けぺ
けぺ
ヨンイル
ヨンイルさんは玄関先で靴を履きながら振り返り、歩み寄ってきた。
するりと頬に手が添えられる
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんはにこりと微笑みをみせた
ギフン
ヨンイル
ヨンイルさんの手がこわばるのを感じた
ヨンイル
ギフン
ヨンイルさんの鋭い眼光に恐怖で喉が引き攣る
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
それだけを言い残し、ヨンイルさんは出ていった
扉を閉める直前、ヨンイルさんが隙間から顔を出す
ヨンイル
ヨンイル
バタン、と扉が閉まる
ドアの鍵がガチャガチャと念入りに確認される音が響く中、全身の筋肉が弛緩した
ギフン
ギフン
記憶を回顧し、こうなった経緯を辿る
何かの縁だと押し切られ、行動を共にしていた5人でヨンイルさんの家で晩酌をすることになった(ジュニさんは飲んでいなかったが)
ヨンイルさんに煽られ浴びるように酒を飲み、完全に酔い潰れた___目を覚ましたらこの家に監禁されていた
他の3人は帰ったのか、もう確認するすべもない。WiFiも通じず、玄関は外鍵でロックされ、窓は鉄格子が取り付けられている
ギフン
ギフン
ヨンイルさんは朝7時に出勤し、18時過ぎに帰宅する
ギフン
何の気なしに窓を見やった
ギフン
ギフン
カーテンから少し覗いた鉄格子。そのうちの一つの格子に僅かな歪みを発見した
ギフン
現実味を帯びた突破口に手を伸ばす
ヨンイル
背後から怒りを孕んだ低い声が響く
体中からどっと汗が噴き出した
ギフン
慌てて後ろを振り向く
……そこには誰もいなかった
ギフン
ドクドクと心臓が早鐘を打つ
ヨンイルさんへの恐れが精神を蝕んできているのだ。……早く脱出しないといけない
ギフン
荒い息を抑えつつ、よろよろとキッチンへ向かう
起きたばかりなのに既に疲労困憊だった
ギフン
食器入れにまとめられていたフォークのうち一本を掴む
ステンレス製のそれは、頑丈そうだ
これを歪みに差し込み、歪みを広げることができれば格子を外すことができるかもしれない
ヨンイルさんが毎日のように「絶対に開けるな」と念押していたカーテンをわずかに持ち上げた
フォークの先端を格子の隙間に差し込み、力を込める
ギ……ギィ……ッ
金属の擦れる音がする。少しずつ、根気強くフォークをてこのようにつかって歪みを広げていく
どのくらい経っただろうか、格子の固定ボルトがほんの僅かに浮いた
ギフン
試しに指先でつまもうと試みるがまだそれは不可能だった
先の曲がったフォークで更に作業を進める
ギフン
時計を見るともう17時を回っていた
カーテンを元通りにし、フォークをその裏に隠した
ギフン
ヨンイルさんに勘づかれないことを祈り、玄関に座る
こうして出迎えるとヨンイルさんは上機嫌になるのだ
無機質な時計の音だけが堆積していく
ガチャ
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイルさんは靴を履いたそのまま歩み寄り、額にキスを落とした
その顔はやはり喜色に満ちていた…… 内鍵をかけるのを忘れるほどに
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ゲームのときのヨンイルさんの面影がそうさせないのは、単に思い出を美化してそれに縋っているからなのか
この狂った愛の監獄からは逃げ出したい しかしヨンイルさんは傷つけたくない
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
朝、出勤するヨンイルさんを見送り作業を進める
夕方になって帰ってきたヨンイルさんを出迎え、ご飯を食べて、ヨンイルさんの腕で眠る
体に固く回された腕は枷のようで、夜間の行動は制限された
そんな生活を3日続けていたが、遂に…
ギフン
2本のうち1本のボルトが完全に外れた
あと1本だが、ボルトがフォークで取り外し可能ということを知った今、何の苦にもならない
ギフン
ヨンイルさんの顔が浮かんだ
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
変わってしまったヨンイルさんを正気に戻すためにも、自分は離れなくてはいけない
甘さを見せたらダメだ、と自分を持ち直し、再度作業に取り掛かった
けぺ
コメント
2件
やばいやばいやばい⋯‼️‼️‼️‼️私、監禁シチュめっちゃ好きなんですよ〜‼️‼️こんな素敵な小説を⋯有難うございます😻😻🫶🫶