生まれがどこかは知らない
物心ついた時には孤児院にいた
なんでも見つかった場所が、コインロッカーだったとか
痩せ切っていて、息もギリギリしてるぐらいでタヒにかけ
それが原因か、俺は姉貴と同じくらいに
強くなれなかった
引き取られたときになんやかんや調べたら
孤児院にいたアクラ、姉貴と姉弟だということがわかった
そこで姉貴の名前を一文字変えてアクルと名付けられた
学校はうまくいったし、就職先を決めるときに
姉貴経由で知り合ったアークパイセンのいる
地獄で働くことにした
新しいこと、ものは好きだ
新しいものは俺にワクワクとドキドキをくれる
新しいことに不安や恐怖を抱いたことはない
そんな俺に人間界は最適だった
人間はたまに俺ら以上の思想を持っている
スマホだとか、ゲーム機だとか
魔術に頼りきって技術があまり発展していない魔界では
だいぶ頼りにしている
いつも通りワクワクを探すために
そこのゴミ溜まり場を除いたときに
俺の悪魔生が一変するようなワクワクがいた
一目見たときにはとても驚いた
アークパイセンに天使には気をつけろと教わったからだろう
だけど、恐怖や嫌悪よりも
好奇心が勝ってしまったのだ
あの日からそいつとは随分仲良くなったと思う
そいつのことを知れば知るほど楽しかった
目はよく見るとカメラっぽいし
腕を変形させて銃にして撃つし
マジもんの機械なんだなとか
アークパイセンの聞いてた天使と
全然違うなとか
でも、頼んだら笑顔見せてくれたりとか
頼んだらすげ〜微妙な顔で着せ替え人形になってくれたりとか
そうプログラム?されてんのかしんねーけど
そいつの意思で俺に付き合ってくれてんのかなって思うと
少し、いや
すげー嬉しくなる
あいつが機械だとかコピーだとかクローンだとか
そんなこと気にせずあいつ自身が決められればいいなと思う
そこから俺は無自覚にあいつのことを…思ってたのかな
煉獄にいた時は
まぁ…色々あったからアレだけど
新しい所の中でもう何回も見たあいつの顔を見るのが
1番の楽しみだった
そこでふと気づいたんだけど
ある日たまたまロシロさんが映ったから
画面に映してあいつに紹介したときに
俺に向けている顔とロシロさんに向けている顔が少しだけ違う気がした
なんつーか、ロシロさんの時は他人顔っつーか
なんというか顔に感情があまりなかった気がした
まぁそのあとはいつも通りに戻ったんだけど
その時、もしかしたら俺だけに向けてる顔なのかなって思うと
自然と口角が上がったんだ
…なんかここまで言ったけど
多分早く寝過ぎてあんまし記憶ねーんだよな…
“恋”ってのはわからないものだった
アークパイセンが言った
『“恋”とは叶わないもの』だと
姉貴が言った
『“恋”とは美しいもの』だと
ロシロさんが言った
『“恋”とは奪われ、恐ろしいもの』だと
あの三人組が言った
『“恋”とは不思議なもの』だと
誰に聞いてもふわふわした答えばっかり
ネットで調べたらもっといい答えが出るかと思って調べた
『その人のことを「もっと知りたい、近づきたい」と思い、強い関心を寄せること』
この答えはあまりわからない
俺はある程度どんなことにもそんなことを思うから違う
『特定の異性に対して胸がドキドキしたり、ときめきを感じたりすること』
これも違う気がする
胸のドキドキは新しいものへの興奮だし
あいつとは同性?だし、種族だって違う
『ありふれた世界が突然、色鮮やかな世界に変化し、すべてが新鮮に映る』
これはそうかも知れない
だけど前から俺の視界は色鮮やかなんだけどな…
これはそう
これは違う
これはそうかも
これはみんなにそう
これは絶対違うだろ
いろんなことを検索していろんなことを考える
そうして1時間が経った時に気がついた
もしかして何個か当てはまってる時点でそうなのでは?
いや…どうなんだ?
…こんなの俺らしくねー
するかしないなら必ず“する”を選ぶのに
でもこんなに雑に考えていいのか?
でもな〜…
よし、はっきりしよう
俺は……あいつに…
………俺は……サナに…
俺はサナに“恋”をしている
ーーーーーーーーーー
悪魔(アクル)
悪魔(アクル)
悪魔(アクル)
悪魔(アクル)
悪魔(アクル)
悪魔(アクル)
ワイ(主)
ワイ(主)