孤爪研磨
ふう…ここまでくれば大丈夫でしょ
色葉楓
はぁはぁ…
色葉楓
研磨、ありがとう
孤爪研磨
バカ
色葉楓
痛!
私と研磨は体育館裏から 離れた校舎裏に来た。
デコピンをされて 反射的に声が出る。
色葉楓
バカって何!
孤爪研磨
アイツずっと楓のこと見てたよ
孤爪研磨
楓が体育館出たらアイツも追ってった
色葉楓
全然気付かなかった
孤爪研磨
そういうところ
少し怒りを含んだ研磨の声に、 私は慌てておちゃらけた。
色葉楓
ま、まあ私可愛いからなぁ〜
色葉楓
あはは
孤爪研磨
そうかもね
孤爪研磨
自覚があるなら危機感持って
色葉楓
……え
猫目がこちらに向けられて 肩がビクつく。
意味を理解した途端 じわじわと顔が熱を持った。
孤爪研磨
あんな軽そうな男に"可愛い"って言われたくらいで照れるとか意味分からないし
色葉楓
て、照れてないし!
孤爪研磨
そうやって顔赤くしてたじゃん
色葉楓
赤くない!
私が頬を膨らませると、 研磨は片手で私の顔を鷲掴む。
ボフッと音を立てて 口から空気が抜け、
研磨もプッと おかしそうに吹き出した。
色葉楓
研磨!!
孤爪研磨
まあ、楓がナンパされるなんて俺もビックリだけど
色葉楓
失礼過ぎない!?
照れたり怒ったり 忙しい私を他所に、
研磨はクスリと笑う。
孤爪研磨
…楓は俺だけ見てればいいよ
色葉楓
……け、研磨だけ見てるよ
孤爪研磨
!
色葉楓
事故チューしてからずっと研磨だけ見てるよ!
もうどうにでもなれって 投げ出して、
本当の気持ちをぶつける。
研磨は驚いたように大きな瞳を いっそう大きく見開くと、
嬉しそうに口角を上げた。
孤爪研磨
俺はもっと前からだけど
色葉楓
!
孤爪研磨
行こ、そろそろクロが怒るよ
研磨が私の手を取って 引っ張る。
私は返事をするように その手を握り返した。
孤爪研磨
まさか俺が楓を好きになるなんてね
色葉楓
ちょっとそれどういう意味!?
研磨の失礼発言は、 両思いになった今でも健在です。
失 礼 過 ぎ る よ 孤 爪 く ん
fin







