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ほしのいえ

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2024年02月14日

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長尾謙杜

......おなか、いたい...

謙杜が来て、二週間。 桜も散りかける四月、謙杜に学校の行き渋りが 見られだした。

朝になったら お腹が痛くなったり、 気分が悪くなったり、 頭が痛くなったりする。

学校を休む連絡をしてしばらくすれば治るんやけど...

慣れへん環境が与えてしまったストレスなのは確か。

でも... 謙杜は学校のことをあんま話さんし、駿佑もクラスが 違うから、学校の様子がはっきり分からん。

とにかく、本人が行きたくないと言っとるのに 無理矢理行かすのは嫌で、今日も連絡を入れる。

大橋和也

大ちゃんが今、
電話してくれとるからな

ソファーに丸まって寝転ぶ謙杜の隣に座って、髪を撫でる。

しんどいのが治ったら、休んでても家で勉強も ちゃんとするし、特別躓いとるとこもない。

丈くんと大ちゃんと話し合って、やっぱり人間関係が ネックになっとるんかな、って。

六年生ともなると、やっぱりクラスでグループも 出来とって...転校生は会話にも入りづらいやろうし、 入っても分からん事だらけ。

今はとにかく、休ましてあげることしか出来ん。

大橋和也

あ、流星ごめん
そこのブランケット
取れる?

膝の上で眠ってしまった謙杜は少し寒そうで、 でもブランケットには手が届かんくて、 リビングに入ってきた流星に頼む。

大西流星

ん、

大橋和也

ありがとう

少し大きめのスウェットを着た流星。

流星は... 触ったら消えてしまいそうで、ちょっと怖い。

その見透かしたような瞳が、 寂しくて消えてしまいそうな横顔が、 世界に希望を持てへんその表情が、

何処か、昔の自分を見とるようやった。

流星の抱えるものが、いつか流星を壊してしまわへんか、 怖くなる時がある。

でも、

大西流星

大橋くん、
大ちゃん知らん?

そんな流星にとって、大ちゃんは特別な存在。 良くも悪くも早く大人になってしまった流星が、 唯一甘えられる存在。

大ちゃんとおる時の流星は、年相応の顔をする。

大橋和也

今、謙杜の先生と
電話しとるんよ

大西流星

そうなんや

丈くんと大ちゃんが、俺にとっての希望であったように。

流星の生きる希望が、大ちゃんであればいい。

大橋和也

部屋戻るん?

大西流星

謙杜、起こしたらあかんし

大橋和也

流星...!

踵を返した、小さな背中を呼び止める。

大西流星

クリクリの大っきい目が、俺を映す。

大橋和也

体調、悪ない?

大西流星

別に
いつも通りやで?

長尾謙杜

...おか、...ぁ、...さ、ん......

謙杜の小さな手が、俺の服をギュッと掴む。

子供は母親が大好きで、 たとえどんな仕打ちを受けようが、無条件に 愛されることを願う。

大橋和也

お母さん、
好きやったんやろな

俺にとっても母親は、怖いけど、いい子になって 愛して欲しい、見て欲しいと思う人やった。

大西流星

......僕、やっぱり
部屋行くな?

ひらひらと手を振りながら、流星はこっちを見ずに 部屋に戻っていく。

___あぁ、やってしもた。

その刹那 頭に浮かぶ、 大ちゃんの表情、言葉、空気感。

西畑大吾

「流星に、母親の話は
せんとって」

西畑大吾

「......苦しむ姿は
見たくないねん」

母親の無条件の愛を追い求めること、 それが時に、母親自身も苦しめてしまうこともある、 ということを思い出した。

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