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正方形の部屋の中に真っ赤な柱が立っていた。 その周りには8つのベッドが並んでおり、当然1人ずつ人が眠っている。
それらは部屋の床に描かれた不可思議な模様に合わせて円状に並んでいて、 男女はちょうど4:4。
まるで何かの儀式のようだった。
その中で、初めに誰かが目を覚ました。 それはちょうど、15ほどの少年だった。
ソラ
ソラ
当然だ、こんな部屋に見覚えはなかった。 壁は真っ白、床には金属で円状のレールが作られ、 真っ赤な柱に固定されたベッド。
そしてそのうえで眠っている男女。 わけがわからなかった。
ソラ
ソラ
とりあえず、少年は立ち上がってあたりを探した。 けれどもなにか見つかるものはなかった。
道具の一つも落ちていなければ、ポケットの中に入れていたスマホもない。
当然出口になりそうなものも見つからなかった。
ソラ
ソラ
確か、目が覚める前は普通に学校から帰っていたはずだ。 それから玄関を開けて、靴を脱いで、自室の扉を開けて…… 開けて、そこで。
そこで何かがあった、あったような…………
彼は何かを思い出しかけたが、そのわきでむくりと人が起き上がったので、 その先はどこかにすっとんでしまった。
ミオ
ソラ
ミオ
ミオ
そこまで言いかけると、彼女はあたりを見て言葉に詰まる。 どう見ても、自分の部屋などではないからだ。
ふるふると首を振って見回すと、今の大声にたたき起こされたのだろう。 ほかのベッドからも、体を起こす人影が見える。 太った男、細い男、老人。 金髪の女、たおやかな女、少女、赤ん坊。
そしてそれらは、めいめいの動きをはじめるのである。
ミオ
ソラ
レン
ナギ
さくら
シオ
リタ
ナギ
ナギ
部屋の中に、無邪気な泣き声が響いた。 たった一人、この部屋で言葉を知らない娘が使える、たった一つの言葉。
腹が減ったも襁褓を変えてくれも、まぜこぜにした言葉だ。 それはどこか落ち着ける音楽のように、聞こえてきた。
ナギ
ソラ
リタ
レン
レン
シオ
レン
レン
レン
その時、爆音が人間の胸の中から響いた。
Rule1 : Activated
さくら
さくら
ソラ
ナギ
シオ
シオ
シオ
金髪の女が、信じたくない目を彼女から背けた。 それがどういう意味を持っているのか、わからないわけではなかった。
ゴトリと斃れてまろびでるソーセージめいたものが、なんなのか。
赤ん坊以外の全員が、その恐怖について理解していた。
ナギ
ソラ
金髪の女は取り乱し、なんなのだこれはと発狂し叫んでいた。 何なのかなんて誰も知らないだろう。
けれど、人が死んだことと、 ガシャンと音がしたこと、 壁の中から扉が一つ現れたことは事実だった。
Room 2 : Activated
そしてさっきと同じ電子音声が、そう伝えた。
ナギ
ナギ
リタ
シオ
シオ
ソラ
シオ
ナギ
シオ
金髪の女が、走って部屋を出る。 それを追いかけるように老人が老体に鞭打って駆け出し、 それを追いかけるように、ふらふらとたおやかな女が歩く。 わずかにこちらを見て、ロングの女もそちらに向かった。
どうしようかと少年は迷ってから、 少女に気を確かに持ってくれとつぶやき、 赤ん坊を抱えて隣の部屋に、先の三人を追いかけることにした。
Limit 1 : Activated
そしてちょうど少女が扉を抜けたところで、 今度は逆にガシャリと扉が閉まった。
No.3 , No.8 : Eliminated
続いてアナウンスと同時に、またひとつ爆音が響く。 べしゃりと汚い音が、どうしてか壁の向こうから聞こえてくる。
それはずっと話にも参加しなかった細い男が爆散したのだと、 部屋の中の誰もが理解しただろう。 ぶるぶるとベッドの上で震えていた彼が死体になったのだと、 誰もが理解しただろう。
ソラ
ソラ
間違いなく、この部屋を作った人間は、 自分たちを殺しに来ている。
出られるのかは、わからない。 けれど、扉が開くのが、ルールの条件を満たしたからなのだとすれば……!