語り手
昔の話です
語り手
ある日、川から流れた桃が
語り手
どんぶらこどんぶらこと
流れて来ました。
流れて来ました。
語り手
これは大きい桃だと
川へ洗濯をしていた
ババアが大喜びし
川へ洗濯をしていた
ババアが大喜びし
語り手
早速家へ持ち帰りました
語り手
しかし、その時。
桃が大きすぎたのか
桃が大きすぎたのか
語り手
ババアはぎっくり腰に
なってしまいました。
なってしまいました。
語り手
ジジイは家でずっとゴロゴロ
していましたが
していましたが
語り手
婆さんが夜になっても帰って
来ない
来ない
語り手
心配になった爺さんは
爺さん
婆さん遅いのぉ…
ワシは腹が減って動けん
ワシは腹が減って動けん
語り手
と、助けに行くどころか
お腹が減って動けないと
動きもしませんでした
お腹が減って動けないと
動きもしませんでした
爺さん
仕方ない…この
きびだんごでも食べるか…
きびだんごでも食べるか…
語り手
そう言って、きびだんごを
3つ食べました。
3つ食べました。
一方その頃婆さんは
婆さん
あぁ…桃がぁ…爺さんや…
助けておくれぇ…
助けておくれぇ…
語り手
婆さんはまだ腰が痛いようです
婆さん
爺さん…桃を…
爺さん
こんな所で何をしているんだ?
婆さん
婆さん
婆さん
爺さん…早く…桃を…
今、あの岩に引っかかっておるから
早く取ってきておくれ…
今、あの岩に引っかかっておるから
早く取ってきておくれ…
爺さん
あの桃か。分かった
今取ってくるから待っとれ
今取ってくるから待っとれ
婆さん
ふふふ…
爺さん
婆さん、立てるか?
婆さん
ええ…張ってでも
帰りますね
帰りますね
爺さん
ワシは先に帰っておるから
地を這って家に帰って来なさい
地を這って家に帰って来なさい
語り手
そして、何とか無事に
家に帰って、丹念に研いだ包丁で
桃を真っ二つにしました。
家に帰って、丹念に研いだ包丁で
桃を真っ二つにしました。
語り手
すると、中から
婆さん
う、うわああああああ!!
爺さん
こりゃたまげたわい
語り手
皮膚がとても赤く
頭には立派な角が
生えているではありませんか
頭には立派な角が
生えているではありませんか
婆さん
爺さん…早くこの子どもを
頃して下さい…
頃して下さい…
爺さん
なにを言うとる。
見た目は鬼じゃが可愛いじゃないか
見た目は鬼じゃが可愛いじゃないか
爺さん
この子は、桃太郎と
名付けよう
名付けよう
語り手
こうして桃太郎は
すくすくと育ち
すくすくと育ち
語り手
大人へと成長しました
鬼
お爺さんお婆さん
婆さん
ん?どうしたの?
桃太郎
桃太郎
鬼
今までありがとうございました
爺さん
ついに…旅立って
しまうのか
しまうのか
鬼
はい…今までお世話に
なりました
なりました
婆さん
元気でな…
鬼
お礼がしたいので
こちらへ来てください
こちらへ来てください
語り手
鬼…ではなく
桃太郎はよく研いだ
包丁を持ち、家の裏へ
桃太郎はよく研いだ
包丁を持ち、家の裏へ
語り手
老夫婦を誘いました
語り手
そして
鬼
今までありがとうございました
それでは、美味しくいただきます
それでは、美味しくいただきます
爺さん
そうかいそうかい
婆さん
爺さん離れて!
この子はワシらを食う
つもりやぞ
この子はワシらを食う
つもりやぞ
爺さん
婆さん…ワシらはもう
死ぬんじゃ。
死ぬんじゃ。
爺さん
どちらかが先に死んで
悲しむより
悲しむより
爺さん
2人で一緒に死んだ方が
ずっと一緒にいられるじゃろ?
ずっと一緒にいられるじゃろ?
婆さん
…桃太郎や
婆さん
出来れば、痛くしないで
ワシらを……
ワシらを……
鬼
……
爺さん
ありがとう、桃太郎
鬼
こちらこそ。
鬼
おい!おめぇら!
飯だぞ!!
飯だぞ!!
語り手
なんと桃太郎は腹を空かした
犬、猿、きじを呼んで
犬、猿、きじを呼んで
語り手
爺さんと婆さんを
食べてしまいました
食べてしまいました
語り手
しかし…
鬼
うっ……
語り手
婆さんの異様なまでに
長い髪の毛を喉に詰まらせ
長い髪の毛を喉に詰まらせ
語り手
鬼…いや桃太郎も
命を落としました
命を落としました
語り手
このまま桃太郎が
生きていたと思うと…
ゾワッとしますね
生きていたと思うと…
ゾワッとしますね
語り手
犬や猿やきじは
元のご主人の所へ
帰りました
元のご主人の所へ
帰りました
桃太
あ、皆おかえり!
遅かったね
遅かったね
語り手
動物達は桃太も食べてやろうと
思いましたが
思いましたが
語り手
自分達が食われる方だと知るのは
そう遅くなかったのでした
そう遅くなかったのでした
語り手
めでたしめでたし