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時は少々遡り、

ウミとスモーカーはプレゼントを見ていたが…

スモーカー

本当に欲しいもんねぇのか?

ウミ

おう!
特にねぇ!

スモーカー

…じゃあなんか食いに行くか?

ウミ

珍しいなぁ、お前が誰かを思いやるなんて

スモーカー

うるせぇぞ、ガキ

ウミ

ガキじゃねぇし!
てかガキって言った方がガキなんだぞ!

スモーカー

ほれ見ろ。
そういうとこがガキなんだ、自覚しろ

ウミ

なんだと!?

ウミがスモーカーを殴ろうとするがスモーカーがウミの額を抑えているため当たらない。

スモーカー

短い腕で頑張るんだな。

スモーカーは葉巻の煙をウミの顔にフゥ〜とかける。

ウミ

ケホッ!
くっせ〜、やめろよな!

スモーカー

なんか食いに行くんだろ?
何が食いてぇんだ。

ウミ

肉だろ?お汁粉だろ?
いっぱい食いてぇもんがある!

ウミが満面の笑みで言う。

ロー

おい

「「???」」

ウミ

あ!トラ男!

ローがウミの腕を掴み、早足で歩き始める。

ウミ

は?え?トラ男!?

それを見ていたイッカクは

イッカク

まさかあの子がキャプテンの想い人!?
可愛いじゃん!

スモーカー

チッ!
あの野郎!

スモーカーがイライラしている。

それからウミの腕を掴み歩いていたローが立ち止まり、ウミの方へ振り向く。

ウミ

ロー

なんでアイツと一緒に居た…?

ローが小声で問う

ウミ

え?

ロー

チッ!だから!
なんでアイツと楽しそうに歩いてたかって聞いてんだよ!

ローがイラついた口調で怒鳴る。

ウミ

は?
…お前には関係ないだろ?

ロー

関係ないだと?

ウミ

お前だって!
さっき知らねぇ女と歩いてたじゃねぇか!
それだって私には関係ないし!
…関係ない、し…

ウミが一瞬泣きそうな顔をしたが走り出した。

ロー

おい!ウミ屋!

ローはウミの名を呼びながら追いかける。

ウミは逃げながら"言いすぎた"と悔いていた。

そして10月3日

ウミの誕生日。

麦わらの一味の皆に祝われ、

サボ達"革命軍"

"キッド海賊団"

ガープ、スモーカー、たしぎ達からは電伝虫で祝われた。

そして夜になり、サニー号では宴が行われていた。

1度風に当たろうとウミは甲板へ出る

静かに風がウミの頬を通り抜けた後、少し強い風が吹く。

???

…遅くなった……

ウミの後ろから声が聞こえた。

そしてウミは振り向く。

ウミ

…トラ男?

そう、この間気まずくなったローだ。

2人の間に気まずい風が吹く。

ロー

ふぅ…

ローは1つ息を吐く。

ロー

…今日が誕生日だと聞いてなぁ

ウミ

え?

ローがウミにプレゼントを渡す。

ウミ

開けてもいいか?

ロー

ああ…

ウミがプレゼントを開ける

すると、

ウミ

これって…

ウミが帽子を手に持ち言う

ロー

前に帽子を欲しがってただろ。

ウミ

…私も帽子被っていいのか!?

ウミがパァ〜と笑顔になる。

ウミの嬉しそうな笑顔にキュンとする死の外科医。

ウミ

今被ってみてもいい?

ロー

ああ…

ローの返事の後にウミは白い生地で黒のアザラシ柄のバケットハットを被る。

ウミ

どうだ?似合うか?

ウミがニコニコしながら尋ねる。

ロー

フッ、どうだろうな。

ローが小さく口角をあげる。

ウミ

おそろいだな!

ウミは満面の笑みで言う。

ロー

!!!…気に入ったか…?

ローは軽く頬を染め尋ねる。

ウミ

うん!
めちゃくちゃ気に入った!ありがとう!

ロー

…プレゼントはそれだけじゃねぇ。

ウミはローに言われてプレゼントの袋の中をもう一度覗く。

ウミ

うわぁ!これっ!

ウミが目をキラキラさせる。

ウミ

お汁粉じゃねぇか!
しかもこんなにいっぱい!

ローはインスタントのお汁粉を大量に入れていた。

ロー

これなら自分で作れるだろうと思ってな。

ローがフッと笑う

ウミ

そうだな!ありがとう!

ウミはプレゼントを大事そうに抱きしめ

"世界のつづき"を歌い始める。

ウミ

どうしてあの日遊んだ海の匂いは〜
どうしてすぎる季節に消えてしまうの〜🎶

ウミ

暁の輝く今日に🎶

ロー

……

海風に艶のある黒髪を靡かせながら歌うウミを、ローに生きる意味を与えてくれた、あの少女を思い出させていた。

『生きる意味なんて難しいこと、私には分かんねぇ。 でもさ、意味なんてなくても生きてる事が意味なんじゃねぇかな?』

ロー

…お前は、生きる意味ってなんだと思う?

ローは確かめるかのようにウミに尋ねる。

ロー

…(お前はあの時のアイツなのか。
それともただアイツに似た誰かなのか…)

ウミ

なんだよ急に。

ウミが隣に居るローに尋ねる。

ロー

いいから答えろ

ウミ

ん〜そうだなぁ。
生きる意味とか難しいこと、私には分かんねぇ。
でもまぁ、意味なんてなくても生きてる事が意味だろ。

ロー

!!!

ローが驚きを見せ、確信を持った。

12年前にコラソンと訪れたある島のある山で出会ったローより9つ下でローに生きる意味を教えた初恋の相手だ。

そしてついでに思い出したことがある。

あの時、出会ったのはウミだけじゃない。

幼いルフィ、エース、サボ。

あの日の事を思い出したことで、思い出のピースが揃った。

間違いなくウミはローの初恋の相手だと言うこと。

ウミ

てか、なんでそんな事聞くんだ?

ロー

…聞いてみたかっただけだ、気にするな。

ローが目を瞑り、微かに口角をあげる。

ウミ

何笑ってんだよ、気持ちわりぃな。

ロー

うるせぇ

そして、船室から一味が出てくる。

ナミ

あれ?トラ男?それにウミまで

ロビン

2人きりで何をしていたの?

ロビンが揶揄いを含めた笑顔で問うてくる。

ウミ

誕生日プレゼントくれたんだ!
ほらほら、この帽子!

ルフィ

お!ウミ、やっとお前も帽子被れるんだな!
しかもトラ男と同じ柄じゃねぇか!

サンジ

よっぽどお揃いが良かったみてぇだな、ロー。

ロー

……

フランキー

なんだ似合ってんじゃねぇか

ウミ

だろだろ?ニシシッ!

それからしばらくガヤガヤと騒いでいた。

その後、ローは潜水艦へ戻り、クルー達も寝床に着いていた。

だがウミだけは寝ることが出来なかった。

ウミ

…私の誕生日にルフィがいる時は…エース…お前も居たのに…
なんで居ないんだよ…
サボだって祝ってくれた。
なのにエースが居ない…

ウミが涙を流して言う。

それから2時間後

ルフィ目線

ルフィ

ん〜…よっと…
あ、まだ夜か…

ルフィは寝ぼけながらも目を覚ます。

そしてルフィが部屋から出ると何処からか歌声が聞こえた。

ウミ

信じられる〜信じられる
あの星明かりを、海の広さを

ルフィ

ん?誰か歌ってんのか?

歌の聞こえる方へ近寄るとサニーの頭に座り、ウミが歌っていた。

ルフィはそのまま歌っている姿を聴きながら見つめている。

ウミが人の気配を感じたのか肩を跳ねさせる。

ウミが振り向くとルフィの姿があった。

ウミ

ルフィ?

ルフィ

ウミ、やっぱお前歌うめぇなぁ。
それにしてもお前、真っ白じゃねぇか。
どうしたんだ?

ルフィはキョトンとして聞く。

ウミ

え?真っ白?

風が吹き、自身の髪が見える。

ウミ

え!?白くなってる!
能力使いすぎたわけでもねぇのに!

※ウミは能力を使いすぎた時と、覇王色を使った時に髪が白くなる。

そして今、白くなっているのは目から水(涙)を流しすぎたからだ。

ルフィ

覇気の使いすぎか?

ウミ

いつ使ったんだよ!

ウミがツッコミを入れる。

ルフィ

アヒャヒャヒャ!それもそうだな!

ルフィが爆笑する。

ルフィ

てかなんで起きてんだ?

ウミ

ん?…ああ、眠れなくてな。

ウミが顔を背ける。

ルフィ

もうお前を苦しめる山賊は俺たちやサボがぶっ飛ばしたから安心しろ!

ルフィはウミを元気づけるように言う。

ウミ

アイツらは関係ねぇよ。
思い出したくもねぇ。

ルフィ

ああ!お前の居場所はここなんだ!

ウミ

…ルフィ

ルフィがニカッと笑う。

ルフィ

他に悩みがあんのか?

ウミ

悩みって程じゃねぇけど、眠れねぇのは2年前からなんだ。
寝たとしてもすぐに目が覚めちまうし

ルフィ

…エースか

ルフィが察して言う。

ウミ

寝ようとしたら誰かが言うんだ。
『エースが死んだのはお前のせいだ。』
『お前がインペルダウンに行っていたら助けられた命だ』
『お前な生まれて来なければ死ぬ事もなかったかもな』って笑いながら…だから眠りに着くのが怖くて…

ウミが小さく震える。

ルフィ

誰がそんな事言ったんだ!
殺したのはウミじゃねぇ!
黒ひげと海軍、赤犬だ!
ウミのせいにしたやつ許さねぇぞ!出てこい!

ウミ

だから誰かだってば!
…前を向かなきゃ行けないってわかってるんだ。
でも…やっぱりまだ怖いッ…

2人の間に沈黙が落ちた。

ルフィの妹のお話

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