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炭と善と、

第1話 - 炭と善と、

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2020年08月03日

#炭善

#腐向け

あおい

炭治郎

善逸からは、いつも温かい匂いがする。心の奥に、ひっそりと咲く小さな花のようなものから香る、とても心地のいい香りだ。

善逸

炭治郎からは、いつも優しい音がする。心の柔らかいところをそっと抱きしめられて温められるような、緩やかな血のめぐる音と、様々な思いが、まるで川のせせらぎの様に聞こえて、癒される。

炭治郎

「善逸、」

善逸

「なに？」

炭治郎

「ちょっと、手を出してみてくれないか」

善逸

「ん?手? はい....これでいいのか?」

炭治郎

「手を開いて」

善逸

「うん... どうしたんだ、炭治郎?」

善逸

炭治郎は、俺の開いた手のひらをゆっくり掴んで、まじまじと見つめる。

善逸

「おい...なんだよたんじろ...っ」

炭治郎

善逸の香りがする。とても強く、香って、少し心が軽くなる。と、同時に、胸の奥がぎゅうっと熱くなる。

炭治郎

「善逸、お前はいつもいい匂いがするなあ。」

善逸

そう言って、炭治郎はゆっくりと俺の指を自らの唇に当てて、すんっ、と空気を吸い込んだ。

善逸

「それは、炭治郎も一緒だよ。
お前はいつも、優しくて、甘くて、落ち着く音がする...」

炭治郎

「そうか、ありがとう」

善逸

「炭治郎、ちょっとだけ、いいかな?」

炭治郎

「ん?どうしたんだ、ぜんいつ...っ」

善逸

徐に炭治郎と距離を縮めて、そっとその身体に抱き着くと、炭治郎は慌てながらも、優しく俺の背中を撫でてくれる。

善逸

あぁ、やっぱり、炭治郎のことが、俺は...」

炭治郎

「善逸、俺はお前が好きだ。
その優しい香りも、こうやって、甘えてくれるところも全て」

善逸

炭治郎は、俺が中々言い出せなかった言葉を、いとも簡単に、それも、この上なくまっすぐな音で、伝えてくれた。

善逸

「炭治郎、おれのにおい、感じる?」

炭治郎

「あぁ、感じるよ。」

善逸

「俺も、お前の音が大好きだ。いや、その、音だけじゃなくて、炭治郎自身も、だけど...」

善逸

女の子相手なら、スラスラと文句が浮かんでくるのに、炭治郎の優しさに包まれていると、中々上手く言葉が出ない。
おかしいな、俺。

炭治郎

「わかってる!お前の音をこうやって聞いていると、伝わるよ。」

炭治郎

恥ずかしげに、俺の肩に顔を埋める善逸は、まるで幼子のように、ぎゅっと俺の羽織を握った。
どこまでも、愛おしく、甘い香りがした。

善逸

「炭治郎...俺の匂いを感じ取れるのは、炭治郎だけだ...だから、」

炭治郎

「俺の音を感じられるのも、善逸だけ、だろ?」

善逸

「もう!なんで先に言っちゃうかなあ!!言わせてよ!!そこは!!」

炭治郎

「いいだろ、別に!先にわかってしまうんだ。」

善逸

炭治郎はニッと笑って、俺の頭を撫でた。

炭治郎

「そろそろ、行こう。次の指令へ」

善逸

「うん...俺、死ぬかも知んないけど」

炭治郎

「大丈夫だ!善逸はつよい!俺にはわかる!」

伊之助

「おおおおい！！！何やってる!早く行くぞ！！！猪突猛進！！！！」

炭治郎

「あっ、おい待て伊之助！！」

善逸

このまま、ずっとこの音、風景が続くよう、俺は願いながら、足を進めた。

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あおい

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