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今日の主
今日の主
今日の主
薄暗い部屋の中 kzはゆっくりと目を開けた 天井は見覚えがあるはずなのに どこか遠い場所の天井を 見ているような気がした 体が重い、息が浅い 胸の奥がざわざわと波立っていた
kz
思い出そうとしても 頭の中は白い霧に包まれている 昨日のことも、もっと前のことも "誰が” が自分を呼んでいたような気もするし 呼んでいなかった気もする そこで、kzは気付いた 部屋の空気が 前よりも冷たくなっている ゆっくり起き上がった瞬間 背中に鋭い痛みが走り 思わず息を呑んだ
kz
首筋に触れた手が、固まる そこには小さな痕が二つ 赤黒く残っていた 意味は分からない でも、ただの傷じゃないことだけは、体が本能で知っていた
廊下に出ると 家の空気が妙に重かった 沈黙が壁に張りついているみたいで、歩くほど息苦しくなる
台所の方で、誰かが動く音がした
kz母
"親だったはずの人"
けれど その目には驚きも心配もなかった あるのは、濁った恐怖と、拒絶だけ
kz母
kz
kz母
母の手が震えた 胸がひどく痛んだ 理由も分からないのに 涙が出そうになる
kz母
最後まで言わなくても 意味は伝わった自分が ”人間じゃない” と言っているのだと 靴も持たずに、kzは家を出た 追い出されるように、というより 逃げるように
夜の街は静かで、冷たかった でも、それ以上に 心の中の空洞の方が寒い 歩くたび 胸の奥がずきりと痛むひどい渇きと 体の奥の違和感は強まっていく
どうして? 何があった?
考えようとしても 霧がかかったように何も掴めない 明るい道から逃げるように kzの足は細い路地へと 吸い込まれていった この場所なら誰にも見つからない 誰にも
拒絶されない
心臓が早く打ちすぎて、息も荒くなる
kz
雨の冷たさが夜をさらに深くしていた 路地裏で膝を抱えるkzの肩に 容赦なく雨粒が落ち続ける 思い出せるものなんてほとんどない 名前______kz? そのひとつだけが かろうじて胸の奥に浮かんでいる
ぽっ、ぽつ、と落ちてくる雨が やがて激しく変わった瞬間 ____ぱさっ 頭上の雨音が一部だけ消えた 見上げると 黒い傘を差し出した少年が立っていた
rm
初めて聞く声 けれど優しくてどこか緊張していて まさに "初めましての距離" kzは思わず顔をそらす
kz
kz
ツンとした声 だけど、震えている 少年は困ったように眉を寄せる
rm
雨が服を重くする それが寂しさをさらに深くした kzは耐えきれなくなって 胸の奥にあった言葉をぽつりともらす
kz
kz
少年は一瞬、目を見開いた 雨の音の中で小さな息をのむ音が 聞こえるほどだった
rm
少年はkzにそっと目線を合わせる 確かめるように、でも優しく
rm
kzはびくっと肩を震わせた 自分でもその言葉を認めるのが 怖かったから
kz
少年はほんの一瞬だけ迷った あとまっすぐ 決意したようにkzに傘を寄せた
rm
rm
rm
初めて会った相手なのに その声は不思議と安心させる kzは涙でにじむ視界の中で 小さく問い返す
kz
rm
少年は少し照れたように笑った その笑顔がkzの心の奥 の氷を溶かしていく 肩に寄せられた傘の下で 少年はふと思い出したように言った
rm
rm
kz
rm
その瞬間 “少年”は初めて"rm"になり 2人の最初のつながりが生まれた ____記憶を失くしたるいと 手を差し伸べたはると この夜が、すべての始まり
コメント
2件
rmさんめっちゃいい人だ⋯ 今回も最高でした!続き楽しみにしてます!