テラーノベル
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春風は、時として残酷だった
散りゆく桜を優しく攫いながら
それでも何事も無かったように
季節を前へと進めていく
命もまた、それと同じなのかもしれない
誰かが笑っていても
誰かが泣いていても
時は平等に流れ、止まることはない
et.
その問いは、あまりにも静かだった
だが、俺の胸には雷鳴のように響いた
────見てている、?
彼女の瞳はまっすぐこちらを見つめるばかり
存在が確かに認識されていた
幾千もの魂を見送り
数えきれないほどの『最期』を見届けてきた
それでも
人間と目が合ったことは1度もなかった
ya.
その瞬間、掟が俺の脳裏を駆け巡った
『人間に正体を知られてはならない』
その掟は、死神という存在を守るための絶対だった
もし破れば
俺は知っている、その先を
存在の消滅
死ですらない
誰からの記憶も消え、
最初から存在しなかったものとして
世界から消える
だからこそ答えてはならない
関わってはいけない
なのに
et.
et.
et.
彼女は困った顔をして微笑んだ
その笑顔は夕日よりも柔らかかった
初対面の相手へ向ける笑顔とは思えないほど
穏やかで、暖かくて
ya.
ようやく絞り出した声は、自分でも驚くほど
掠れていた
et.
et.
et.
et.
et.
ya.
それでも彼女は怖がる様子は一切なかった
むしろ不思議そうに笑っている
ya.
死神は見えない
それは世界の理そのもの
人間が認識できる存在ではない
なのに、
目の前の彼女だけが、
当然のように自分を見ている
理由がわからない
分からないことがこんなにも恐ろしいとは
思っていなかった
et.
et.
ya.
et.
ya.
et.
ya.
et.
ya.
et.
ya.
あまりにも真剣に考える彼女がおかしくて
思わず俺の笑みが溢れた
その時、自分に驚いた
ya.
死神は感情を持たないはず……
嬉しい、悲しい、楽しいという感情も
遠い昔に置いてきたはずだった
et.
ya.
et.
ya.
et.
納得してないような顔をしていた
だけど彼女はこれ以上、追求することはなかった
et.
et.
ya.
et.
et.
et.
ya.
et.
et.
et.
et.
そんなことは知っている
担当だから
名前も
生年月日も
病名も
残された時間も
全部知っている
そういい彼女は手を差し出した
生きている人間の温もりが宿る手
俺はただ見つめることしか出来なかった
ya.
et.
死神が人間に触れることは禁止されている
だから握り返すことはできなかった
et.
残念そうな顔をする彼女を見て
異様に胸が締め付けられた
何故だろう
助けることも
触れることも
全部、許されない相手なのに
どうしてこんなにも
その笑顔を失いたくないと思ってしまうのだろう
et.
et.
ya.
et.
ya.
ya.
et.
et.
et.
ya.
ya.
et.
et.
et.
ya.
et.
彼女は真っ直ぐな瞳を俺に向けた
思わず口元が緩んだ
et.
突然彼女が激しく咳き込む
苦しそうに胸を抑え
その場に座り込んでいた
肩が震えていて、呼吸が乱れていた
ya.
反射的に手を伸ばすが
触れられない
届けば支えられる
背中をさすってあげられる
苦しさを少しでも緩和できたかもしれない
でも、
掟がある限り何も出来なかった
あと少しなのに
届かない
届いてはならない
et.
et.
そういう割には
あまりにもその言葉が軽かった
まるで風邪をひいたみたいに
だが、これは知っている
病が少しづつ彼女の命を削っている証だということを
彼女の命日まであと
364日
命を刻む砂時計は、もう止まらない
NEXT♡700&💬5⤴︎
#からぴち
きゆう
1,265
コメント
7件

続きでたら言ってー
読むの遅れた〜…😭 えとちゃんもしや霊視できる人、🙄 あと364日しかないの!? ゆあんくん頑張って欲しい…泣|誰目線だよ
続きまってる!