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よし、国木田くん、ドスくんを〇しに行こうそうしよう いやぁ…でもドス桂…良いんだよなぁ…
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夜道。 僕は鞄を肩に掛け乍ら歩く。 12月、季節は冬。 真っ白な息を吐き出す僕の頬を、冷たい空気が刺している。 ふと、何かを思い出した。 「ケーキ取りに行かないといけないな…」 聖夜。 国木田さんと食べる為に予約していたケーキ。 僕は鞄を肩に掛けたまま引き返した。 其の時。 『お久しぶりです』 聞いたことのある声が耳を貫く。 「……ッ」 恐る恐る振り向いた。 『桂さん』 彼奴はあの頃と何も変わらない顔ぶれでそこに立っている。 どうして。 どうしてこんな事になったんだ。 『桂さん』 『探してましたよ。10年間。』 彼奴は呆気に取られた僕を横目に話す。 『貴方今……27でしょう?』 『遅すぎたのか、丁度いいのか……』 奴は手を顎に当てる。 悲しそうな目をしているが、真相は分からない。 この場から逃げなければ、と思った。 然し……足が動かないのだ。 僕はこの状況を打開すべく鞄から煙草用にと携帯していたライターを取り出す。 「それ以上……っ近づくな!!!」 僕はライターを奴の前に出した。 「之を叩きつけるとどうなるか…解る筈だ…」 『おや……爆弾魔としての素質も捨てていないのですか…』 そう。 ライターは叩きつけると爆発する。 雪も止んだ頃、やるには丁度良い。 僕が其れを振り上げた時。 『では…こうしてしまえばいいのです』 と。 僕の腕を掴み、そっと口付けをした。 「っ……!?」 嫌な記憶が蘇る。 感触。 それもあの頃と何ら変わらない。 気持ち悪い。 奴は僕の手を優しく握る。 カタン、とライターがアスファルトに落ちた音が響く。 呼吸ができない。 死ぬ。 そう思った矢先、奴は僕の唇を手放した。 伝う糸のような涎が厭らしい。 有り得ない程の気色悪さと受け入れ難い感覚が同時に存在している。 ここまで複雑な感情を抱いたことがあっただろうか。 僕は其の儘硬いアスファルトにへたり込んだ。 『貴方……27でしょう?』 奴はもう一度、僕に微笑み乍ら云う。 『セックス……出来ますね、合法的に』 その一言で僕は凍りついた。 そこまでしてこんな平凡な人間に執着するものなのだろうか。 今度こそ本当に危ない。 逃げねば。 腰は抜け、足は動かない。 腕の力も無い方だが僕は最後の力を振り絞って前進する。 眼の前にあった”何か”を、僕は手に取った。 「……ケー……キ……?」 僕が頼んでいたはずのモノがそこにある。 困惑している僕に足音が近づく。 背後から笑い声が聞こえる。 『ケーキ、取りに行っておきましたよ。』 「は………っ……?」 紛れもなく、之は僕の頼んだケーキである。 「お前……ッ!!!!」 『落ち着いてください。台無しになって仕舞いますよ、桂さん。』 僕は必死に彼奴の足を掴もうとしたが、華麗にケーキ箱の後ろに避ける。 此の儘では抵抗もできない。 身体が動かない。 完全に力尽きた僕を見下ろし乍ら、奴はケーキ箱をひょいと持ち上げ、恍惚とした表情で云った。 『之は一緒に食べましょう』 『其れと……ずっと探していた分……僕からの気持ち、受け取ってください……ね?』 最悪だ。 意識が遠のく。 御免なさい。 国木田さん。 駄目そうです。 貴方にショートケーキを渡したかった。 其れが最後に思ったことである。 END
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