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呼吸困難

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呼吸困難

第1話 - 呼吸困難

185

2018年04月12日

#ホラー

ハムヤククウ

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185

ハムヤククウ

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※この話はホラーではありません

ホラーを期待される方はお戻りください

高砂瑠祢

ああ
体が重い

高砂瑠祢

息苦しい

高砂瑠祢

陸での生活はなんて息苦しいんだ

高砂瑠祢

私は学校でいつも震える手を

高砂瑠祢

もう一方の手で押さえて

高砂瑠祢

呼吸を整えている

高砂瑠祢

私は小学校の頃イジメられていた

高砂瑠祢

何をしても笑われて

高砂瑠祢

私が何かをする度に

高砂瑠祢

クスクスと笑い声が聞こえた

高砂瑠祢

他人に見られたくなくて

高砂瑠祢

他人に笑われたくなくて

高砂瑠祢

次第に私は息をすることすら

高砂瑠祢

戸惑いを覚えるようになった

高砂瑠祢

中学に上がり

高砂瑠祢

イジメられることはなくなったけど

高砂瑠祢

相変わらず呼吸をするのが苦手なままだった

高砂瑠祢

どうして私はこんなにも息苦しいんだろう？

高砂瑠祢

呼吸をするにしても

高砂瑠祢

自分の手と手を重ねていないと

高砂瑠祢

上手に呼吸をすることが出来ない

高砂瑠祢

しんどいよお

高砂瑠祢

苦しいよお

高砂瑠祢

生き辛いよお

高砂瑠祢

どうやら神様は私が肺呼吸するのに

高砂瑠祢

適した体に創ってくれなかったみたいだ

高砂瑠祢

そう思うようになったのは

高砂瑠祢

あの時
家族と海に行ってからだ

高砂瑠祢

過って海に落ちた私は

高砂瑠祢

沈む海の中でだんだんと体が

高砂瑠祢

楽になっていくのを感じた

高砂瑠祢

体にのしかかる重力はなく

高砂瑠祢

息苦しさもだんだんとなくなって心地よかった

高砂瑠祢

私は陸の生物ではなく

高砂瑠祢

海の生物だったんじゃないかと思った

高砂瑠祢

薄れゆく意識の中

高砂瑠祢

光に反射してキラキラと輝いた海の景色を見て

高砂瑠祢

私は幸せを感じながら

高砂瑠祢

静かに目を閉じた

高砂瑠祢

もう肺呼吸をする必要はないんだと嬉しかった

・

・

・

高砂瑠祢

ああ
苦しいな

高砂瑠祢

辛いな

高砂瑠祢

あのまま
海の中で助けられていなかったら

高砂瑠祢

どれほど楽になれただろう？

高砂瑠祢

神様はきっと魚と私を間違って創ったんだ

高砂瑠祢

そうに違いない

高砂瑠祢

今も私は震える手を

高砂瑠祢

もう一方の手でぎゅっと握りながら

高砂瑠祢

休み時間を過ごしている

ﾊｱ…ﾊｱ…

関谷彩弓

関谷彩弓

あの…高砂さん？

関谷彩弓

大丈夫？

高砂瑠祢

え？

関谷彩弓

今から移動授業だよ

関谷彩弓

移動しないの？

高砂瑠祢

あ…そうなんだ

高砂瑠祢

知らなかった

関谷彩弓

すごい汗だくだよ

関谷彩弓

保健室行く？

高砂瑠祢

…大丈夫だから

高砂瑠祢

…一人でなんとか出来るから

ﾊｱ…ﾊｱ…手が震えてくる

手を押さえないと…呼吸がまともに出来ない

関谷彩弓

…

関谷彩弓

そっか！

関谷彩弓

じゃあ一緒に教室に行こ！

ｸﾞｲｯ！

高砂瑠祢

高砂瑠祢

そうやって彼女は

高砂瑠祢

私の手を引っ張ってくれた

高砂瑠祢

私の震える手を繋いでくれた

ｽｩｰ…ﾊｧｰ…

高砂瑠祢

震える手は次第に収まり

高砂瑠祢

呼吸も落ち着いてきた

高砂瑠祢

手を繋いでいないと

高砂瑠祢

ろくに呼吸出来ない私は

高砂瑠祢

その時だけは
そのように創った神様に

高砂瑠祢

少しだけ感謝してやってもいいか

高砂瑠祢

そう思った