最後に愛した人

数ヶ月ぶりに会った元恋人は

記憶喪失だった

数日前

叔母さんは知らなかっただろうけど少し前まで連絡はとっていた。

ただ最近

喧嘩をした。

俺が悪い。

なんで連絡しなかったんだろう、なんで、なんで…

あれから数週間

迅とはまた友達として笑い合えるようになった

でも恋人だった事はまだ言えてない。

傷付けることはしたくない。それに、

もう恋人には戻らない方がいいのかもしれない。あいつだってきっと…

そう、思っていたのに

そんなはずない

迅が女と付き合う訳

でもそうか

最後に会話したあの日

俺達はもう…終わったんだから…

ｶﾀｯ

どうしよう

いや、もう考えるのが面倒くさい

俺はこいつが欲しい

些細な事だったと思う、親に孫の顔を見せたいだとか社会に認められたいとか

そんなくだらない事で、俺達の関係は崩れていった。

そうして今に至る。

迅は退院して、会いたいとかもう1回話したいとかLINEで言ってきたけど

ブロックした

間違ってたんだ、出会ったこと自体

迅には幸せになって欲しい。きっとあいつなら女の子とでも関係を築いていける。

俺なんかがいなくても…

ピンポーン

最悪だ、こんな時に限って家族皆出かけてる。

耳を塞いでも聞こえてくる。外に居るのにどんな大声出してんだ。

真冬に何言ってんだあいつ

都合のいい奴、

あれだけ俺を振り回しておいて。

でも俺だって同じだ

あの日、あの時、俺はこいつが欲しいと願った。

こいつのそばに居たいと思ったのは俺だ。

行かないと

また後悔する前に、

バダバタ

俺は扉を開いた

きっとこの人が、俺が愛する最後の人だから。