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毎年 近くの神社で行われる夏祭り
私は今日 そこで好きな人と会う為に来た
わざわざ私を 誘ってくれた人たちもいたのに
それを断って１人で来た
ユカ
神社の裏にある 小さな祠(ほこら)
誰も寄りたがらない場所
ユカ
ユカ
ユカ
祠に向かって呼び掛ける
ソウくん
ユカ
振り替えると ソウくんがいた
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ユカ
ユカ
ユカ
ユカ
ソウくん
ユカ
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ユカ
ソウくん
小さい頃 私はひとりぼっちだった
でも 唯一友達になってくれた人がいた
それがソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ユカ
ソウくん
ユカ
ソウくんが言うには
ソウくんは
みんなの嫌われもの らしい
ソウくん
ソウくん
ユカ
ソウくん
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ユカ
ソウくん
ユカ
ソウくん
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ユカ
唯一の友達
ユカ
ユカ
ソウくん
ユカ
ソウくん
ユカ
ユカ
ユカ
ユカ
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ユカ
ソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ユカ
私は決めた
ソウくんに私の全てを捧げると
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ユカ
私は、ソウくんと手を繋いだ
大きくて プニプニしてて 私の手を包み込むような手
小さな古いアパート
ソウくんはそこに住んでいた
ユカ
ソウくん
ソウくん
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくんはトイレに入った
ユカ
ユカ
ユカ
私は古い紙を見つけた
解雇通知書
ユカ
ユカ
ユカ
ユカ
ユカ
ユカ
ゴミ箱からは 大量のまるまったティッシュが 溢れていた
ユカ
ユカ
ｶﾞﾀｯ
ユカ
ユカ
私はトイレの扉に耳を当てた
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
扉が開くと あの臭いと一緒に ソウくんが出てきた
ユカ
ソウくん
ソウくん
ユカ
ソウくんは いつもの優しい顔で笑った
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくんは奥にある扉を指差した
ユカ
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ユカ
ソウくん
ユカ
ユカ
そう言ってソウくんは 玄関から出ていった
ユカ
ユカ
ユカ
子供ながらに頑張った
落ちてるゴミをまとめたり
散らばった紙を整えたり
ユカ
ただ１つ気になった
ユカ
私が見たのは ソウくんが入っちゃダメだと言った部屋
でも 扉越しからも感じる臭い
私は 好奇心を押さえ切れなかった
ユカ
ｶﾞﾁｬ…
ユカ
ユカ
ユカ
私はその部屋の電気をつけた
ｶﾁｯ
ユカ
ユカ
さっきの部屋とは 比べ物にならないくらいの ティッシュの量
壁 天井 ベッドには
たくさんの
私の写真
ユカ
ユカ
ソウくん
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
幼い私は 謝ることしかできなかった
ソウくん
ソウくん
ユカ
ユカ
ユカ
ユカ
ソウくん
ソウくん
私が顔をあげると ソウくんはいつもの 優しい顔で笑ってた
ユカ
ソウくん
ソウくん
ユカ
でも ちょっと違う
ソウくん
ユカ
私を持ち上げ ベッドに乗せる ソウくん
ソウくん 笑っているのに
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
なんだろう
ソウくんの笑顔が怖い
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくんの息が荒い
ソウくんなの？
あなたは本当にソウくん？
私の知ってるソウくんじゃない
ユカ
ソウくん
ユカ
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくん
ソウくんは
体が大きくて 黒いTシャツを着て たくさん汗をかいていた
ユカ
警察
警察
警察
警察
ユカ
ユカ
私は10年前
夏祭りで誘拐された被害者の女児
昨日 あの家に警察が来た
《あの人》はとても驚いていた
ずっと私を離さなかった
警察の人に 取り押さえられるまでは
警察
警察
ユカ
ユカ
警察
警察
警察
ユカ
家に帰ると 義母は私を優しく抱きしめた
何度も何度も謝りながら
そんな義母に 私は何も言えなかった
その時 ちょうどテレビで そのニュースが流れた
「同意の上だ」
確かに間違ってはいない
私は あの人から逃れられたことを 素直に喜べない
苦痛だった 気持ち悪かった
とても嫌だった
けど 私があの時
あの人についていかなかったら
警察にも 義母にも あの人にも
迷惑はかからなかったんじゃ
そう考えるのは 犠牲者なのだろうか
今ならわかる
あの人の言っていたこと
あの人は
これからもずっと
みんなの嫌われもの
