糸を断つ者達

【生徒証】

●●学園中等部2年A組9番

氏名　きんとき（14）

生誕日　✴✴年7月9日

住所　●●国▲▲街　□□__♢

【通知表】

国語　5

社会　5

数学　5

理科　5

英語　5

【担任から】　運動も勉強も得意とし、常に明るい素晴らしい生徒です。 誰に対しても優しく接しているので彼の周りには沢山の人が囲んでいます。 また、困っている人がいると常に助けにいくのでさぞかし勇気がある証拠ですね。

【クラスメイトから】きんときは勉強苦手な俺にも分かりやすく教えてくれるから勉強分かるようになってきた！あいつ優しいよな！

偽り少年

明るい日差し。今日は雲1つもない快晴だ

生徒）お！きんときおはよ‼

生徒）なあなあ、昨日の宿題どうだったか？あれムズかったわー､､､､

校舎に着いてまだ数十秒しか経ってないのにもう誰かに話しかけられた

だけどこれはいつものこと。直ぐ誰かに話しかけられるのは珍しくもない

生徒）あれどうやって解いたんだ？

生徒）あー、そういう求め方もあったのか！サンキュきんとき‼

生徒）またそうやって遠慮がちになるwきんときは本当にすげぇ奴だって！

褒められたときどう対応するべきかは分かる

そこはあえて喜ぶなどの反応をする

そうすれば人の思ったことを尊重していることになり不快な思いをさせないから

生徒）きんときぃぃぃぃぃぃ昨日の宿題の答え見せてくれぇぇぇぇぇぇ!!!

生徒）全然分からなかったから答え写したいんだよ､､､､

生徒）わぁー学年1位の優等生様が正解とは限らないと言ってるー

嘘。別に恥ずかしくはない

そういうことは何度も味わってるのでもうなんとも思わない

生徒）おいおい、このへんにしとけよ､､､､

生徒）それ以上言うときんとき困るだろ

生徒）『優等生』は普段から忙しくて疲れてるからさ

嘘。本当は自分でも認めている

まあ、自画自賛になるからそういうの言ったりはしないけど

生徒）いやいや学年1位にずっと君臨している時点でヤバイからなww

生徒）もっと自分を過大評価してもいいのになー

生徒）基準たっけ？！いやぁ､､､本当きんときは凄いなぁ､､

【授業】

先生）______

チョークが黒板にぶつける音はあまり好きじゃない

たまに先生が強調して音を出してくるし、単にうるさい

授業は基本静かだ。そこに大きい音が聞こえると殆どの人はその大きい音に着目する

そんな中で急に別の方から大きな音が聞こえると､､､､

ガッシャーン）

生徒）あ､､､！す､､すみません教科書落としました､､､

『､､､､』

殆どの人は別の方の大きな音に着目する

可哀想に。教科書を落としただけなのにこの空間にいる人たちに痛いほど見られるなんて

変な音を立ててはいけない、変な行動をしない、周りと違うことをしない

そのうちのどれか1つでも破ってしまえば、このクラスの笑い者へとなってしまう

俺からすれば授業は戦争だと思う

先生）ではここの問題､､､□□さん

生徒）へ､､､､分かりません､､

『クスッww』

やはり可哀想にしか思えない

だけどそれを今発言してしまったら、俺が標的にされてします

ごめんね、俺きみに同情することぐらいしかできないんだ

助けるような発言すると俺まで変に見られちゃうから

キーンコーンカーンコーン（チャイムの音）

先生）､､､､それでは授業を終わります

この地獄のような時間が6時間以上で週に5日

よく俺らそんな場所に来れるな

生徒）ふー、やっと授業終わったー､､､､

生徒）なあなあきんとき、次の授業ってなんだっけ？

生徒）げっ？！マジか､､､､

生徒）憂鬱過ぎる､､数学大嫌い､､

生徒）うっ､､確かに

生徒）う､､うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼やるぞぉぉぉぉぉぉぉぉ‼‼

生徒）うるせww

生徒）そうだな

生徒）つーか、きんとき大変だよなぁ

生徒）いやだってさぁ

生徒）きんときいつも怒ったりしないし

生徒）さっきの奴にまで鼓舞しているから

生徒）え、マジ？

生徒）何その発想乙女ゲームに出てくるヒロインか？

生徒）ちょ、それはキモ

生徒）ま、とりあえずきんとき

生徒）何か嫌なことあったら容赦なく相談していいからな

､､､､うるせえなぁ

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい

俺のこと何も分かんねぇくせに知ったかぶった物言い辞めてほしいんだけど

何あれよくあるゲームの主人公ポジみたいな台詞、かなり痛いんだが

ていうか、悩んでるとか一言も言ってないのに相談どうぞと言われてもなぁ､､､､

まあでもそんなことは決して人前で言っちゃいけないんだけどね

言うと相手傷付くし俺にも害がくる

それに､､､､

怖いんだ。失望されるのが

めんどいんだ。傷付けてしまうのが

嫌なんだ。嫌われるのが

受け入れて欲しいんだ。嘘でもいい、一人は嫌だから

認められたいんだ。こんなに頑張っている俺のことを

そういった気持ちからずっと誰に対しても偽りを見せ続けている

絶対、本心は心の内に留めないといけない

勿論それで本当の友達ができることはないけど

『本当の友達』なんて最初からいないに決まってるし

それだったら最初から偽りの友達の方でいい

本当の友達がいたとしても

俺はきっとその人に対しても本当の友達とは思わないだろう

自分でも知っているんだ

俺は誰も信用なんかできてない

信用なんかできれば偽りの仮面なんか着けることだってないのだから

､､､､

信用、したいのにな

､､､ああ、誰か

俺の身体の芯まで全て『嘘』になる前に

俺という存在が『偽りの仮面』になる前に

俺がというモノが『壊れる』前に

心から信じることをできる人を､､､､

『信用』できる人を､､