柚月君は私を庇うように私の前に立つと背負っているリュックの肩紐を強く握った。
鳴沢 柚月
男2人は私から手を放すと柚月君に向き直った。好奇の目で柚月君を頭から爪先まで眺める。
__肩紐を握る柚月君の手が微かに震えているのが分かった。
きっと学校での辛い記憶が掘り起こされているんだと思う。それでも柚月君は男2人から目を逸らさなかった。
鳴沢 柚月
男はヘラヘラ笑いながらも強い力で柚月君を押し退けると私の二の腕を掴んだ。
柚月君は一瞬バランスを崩しかけたけど立て直し再び私達の間に割って入る。
鳴沢 柚月
男は大きく舌打ちした。
男は柚月君の肩を掴むと肘で思い切り突飛ばした。 今度はバランスを保てなかったのか、柚月君は地面に手を付いた。
山川 のぞみ
掴まれていた二の腕が解放された。 私が柚月君に駆け寄る前に、男2人が地面に手を付いたままの柚月君に歩み寄る。
柚月君の目に はっきりと怯えの色が浮かんだ。
男2人はそんな柚月君を舐め回すように眺める。もう私の方なんて見向きもしない。
山川 のぞみ
今度こそ叫んでやろう。 だいたいお姉ちゃんは何してるんだろう。この状況でも品定めを行っているのだろうか。
柴本 岳人
男2人が壁になっていて、柴本君が柚月君のすぐ後ろに立っていることに気づかなかった。
男2人が顔を上げて柚月君から目を離す。 私はその隙に柚月君に駆け寄った。
しゃがみ込んで柚月君に怪我が無いことを確認すると、頭上からまた柴本君の声が降って来た。
柴本 岳人
柴本君は眼鏡の位置を正すと小さく息を吐いた。眼鏡が日の光に反射して彼の表情を覆い隠す。
………なんか柴本君のキャラがいつもと違うような… ___と、思った次の瞬間
柴本 岳人
………ナンカ柴本君ノ キャラ ガイツモト違ウヨウナ…
私と柚月君がポカンとする中、柴本君はすっごい早口で「受け」だの「攻め」だのまくし立てている。
初めはあれだけ勢い付いていた男2人も
怪しい宗教団体からの勧誘を必死に断る人みたいになってた。男2人は けっこう本気のダッシュで去って行った。
___男2人が視界から消えたと同時に澪が息を切らして駆け込んで来た。
相原 澪
山川 のぞみ
山川 のぞみ
相原 澪
相原 澪
相原 澪
山川 のぞみ
相原 澪
のぞみの代わりに私が言ってあげる___ そう決意した私は柴本君を追って走り出した。
古い住宅街でようやく柴本君に追い付き声をかける。
振り向いた柴本君に私は先手を打つことにした。
相原 澪
柴本 岳人
柴本君は隠し立てする風も無くあっさりと認めた。
相原 澪
柴本 岳人
柴本君が指で頬を掻きながら苦笑した。
柴本 岳人
柴本 岳人
柴本 岳人
柴本 岳人
柴本 岳人
柴本 岳人
相原 澪
柴本 岳人
柴本 岳人
柴本 岳人
相原 澪
相原 澪
柴本 岳人
柴本君は蒸気した顔に満面の笑みを浮かべた。
柴本 岳人
BLとは「ボーイズラブ」の略で男どうしの恋愛を描いた物だ。 登場人物達は大きく「受け」、「攻め」と分類される。
意味は もう読んで字の如くで「される」か「する」かの違いだ。 受けや攻めもさらに細かく分類することが出来てBLは すっごい奥が深い___
___と言うようなことを超早口で説明され、今は「柚月×孝太」の可能性をハイテンションで演説中だ。 (※左に書いてある方が攻め)
そして意外とこれが聞いてて楽しい………って違う! 私はなんとか現実に帰還する。
相原 澪
柴本 岳人
柴本 岳人
柴本 岳人
柴本 岳人
柴本君はスキップしそうな勢いで来た道を戻って行く。私も のぞみの所に戻ることにした。
お土産屋さんがたち並ぶ通りに出ると____何やら のぞみ(、となぜかお姉さんもいる)が男2人に絡まれていた。
柚月君が間に入ったけど軽くあしらわれ押し退けられる。柚月君が一瞬バランスを崩す。
柴本 岳人
相原 澪
隣で柴本君がめっちゃ低い声で何か呟いた。なぜか眼鏡が反射している。
そして次の瞬間には新幹線のようなスピードで走り去った。
相原 澪
私も慌てて追いかけた。
へーそうだったんだ。柚月君の方に興味があったんだー。BLが好きなんだへー。
___と、簡単に納得出来るほど私は出来た人間じゃない。
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
私と 同じく口を半開きにした柚月君は うわ言のように「ベーコン」と「レタス」を呟いた。
相原 澪
相原 澪
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
柴本 岳人
ポツリと呟いた柚月君の言葉に柴本君がすっごい過敏に反応した。
「忍●ま●太郎」のお金が大好きな あの人並みの反射神経だ。
柴本君が「受けの尊さ」について柚月君に超早口で説明している。なぜか澪もウンウンと頷いている。
澪はナニカに染まってしまった。
__私の後ろに立っていた柚月君は柴本君の勢いに気圧されたのか、私の服の裾を小さく握った。
一通り語り倒した柴本君は今度はお姉ちゃんに向き直った。
柴本 岳人
柴本君はお姉ちゃんと しっかりと握手しその手をブンブンと振った。 珍しくお姉ちゃんが されるがままになっている。
お姉ちゃんの手を放すと柴本君は すっごい満足そうな顔で深呼吸していた。
何回も言うけど ナンカ柴本君ノ キャラガイツモト違ウヨウナ……
柴本 岳人
柴本 岳人
オマケ ~実は第1話以降1つもセリフが無かったK君の証言~
コメント
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柴本さん、こちら側の人間でしたか…… さすがにこれは予想できないです😇
え、え、なんか通知が来なくておかしいなって思ってたらこんなことになってました え、まじですか オチが斜め上すぎて想像も出来なかったです、てっきり岳人さん悪い人かと...() まあでもなごみさんの計画が上手くいかなくて良かったですね...! そしてモブ2人よ... ざまぁ (すみませんホントごめんなさい)
想像していたものと全く違う方向からの衝撃でした…!! 岳人さんがいい人でよかった… 本当にもう、本を読んでいるような感覚で何度も読み返してしまいました!✨ 次のお話も楽しみに待ってます🙌💕