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小相沢 彩奈(こあいさわ あやな
教室の窓際、春の光が差し込むその席で、
小相沢彩奈はにこりと笑って祐梨子を見た。
少し薄い色のロングヘアが揺れるたび、
柔らかい雰囲気が教室全体を明るく照らすようだった。
寺谷 祐梨子(てらや ゆりこ
寺谷祐梨子は肩までの濃い色のボブヘアを手で梳きながら、小さく笑った。
誰よりも自分の変化に気づくのが、いつも彩奈だった。
ふたりは、小学校からずっと一緒だった。
クラスも部活も、昼休みの場所も、進路の話まで───なんでも隣で話してきた。
小相沢 彩奈(こあいさわ あやな
小相沢 彩奈(こあいさわ あやな
寺谷 祐梨子(てらや ゆりこ
自然なやり取り、視線の交わし方、歩幅さえもぴったり。
“親友”なんて言葉では足りないくらいに、ふたりの距離はいつも近かった。
その日、担任が紹介した転校生の名前が、
ふたりの関係を少しずつ変えていくことになるなんて、まだ誰も知らなかった。
池内先生(いけうち
池内先生(いけうち
前に立ったその男の子は、静かで、少し大人びた雰囲気をまとっていた。
飾り気のない黒髪と、物静かな眼差し。
教室のざわめきが少しだけ止まったのを、彩奈は感じていた。
寺谷 祐梨子(てらや ゆりこ
祐梨子がぼそっと言うと、彩奈も頷いた。
小相沢 彩奈(こあいさわ あやな
それは、何気ない一言だった。
ただ、親友と“同じ人”を、初めて気にしてしまった瞬間でもあった。
───ずっと、隣にいた。
でもその距離が、これから少しずつ変わっていくことに、
まだふたりは気づいていなかった。
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