TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

第三話/だ れ

その美しい少年が通り過ぎると、なおきりくんは、ただひたすらに呆然としていて上の空だった。 肩を揺さぶってやっと気が付いたくらいだ。

Eto

どしたの?

Naokiri

あ、いや…

Naokiri

なんでもないですよ

Eto

そっか…

急にテンション落とすなよ いつもみたいにハイテンションになりなよ。 なーんて言えるはずもなく、私は荷物を抱えて部屋を後にした。

通り過ぎた彼は幸せの匂いがした。 やけにニコニコしたその表情は人を惹き付けるような笑顔で、つい目で追ってしまった。

でも、俺は見た。 もふくんが彼に笑顔を見せているのを。 無性に腹立たしかった。 初めて目にする笑顔はどこかぎこちないような、中身が無いような笑顔だったけれど…

悔しかった

Naokiri

Eto

なおきりくん?

Naokiri

…あ、はい?

Eto

どしたの?

Naokiri

あ、いや…

Naokiri

なんでもないですよ

Eto

そっか…

何とも言えないこの感情をどう説明しろと言うのだ。 1人で、勝手に悲しくなっているのが恥ずかしくて会話を流してしまった。

Eto

ま、早く済ましちゃおーよ

Naokiri

そうっすね

Naokiri

さっきの…

Eto

ん〜?

Naokiri

誰ですか?

Eto

ああ、あの子の事ね…

Eto

"どぬく"くん。

Eto

なおきりくんと同じ、二年生の子だよ

Naokiri

もふくんと親しいんですか?

我ながら阿呆な質問だと思う。 もふくんがニコニコしてたんだもの、仲良くない訳がない。 それでも、現実では無かったと信じている自分がいる。 だから、こんな質問を…

Eto

そうだね…仲良いかも

Eto

幼馴染らしいよ

Naokiri

ふ〜ん…

Eto

何、そんな不満たっぷりな感じ…私

Naokiri

いや…先輩より優しそうだなーと…

Eto

はぁ?!

Naokiri

いてッ!

Naokiri

暴力反対!!

Eto

レディは大切にしなさいって、小学校で習わなかったの?!

Naokiri

いやぁ、ちょっと…私

俺の頭を軽く叩いたその手は、あたたかくて愛をたっぷり含んでいた。 出会って数日の先輩とここまで仲良くなれたのは、自分でも不思議に思う。

もふくんとも心の距離を縮められたらな… なーんてね。

Donuku

もふく〜ん

Runa

あ、どぬくさん!

Noa

お、久し振り!

Donuku

お久し振りです!

Noa

もふくんをお呼びで?

Donuku

そうですっ!

どぬく君は根っからの人たらしだ。 きっと苦手な人にも優しくするタイプ…と私は分析している。 簡単に言えば"勘"だけどね

Mofu

どうしたの?

Donuku

んへへ、ちょっとね〜

Noa

じゃあ私達仕事やっとくから!

Mofu

ありがとうございます、

Runa

じゃあ、のあさん行きましょ!

どぬく君… 所々抜けている所が可愛いんだよね。 でも人付き合いは得意… その反対、もふくんは何でもかんでも完璧にこなすけど人付き合いだけは不器用。 二人で一人みたいな所があるかも笑

もふくんが笑ってくれるんだもの 彼がいればもふくんはきっと大丈夫。

半ば、それは祈りだけれど。

Mofu

で…どうしたの?

Donuku

ん〜…あれ、なんだっけ?

Mofu

え?

Donuku

あれ〜…あ!

Donuku

もふくんさ、転入生の…な、な…

転入生の「な」から始まる人… あの人か 一体何の用事だろう。 あまり絡むようなタイプではない気がするけれど…

Mofu

なおきり…?

Donuku

そう!

Mofu

…が、どうしたの

Donuku

俺ちょっと用事があってさ

Donuku

どこにいるか知ってるかなって

Mofu

…知らない

Mofu

多分その辺りを彷徨いてる

Donuku

そっか、ありがとう!

Mofu

うん。廊下は走らないでね…

Donuku

お節介はよしてよ〜

Mofu

…うん

そう言うとどぬくさんはこちらを振り向いて微笑んだ。 思い立ったらすぐ行動に移すところは昔から何も変わっていない。 子供の頃から、支えてもらってばっかりだ。 頭が上がらない。

一人でも複数人でも、どちらでも上手く生きていける彼が心底羨ましい。 なんだか、心が酷く冷たい。 雪山にたった1人で遭難してしまったような感じだ。

Donuku

…なおきりくんどこかな

もふくんやっぱ冷たいな なおきりくん(?)を探しつつ心の中で考え事。 「心開かれてるよね」って言われるけど全然そんな事ない。 俺が一方的に干渉しているだけで、もふくんから寄ってくる事はあまりない。

そもそも、彼の心を開くなんて出来やしないのだ。 開かずのこころ。 物語のセリフみたいだな笑

Donuku

全部、無かったことに出来たらいいのにな…

Donuku

全部、全部、初めから…

過ちも、罪も全部。

Donuku

あ、あれ…!

放課後

Eto

あれ、無いな〜

Noa

そんな本あるんですか?

Eto

ん〜、多分ある!

絶対無いよ〜 なんて、口が裂けても言えない… 見つけなきゃ帰れないのだから… くそっ!

Noa

えー

Eto

…ってかさ

Eto

どぬく君ともふくんって仲良いの?

Noa

そうみたい

Eto

もふくんの仲良しな子って珍しいよね

Noa

なおきりくんは?

Eto

あー…

Noa

どぬく君もなおきりくんもグイグイ関わりに行くってだけじゃないかな

Eto

一理ある

Noa

私達は一体どんなポジションなのか…

Eto

もふくん頼りになるからな〜

Noa

先輩より先輩してるよね

Eto

私達情けないぜ…

Eto

るなちゃんは後輩より後輩だけどね〜

Noa

それ言ったら怒るよー

Eto

ケーキで買収

Noa

え。私も買収されたい

Eto

ドMみたいだよのあさん笑

Noa

え〜そうですか?

内気なもふくんにも心を許せる人が現れますように。 でないと、もふくんが壊れてしまいそう。私には出来ることなんて無いから…

今はだた私とのあさんの幸せの詰まった笑い声が図書室に木霊していくだけ。 もふくんの姿など見えない。 彼の心など、もっと見えない。 せめて、彼の寂しげな空気を私達の笑顔で上書きして行ければ… なんて、思ってる。

【無愛想な生徒会長を振り向かせたい!!】🌷.👓

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1,127

コメント

15

ユーザー

物語書くの上手!! もふくん推しだから、もふくんのことを書いて くれるの嬉しいです! 次も楽しみにしてます!!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚