翔洋
翔洋
翔洋は靴も履かずに家を飛び出した
しかし顔を上げた瞬間、 向かいの家の明かりがついているのに気がついて足が止まる。
翔洋
冷たい風が顔に当たるのに、額から汗が流れる感覚だけがやけに鮮明だった
玄関のドアの隙間から、 人影がのぞいてる気がする
慌てて視線を逸らしながら、 足跡を立てないよう身長に歩き出す
だが、まるでみられている気がして 背中がぞくりとした
翔洋
心の中で叫びながら、 翔洋は一歩、また一歩と家を離れてた。
どれだけ歩いたのかもわからなくなる頃翔洋は疲労に耐えかね、暗がりの道端に腰を下ろした
肩で息をしながら何度も後ろを振り返る
その時、静寂を切り裂くように、 カサカサ…と
枯れ葉が擦れる音が耳に届いた
翔洋
思わず息を止め、体を小さく丸める
鼓動の音が耳鳴りのように響き、全身に冷たい汗が流れた
カサカサ… 音が徐々に近づいてくる、
翔洋の瞳は暗闇の中で音のする方を探る
ニャーオ…
影から姿を表したのは小さな野良猫だった
翔洋は力が抜けるように大きく息を吐き
額に流れる汗を拭い、小さく笑った
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!