スマイル
いってきまーす
きりやん
行ってらっしゃ〜い
俺は今、滅茶苦茶幸せな方だと思う
希望した大学に行けて
そこでちゃんと単位も取れて
ある程度友達も居る
オマケに好きな人と両思いだった事が最近発覚し
只今同棲中
こんなにも上手く行く将来があるなんて
今までの俺は想像出来ただろうか
いや
出来ない
誰でも出来ない
よし。
最初の発言を言い直そう
俺は今、間違いなく幸せだ
だが
そんな充実し過ぎている人生を
神様は認めないみたい
ウーーーウーーー🚨
サイレンと泣き声がそこら中に響いている
あの爆破音から 一体何分が経ったのだろうか
損傷を負ったビルの正面駐車場には 何台もの救急車両とブルーシートが見える
<お母さん!ねぇ!お母さん!!
早くこの方を救急病院へ!>
<____により危険な状態です
正にカオス
色鮮やかなビル街は 悲鳴と混乱の渦に巻かれていた
俺は大勢の重傷者に紛れ
青色の床に横たわっていた
スマイル
ヒュー....ッヒュー....ッ
嗚呼
段々と呼吸が浅くなっている
意識もギリギリ
きりやん
あっ!!
きりやん
スマイルッッ!!!
あ、
きりやん
聞こえるか!?スマイル!!
スマイル
きりや..ん......だ
きりやん
そうだよ!俺だよ!!
きりやん
スマイル!分かるか!?
最愛な人に見守って貰えるなんて
最後まで幸せ者かも知れない
スマイル
きり...や...ん
きりやん
安心しろスマイル!
きりやん
もうすぐお前の番だから!
きりやん
救急員の人来てくれるから!!
きりやん
もうちょっと耐えてくれ!(泣)
スマイル
はは....
スマイル
あ..りが...と.....
きりやん
分かったから!もう喋らないで!(泣)
はは....笑
喋るなって言われちゃったよ
もっと感謝しとけば良かったな きりやんに
きりやん
無理しないでよ!お願いだから...!(泣)
スマイル
き....り..やん
でもごめん
まだ黙れない
きりやん
なんだよ....!!!もう...!!お前は.....
最後に一つだけ伝えたい
スマイル
だ..い...すき.....ニコッ
きりやん
ぁ......(ポロポロ)
この言葉を放った後
俺は静かに目を閉じた...