
おかしくなって、先ほどまで悶々としていたのが嘘のように、楽しくて、抱き枕に力を込めた。
あなた
通話をつなげたまま、時雨の寝息を聞きながら、華子の同人誌を読み始めた。
コメント
1件
ああ〜もうこの話、尊すぎて頭抱えた!!🥺💕 時雨さんのこと名前で呼ぶ練習して悶々しちゃう主人公ちゃん、可愛すぎか??「無理ー!!!」って心の中で叫ぶとことか、まさに恋する乙女のそれだよ😭💖 佐渡から電話かけてきて「ねない」って駄々こねる時雨さん、ギャップ萌えがヤバすぎる…普段あんなに大人びてるのに酔うと甘えん坊になるの、ずるいわ。最後に寝息聞きながら同人誌読む流れ、エモすぎて語彙力飛んだわ…✨ たゆさん、毎回胸キュンシーンありがとうございます!!次回も楽しみにしてます🌸