「空中楼閣の船旅」
中編
…ギィィ
ギィィ…
登坂 悠良
柴崎 音緒
船のどこかが錆びているのか
それとも長年使っていて古くなってしまったのか
ギィィ…という音は
消えなかった。
登坂 悠良
さっきから話しかけて来なくなって
もう約10分ぐらいたったのかな…
登坂 悠良
何か喋った方が良いのかな…
登坂 悠良
登坂 悠良
柴崎 音緒
登坂 悠良
私が質問をするとすぐに笑顔で返事を返してくれた。
ほんの少しだけ
緊張が和らいだ気がする。
柴崎 音緒
柴崎 音緒
柴崎 音緒
登坂 悠良
柴崎 音緒
柴崎 音緒
柴崎 音緒
柴崎 音緒
柴崎 音緒
柴崎 音緒
登坂 悠良
登坂 悠良
登坂 悠良
どうせ、
死ぬだろう。
柴崎 音緒
登坂 悠良
柴崎 音緒
登坂 悠良
君から出た言葉は
自分では理解出来なかった。
自分の意思で
・・・ 死んだのに。
どうして生き返る選択肢があるのだろう。
登坂 悠良
柴崎 音緒
柴崎 音緒
柴崎 音緒
柴崎 音緒
登坂 悠良
君は悲しげに笑う。
胸の奥をえぐられた気がした。
確かに私は自分の意思で死んで…
けど…足も手も何の不自由もなくて
どこか病気があるわけでもなくて
怪我してるわけでもない。
ただ、自分が
「逃げたい。」
その言葉で、
自らの死を
望んでしまったんだ。
登坂 悠良
柴崎 音緒
柴崎 音緒
登坂 悠良
「お前なんて生きてる価値ねぇんだよ。」
「さっさと死ねば良いのに。」
「お前の居場所なんて」
「どこにもないんだよ!」
登坂 悠良
登坂 悠良
登坂 悠良
あぁ、頭が痛い。
どうして死んだのに
こんなに考えないといけないの?
柴崎 音緒
登坂 悠良
登坂 悠良
登坂 悠良
柴崎 音緒
登坂 悠良
登坂 悠良
柴崎 音緒
柴崎 音緒
登坂 悠良
柴崎 音緒
登坂 悠良
柴崎 音緒
柴崎 音緒
音緒は顔を歪めて言ったんだ。
まだ
まだ…
まだ
まだ…
まだ…!!
柴崎 音緒
どうして私に話しかけたのだろう。
そう思った。
だって、
私は「死」を受け入れて
死んだ。
でも、
君は「死」を受け入れられずに
死んでしまった。
私と
正反対じゃないか!
登坂 悠良
登坂 悠良
君は自殺はしていない事が分かった。
それなら、事故…? 病気?
登坂 悠良
柴崎 音緒
柴崎 音緒
柴崎 音緒
柴崎 音緒
笑顔を見せてくれるが、
微かに震えている。
登坂 悠良
登坂 悠良
柴崎 音緒
登坂 悠良
柴崎 音緒
登坂 悠良
登坂 悠良
私の気持ちなんて知らない君に
言われたくはなかった。
もう頭がパンク寸前だ…
登坂 悠良
登坂 悠良
登坂 悠良
登坂 悠良
登坂 悠良
もう何も聞きたくない。
私はその場を逃げるように彼に背中を見せた。
もう嫌だ…。
嫌だよ。
登坂 悠良
なぜか涙が溢れてきた。
登坂 悠良
月光に照らされながら
私の気持ちなんてお構い無く
船は進んでいく。
ドンッ!!
登坂 悠良
顔を隠すように歩いていたため
誰かにぶつかってしまった。
おじいさん
おじいさん
登坂 悠良
登坂 悠良
ぶつかった人は優しそうな
おじいさんだった。
おじいさん
登坂 悠良
登坂 悠良
あぁ、
バッジを見られたんだ…
そう思った。
おじいさんの左胸を見ると
青色のバッジがついていた。
登坂 悠良
おじいさん
登坂 悠良
おじいさんの優しい声は変わらず
「そうだよ。」と答えたのだ。
登坂 悠良
おじいさん
登坂 悠良
登坂 悠良
おじいさん
おじいさん
登坂 悠良
登坂 悠良
登坂 悠良
登坂 悠良
登坂 悠良
おじいさん
おじいさん
登坂 悠良
後ろを向くと、音緒は座ったまま
月に照らした自分のバッジを眺めていた。
登坂 悠良
そのバッジの色は
少し遠くても見える…
青色(病気)だった。
TO BE CONTINUED
コメント
40件
病気で死ぬのは自分にとって不本意だったりするから、受け入れるのは辛いよな… でも自殺って、自ら死を受け入れたことにはなるけど、逃げだけじゃない気がするから、悠良も音緒とはまた違う辛さがあるんやろなって思った。 考えさせられるストーリーやね。
音緒くんの気持ちもよく分かるな…
音緒は病気で死んだんや…。生きたくても生きられなかったから自☆☆☆た悠良ちゃんに三つ目の選択肢の生き返るを選んで欲しかったんだね…。でも他に自☆☆☆た人はおらんかったん?