余命屋

侑の部屋

シャラ…

そこには、 壁にかけておいた 治のペンダントがあった

パカッ

ペンダントの中には、

侑と治の2人で撮った写真と、

小さい紙切れが一枚、入っていた

侑へ もし、これを見たんなら、 余命屋んとこ行って 余命屋に預けてもらってるから それ、受け取ってな

ｶﾗﾝｶﾗﾝ

帰ってきた

侑へ

多分この手紙を読んどる時には

俺はもう死んどるんと思うけどw

まあ、侑がこの手紙を読んでるということは

俺の余命について知っとるよな

俺の余命は

ほとんど侑にあげたんや

本当はな、

全部あげるかどうか悩んでたんや

けど、今、全部上げたら

侑は１人になる

小学生の時から１人なんて辛いやろ

やから、侑が安心して17歳になるまで支えてあげたいから

俺の余命は17歳の誕生日までにしたんや

半分あげるちゅう選択肢もあったけど、

俺のせいでこうなったんや

俺が勝手に侑の余命を決めたくない

ごめんな、俺の勝手でこうなって

それに侑には余命屋のことは話さないつもりやったんや

侑がこの事を知ったらもっと苦しんでまうから

自分のせいやと思ってまう

けど、どっかで本当にあるって聞いたっぽいからな

侑もそのためにずっと頑張ってるんやし

しゃーないから俺も止めるのは諦めた

けど、真実を聞いたとき苦しかったやろ

ほんまに、ごめん

けど、

俺は侑に苦しくなってほしいから余命を渡したんやない

侑には俺の分まで幸せになってほしいから余命を渡したんや

やから、

侑、生きて

生きて幸せになって

俺はこの17年間、侑と一緒にいれてほんまに楽しかった

俺はもう充分に生きた

侑からたくさんの幸せをもらえた

俺はそれだけで充分や

それに

侑はこんな俺を好きで居てくれた

ずっと隣に居てくれた

愛してくれていた

俺が死ぬまでずっとずっと愛してくれた

ずっと隣に居てくれた

本当にありがとう

俺を好きでいてくれてありがとう

いつも一緒にいてくれてありがとう

俺に愛を注いでくれてありがとう

俺を幸せにしてくれてありがとう

そして、兄弟として

恋人として

産まれてきてくれてありがとう

侑には他にも数えきれないくらい感謝してる

やから、

今度は侑が幸せになる番や

侑には世界でいちばん幸せになってほしい

俺のことなんか忘れて

幸せに生きてほしい

たまには思い出してなw

最後に

侑は俺にとって

俺の生涯で

たった１人、

愛した大切な人やから

侑

愛してる

その思いを

この手紙に残します

治より

それから、

治の死から

四十九日がたった

墓場

俺も、愛してる

余命屋

完