あれから 、いくつもの季節が過ぎた 。
私は中学に入学し卒業して 高校生になった 。
空き地はあの頃より草が伸び 、街の音が近くなった気がする
でも 、風の匂いだけは変わらなかった
中学の頃 、私は美術部に入った
それからはよく 、入部理由を聞かれた
その度 、「なんとなく」と笑って誤魔化してきた
ほんとのことは言わずに
その場で泣くのを防ぐために
本当はただ 、緑さんのいた場所に近づきたかっただけ 。
美術部に入ったのはいいものの 、絵を描くいつだって怖かった
自分の線が緑さんの線と違っていることを痛いほど知っていたし 、何より涙がこらえきれなくなりそうだから
特に高校に入ってからは周りのレベルが高くて 、
「絵が好き」という気持ちでさえ見失いそうになった
それでも辞めなかったのは 、10歳の誕生日に泣きながら抱きしめたスケッチブックが今も私の机の中にあるからだった
あの日からずっと眺めるばかりのスケッチブック
だけれど 、どうにも手放せなかった
ある日の放課後 、高校の美術部の部室の隅っこで1人 、絵を描いている時に先輩に話しかけられた
ドキッ とした 。
絵を描く時に怖そうな顔をしているのは気づかなかった 。
でも 、どこかでわかっていた気がする
自分がどんな顔だったのか
だからなのか 言い返せなかった
その言葉が図星だったから
※夜です
その夜 、あの空き地に向かった
制服のまま 、思い出のスケッチブックを抱えて
空き地は相変わらず雑草だらけだけれど 、サッカーか何かをして遊んだであろう跡が残っていた
いつも緑さんが座っていた場所は 、周りとは違う花が咲いていた 。
その場所がどうにも懐かしくて 、泣きそうになる
桃
返事は相変わらずない
でも 、風が吹いて私を励ましてくれているような気がした
私は持ってきたスケッチブックを開く
最後に書いた スイートピーの次のページは真っ白
そのページに 、初めて線を引いた
私もこれといってすごく絵が上手では無い
ただ 、描くものを見るのは得意になった
どんなものであっても
彼がよく描いていた 、そこら辺に生えている花を描く
描きながら涙がこぼれた
誰かが隣で見守ってくれてるような感じがする
きっと彼だと思う
1年はとても早く 、
緑さんが亡くなった歳にどんどんと近づいてくる
小学生だった私がようやく 。
時間は残酷だけど 、同時に救いでもあった
今の私なら彼の一番弟子になれるんじゃないか 。
ありもしないものが 、胸の中に芽生えた
𝓝𝓪𝓶𝓮 : 桜葉 くるみ 𝐞𝐭𝐜 .. : 高校時代の桃の先輩
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ?
期限がやばいです
最悪間に合わない
ごめんなさい
コメント
1件
ずっと感動…!