幸せよ、届け~第3話~

俺と凜々はこれから検診へ向かう最中だった

どうせ同じ日に行くなら、一緒に行こうとなった

凜々は俺の隣を歩きながら、不機嫌そうにこっちを見た

正直今からなんてタバコをやめることはできねぇよ

でも、

思うことがない...訳じゃない

ただ

俺にはまだ考えるという力が足りなさすぎる

危ない吊り橋は松井先生と両親が絶対に渡らせてくれなかった

絶対の安全の箱の中で育てられた俺にはまだ

危ないことの危険性を経験したことがない俺は

“危険”と呼ばれるものの危険性を味わってないならば

今から味わなければわからない

俺は馬鹿なんだろう

経験しなければわからないんだから

俺を待っていてくれた凜々は心配そうにこっちを見ていた

凜々の頭をクシャクシャっと撫でても、笑顔にはならなかった

スタスタ歩いていく凜々の足はエントランスで止まった

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