いつもと変わらない景色
斜め後ろの席で窓の隙間から 吹き出る風を感じながら、ただ呆然と黒板を見つめる
先生の饒舌で私語混じりの説明が 耳からもう片方の耳へと川の水のように流れていく
退屈で面白みのない 虚無の時間
ウザったい長い前髪がそこらに生えてる 雑草のように邪魔をしてくる
全ての授業を終え、帰りの準備をする
あともう少しでこの学校を離れると思うと 少し寂しい……なんて、そんな感情は湧き出なかった
ただ退屈な場所から また退屈な場所へと移動するだけ
そう思っていた
あんな事が起きるまでは
6月上旬
新しいクラスにも馴染み始めた頃
自分は新しい学校へと転向することになった
それを機にウザったい前髪と芋っぽい 髪をバッサリと切り
今までした事の無い新しい髪型へとチェンジし 身なりを自分の思う限りに綺麗にした
所謂、高校デビューと言うやつだろうか
とはいえ、自分はもう2年生 高校デビューにしては随分と遅い方だ
と、そんなくだらない事を考えながら 自分は目の前にある学校へと足を進めた
碕 輝弥(いしばし てるや)
碕 輝弥(いしばし てるや)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
碕 輝弥(いしばし てるや)
碕 輝弥(いしばし てるや)
碕 輝弥(いしばし てるや)
碕 輝弥(いしばし てるや)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
碕 輝弥(いしばし てるや)
碕 輝弥(いしばし てるや)
碕 輝弥(いしばし てるや)
ガヤガヤと扉越しに聞こえるクラスメイトの話し声
先生がついてるとはいえ、少し緊張してしまう
震える手を抑え、意を決して中へと入る
碕 輝弥(いしばし てるや)
先生の指示により クラスメイトの声が徐々に鎮まっていく
碕 輝弥(いしばし てるや)
碕 輝弥(いしばし てるや)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
シン……と、したままと思いきや 一気に教室内に拍手の音が響き渡る
中には雰囲気を盛り上げてくれたり コチラに向けて、声をかけてくれる人もいた
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
転校早々、虐めをされるなんて事がなくて良かった
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
指定された席に座り、授業を受ける
何故か前の学校と比べて授業が楽しく感じた
転校、という初イベントをこなした 高揚感によるものだろうか
どうせこの熱も直ぐ冷める
だから、その熱が冷める前に 何かイベントを発生させねば
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
ポンッ
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
肩を叩いてきた人物はそういい ニカっ!と白い歯を見せて笑った
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
そう言うと遥里は手を前に出し 握手をしようと言わんばかりに手を広げた
自分はそれに答えるかのように 手を差し出し、遥里の大きな手をギュッと握った
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
ダチ、という言葉を聞いた瞬間 自分の中で何かが弾けた
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
それはきっと殻を打ち砕き、新しい刺激を孵化した音
もしかしたら、きっとここには 自分が求める最高の刺激が待ってるのかもしれない
そう思いながら、手招きをする遥里の元へと向かった
帰りのホームルームを済ませ 遥里と共に下駄箱へと向かう
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
学校の案内をしてもらった時 代わり映えのない景色と思いつつ
少し刺激の気配、匂いがした
学校という、勉学の溜まり場に 刺激の気配がするのならば町はどうだ?
勉学だけじゃない、学校では学べない 見る事が出来ない、体験することが 出来ないものが腐るほどある
以前住んでいたとこは ここの町と違って田舎で、草が生い茂っていた
田舎が悪い、と言いたい訳じゃない 田舎にも田舎の良さがある 静かで落ち着ける心地の良い場所
でも今の自分は、心地の良い静かな場所より 少し騒がしい、心をざわつかせる場所を求めている
だからこそ、この町案内を逃す訳にはいかない
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
遥里が指を指した先には大きな絵画が飾られていた
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
その絵画は他の絵画とは違う迫力を感じた 何処か吸い込まれそうな
手を引っ張られて パクっ、と飲み込まれてしまいそうな
そんな恐怖を刺激を感じた
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
プツッ
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
いきなり照明がプツッ、と切れだし 美術館から光が消えた
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
ミシ……っ゛
ぎ……
ぃいいい゛……っっぅ゛
不快な軋み音が聞こえる
音がする場所に視線を向けると そこには先程見かけた『嘆きの花嫁』という絵画から 鋭利でドス黒い謎の手が額縁を力強く握り ミシミシと音を立てていた
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
グイッ゛ぃ!!!
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
手汗がブワッと溢れ出る 汗で遥里の手首を離してしまいそうになるが 離すまい、と力を込め遥里の手を引っ張りながら 後ろから感じる"底知れない恐怖"から逃げた
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
信じられない、という気持ちを顔全体で表してくる
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
出口を目指して、数十分
何処を歩いても行き止まり、出口じゃない 振り出し、スタート地点に逆戻り
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
ギし……っ゛
伯世河 遥里(はせがわ ようり)
嘆きの花嫁
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
嘆きの花嫁から、遥里を離そうと 手を勢いよく伸ばす
その瞬間
がぎぃ゛イ゛っぅ゛ん゛!!!
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
黒板を爪で引っ掻いた様な音が 反響して耳に入ってくる
鼓膜と脳に響き渡る不愉快な音 身体中に鳥肌が立ち、目眩がする
立ちくらみがし、膝から崩れ落ちそうになる
必死に足に力を込めようとするも 足が震えて上手く力が入らない
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
もう無理だ、と思い 床に身を任せようとした
???
???
???
槗來橋 徠刄(はしくばし くるは)
???
???
チャキッ
???
コメント
2件
ウハー!!!カッチェーーー!!! 貴方の小説の書き方、本当に好き 詳しい説明 マジ好き 遥里くん推せる いいこすぎる