ジト目で見つめてくる轟くんの言いたいことは分かる
私が存外使えなくて呆れているんだろう
根本的に彼は私を過信している
私の個性は確かに強個性といわれるものではあるが あくまでもサポートタイプなのだ
彼のように攻撃に特化していない
皇ルリ
私は口をかるく尖らせて彼に言った
嘘じゃない 本当のことだ
距離が近ければ近いほど予測がしずらくなる
個性を使ったって不利なのだ
轟焦凍
皇ルリ
轟焦凍
彼の指示に従うように走り出す轟くんを追う
かなりペースが速い
けれど私も速さには自信があるから辛くはない
・・・それにしても困った
助けてもらったのは本当に有難いのだが ロビーで黒霧さんにワープされた時に手を引かれたのが予定外だった
私の中の予定としては黒霧さんのワープの時に誰もいないエリアに飛ばされて 事が済むまで隠れていようと思っていたのだ
私の個性である予測や命令能力は雄英側からしたらかなり有力な個性だ
彼らはきっと私の個性を欲する
私の個性を使えば弔たちが不利になる
しかしその場にいて個性を使わなかったら私は確実に疑われてしまう
それなら根本的にその場にいなければいいというのが私の予定だったのだ
だというのに轟くんの粋な計らいによって私の予定は崩されてしまった
挙句の果てに襲撃のメインエリアである広場に向かっている
ここで彼の元を離れたら不自然すぎる
普通に考えてクラストップの実力を持つ彼を離れるのは サポートタイプの人間からしたらおかしいからだ
何か手段は無いかと辺りを見渡す
すると 陰に隠れて私と轟くんを狙っている敵を見つけた
轟くんはアイツらに気がついてない
皇ルリ
不自然にならないように石に足を引っ掛ける
勢いが凄かっただけあり あっさりと私の体は倒れてしまう
ズザッと音を立てて私の体は地面に打ち付けられるようにして転がった
轟くんが私の異変を察知して振り返るより早く敵が私を捕らえる
縦にするように私の両腕を背中に回して無理矢理立たせられる
皇ルリ
轟焦凍
私が捕まったことで轟くんは顔を顰める
先程同様 無差別攻撃すればいいのだが私がいるから そうする訳にはいかないのだろう
轟焦凍
苦虫を噛み潰したような顔をした轟くんを見て私は安心する
・・・これなら上手く利用できるかも
彼と私を追い詰めるかのように広場から爆発音がした
弔と相澤先生が戦っているのだろう
轟くんも早く広場に向いたいはずだ
彼にとっては最悪かもしれないけれど私からすると絶好のチャンスだ
皇ルリ
轟焦凍
皇ルリ
敵の腕をギュッと掴んで彼に言う
私の個性を知っているし今の状況的に彼は間違いなくその選択をするだろう
轟くんは私の目をジッと見た後 バッと振り返って広場に走り出した
敵たちは彼が去ったことに笑う
私が置いていかれたと 捨てられたと思っているのだろう
随分舐められたものだ
皇ルリ
モブ
皇ルリ
皇ルリ
私を押さえていた敵の目を見てそう言えば 透けるようにしてソイツは消えていく
言葉通り ソイツは消えたのだ
燃えろって言えば燃える
ようは言葉次第なのだ
次はどうしようかと周りを見渡せば他の敵たちは震え出す
命令能力の個性は目が合ってないと発動しないから 頑張っても2人同時でしか使えない
と言ってもそれを知らないソイツらからしたら今の私は恐怖でしかないだろう
皇ルリ
面倒臭いことは嫌いだ
ざっと15人はいるけどこれを相手するのは疲れるから出来れば避けたい
外れかけていた袖のボタンを留めなおしながら 顎でどっか行けとジェスチャーをすれば敵たちは怯えたように去っていった
雑魚敵たちがいなくなったことを確認すると同時に 周りにだれもいないか確認する
どうやらこの周辺には誰もいないようだ
・・・まぁ土砂エリアにいた時は轟くんだけじゃなくて葉隠さんもいたけどね
轟くんには気づかれていないけど葉隠さんはずっと一緒に行動していた
私が捕まった時も彼女は焦っていたし最後まで私を心配していた
今は轟くんと一緒に広場に向かっている
私はその辺に隠れるように座っていた
定期的に未来予測をするけど30秒先までしか見れないから状況はあまり変わらない
だけど弔たちが押されているようだ
何故だかオールマイトもいるし轟くんや爆豪くんたちも参戦している
・・・こりゃあ今回は失敗かな
そろそろ負けるだろうと踏んで私も広場に向かって歩き出した
コメント
1件
ほんとに物語が最高すぎる✨ 尊敬する〜