籠鳥恋雲

ふとした瞬間

急に虚無になる自分がいて

何も楽しく感じなくなって

全て投げ出したくなって

独りになりたい。

そんな時がある

何も我慢してる訳でもないし

幸せな日々を過ごしているけど、

時々すごく辛くなる

チャイムの音が鳴る。

ざわざわとしていた教室が徐々に静けていく

窓際から２列目の1番後ろ

先生の淡々と話す声に耳をすませながら目を瞑る

…

ほら、まただ

心のどこかがぽっかり空いたような感覚になる

ガタンｯ

私の左斜め前

窓際に座る男の子が椅子から落ちた

ぼーっとしていた感覚が この男の子が椅子から落ちると同時に冷めた

HRが終わり、

ひなとゆめはいつも通り教室で話してるだろう

でも

いつも私はこの時間独りになる

独りになりたい

この時間で私は1日が始まるんだと思う。

ひなとゆめといる時は楽しいし笑っている自分がいるのに、疲れてしまう自分がいて

そんな自分に腹がたつ。

たまたまだった。

本当に無意識だったけど、 階段をのぼって窓際へ向かおうとした時

上に気配を感じた。

この2ヶ月で名前知らないのは失礼すぎる。

…なんでここに居るんだろ

何かを悟ってるみたいな顔で話す君は

不思議で、でも全てが吸い込まれてしまうくらいに

自分の気持ちが溢れていた

…

なに言おうとしてんだろ

少し綺麗な顔をしてたから

かっこいいよねーみたいなノリで話せばいいのに

心が少し本気だから

冗談で言いたくない。

ぼーっとしてるんだ。

一緒にいる時でさえ変なとこ見せちゃうなぁ、。

申し訳ないな。

2人は優しいから。変に気遣わせたくないし。

こんなに虚無になってしまう自分がいるのは

高校に入ってからだろうか。

人ってそういうもんでしょ

今朝、何かを悟ってるような顔でけんしん君は言った

自分がまるで分からない。

本気で人のことを好きじゃない。

今のわたしは誰に対しても本気じゃないんだ。