あれから貴方は、
私に構うことが少なくなった
私
奏太
貴方が見ているのは、インターネット
………私の事、見てよ…
私
奏太
ひらひらと手のひらを振った
やっぱり貴方は、構ってくれない
致死量の愛なんて
迷信でしょ?
きっとそうよ、私、信じてない。
だから、今日は……いっぱい愛すね。
夜中
貴方の胸の中で私は眠る
日だまりみたいな暖かさに、安心する
貴方の唇に触れて
そっと語りかけた
私
私
寝ている貴方に、この言葉は届かない
今は………ね。
私
貴方の髪を撫でて、縋るように抱きついた
日だまりみたいな温もりが、私を伝う
愛を伝えたいだとか、
君に縋りたいだとか。
そんなことはどうでもよくて。
致死量ぐらい、貴方を愛したい。
私
貴方を強く抱き締めた
貴方の華奢な体が、軋むくらいに
奏太
早朝、貴方が起きた
夜のこと、貴方は何も知らないでしょ?
約束通り、愛してるって何度でも伝えるね
私
すると貴方は、鬼でも見たかのような顔をした
奏太
奏太
───え?
冗談でしょ?私のこと、分からない訳無いでしょ?
ねぇ、今日は沢山愛してくれるでしょ?
奏太
私
私
奏太が私を知らないわけ無いじゃない。
だって、私をあんなにも愛してくれた。
最近は違ったけど、ずっと愛してくれたでしょ?
奏太
戸惑うように、貴方が言った
まだ状況が理解できていない様子だ
私
私
きっと頭の中ははてなマークでいっぱい、という目で私を見た
奏太
記憶がないの………?
どうして………?
私
私
致死量の愛。
それは、とても切ない愛。
致死量以上の愛を受けると
その人を一生愛せなくなる───
奏太
私
奏太
えぇ、とても。
とても愛していましたよ。
私達は、愛し合っていた。けれど。
………もう、貴方は、私を愛せないのよ。
私
私
それは、優しい優しい、嘘。
致死量の愛を押し付けてしまった、
せめてもの償い。
奏太
貴方が俯いた
もう愛せないのだから、私が愛したってしょうがないじゃない。
そんな顔、しないでよ………
奏太
さっさと荷物を片付ける貴方の背中を見つめる
自然と目頭が熱くなって、視界が滲んで………
大きな雫が溢れた。
私
貴方に悟られぬよう、声を押し殺して泣いた
私は貴方を愛せるけれど
もう貴方に愛してもらう事は出来ないから…………
奏太
振り向かずに、貴方が言った
まもなく玄関が開く音がして、すぐに玄関が閉まった
私
過去形の愛に、胸が締め付けられる
誰もいなくなった部屋に、自分の声だけが響いて──
貴方への愛情が、哀情に変わった。
私
愛されない私だけど
哀してるよ。
完
コメント
282件
あ、言ってたの笑 うん、そうらしいね、
そだ、かなっち投稿辞めるのね
大丈夫(笑)