舞姫side
今日は新しい方のバイト先の給料日。 時給高いと良いなぁ。私頑張ったから。 あーあ、早くお金貯めて逃げなきゃだなぁ。
店長
名前を呼ぶから一人一人来てくださいね。
店長
△△さん、望月さん。
望月舞姫
店長
これからも頑張ってちょうだいね。
望月舞姫
望月舞姫
働いた分とあってないですよ。
店長
望月舞姫
振る舞いはしてない筈ですが。
店長
別室で、かぁ……。 まぁーしと契約した時の事思い出すなぁ…。 あの時は何がなんだか分かんなくて、 心が苦くて苦くて仕方なかった。
望月舞姫
店長
減給なんてされたと思う?
望月舞姫
私何かしちゃいましたか?
店長
此処は私の愛のお城なの。
望月舞姫
店長
私が「愛して」あげてるのよ!
望月舞姫
店長
私が愛せない子はいらないのよ。
ドロドロと、苦い物が私の心を 蝕んで行く。やばい、このままじゃ 駄目になる。どうしよう。
望月舞姫
なら今日限りでここのバイトを
辞めさせて頂きます。
店長
望月舞姫
他のバイト探すんで。
航side
浦田航
次のお客様どうぞー。
望月舞姫
浦田航
なになに、どうした?
望月舞姫
バイト先でトラブルあって。
望月舞姫
走って来たのか、肩で息をしながら 呼吸を整えていたえりるんは、 顔を上げて引き攣った笑顔を浮かべた。
浦田航
深くは聞かないけど……。
浦田航
疲れてるみたいだし、今日はもう休みな?
俺と志麻くんでも店全然回せるからさ。
望月舞姫
ありがとう御座います先輩。
浦田航
家寄っていい?久々に
坂田に会いたくなっちゃって。
望月舞姫
浦田航
望月舞姫
バイバイ、と薄ピンクのネイルが 施された手を振るえりるん。 彼女に手を振り返してから、接客に戻る。
浦田航
舞姫side
ガチャンッ
望月舞姫
せんちゃん?帰ったよ~?
折原清良
坂田明
望月舞姫
お知らせなんだけど、バイト終わったら
今日うらたさんうちに来るみたい。
坂田明
折原清良
望月舞姫
一緒に来るんじゃないかな?
望月舞姫
折原清良
白菜余ってたから俺が作った!
望月舞姫
何食べさせた?
折原清良
口に合わなそうだったから、
坂田と一緒にハンバーグ作ったで!
望月舞姫
坂田明
美味しかった~。まだ残りあるから
えりるんも食べてみてほしい!
望月舞姫
良かった、この二人と話すだけでも 心の中のドロドロが溶けて 無くなっていく。あぁ、幸せだなぁ。
望月舞姫
望月舞姫
話してないから……。
折原清良
望月舞姫
来たら玄関まで迎え行ってあげてね~。
坂田明
望月舞姫
槻川一里
おかえりなさいっ、えりちゃん……。
望月舞姫
槻川一里
ぐりゅぐりゅってなって、
苦しくて、怖かったの…!
望月舞姫
槻川一里
望月舞姫
どうしよう。一里ちゃんが 昔の記憶を思い出して来てる……? どうしよう、やばいやばいやばいやばい。 苦くて苦くて苦くて堪らない。
ピーンポーン♪
望月舞姫
望月舞姫
相川真冬
夜凪遼
入らせてもらって良いですか。
望月舞姫
やばい、どうしよう。 私と一里ちゃんの、甘くて幸せな、 ハッピーシュガーライフが終わる。