いるま視点
信じない。あいつがあんなこと言うなんて…。 誰よりもシクフォニが大好きで、メンバーが大好きだと言っていたあいつが…
俺らのことを嫌いって言うなんて…!
いるま
なんでだよ…。
いるま
嫌うなら、俺だけにしてくれよ…。
俺はディスコを落ちた瞬間、目的地に向かって走り出した。 あいつは元声優だから、声だけでならなんとでも取り繕えるんじゃないか。 俺はそこに一縷(いちる)の望みをかけて、あいつの家へと走った。
いるま
はぁ…はぁ…。
LAN
…なに。
いるま
話がしたい。入れてくれ。
LAN
話すことないんで帰ってもらっていいですか。
いるま
入れなきゃ、ずっとここにいる。お前とのコラボ、土曜だし。
LAN
だるいんだけど…。
LAN
上がってきて。
いるま
ありがとな。
ウィーンという音とともに自動ドアが開かれた。 俺はらんの部屋の階のボタンを押し、エレベーターへと乗り込んだ。
LAN
入って。
いるま
お邪魔します…。
LAN
鍵とチェーン掛けて上がってきて。
いるま
あ、はい。
らんの重く低いトーンの声に思わず、敬語になってしまう。
LAN
で?話ってなに?
LAN
俺、忙しいんだけど。
いるま
俺のことは嫌いになってもいい。あいつらは嫌わないでくれ。
LAN
アハハ!w
LAN
どこかのアイドルみたいなこと言うね?
LAN
全然、感動しないよ。そんなん言われても。
LAN
知ってるよね?俺は…。
無視されるのがいっちゃん辛い
LAN
動画内でも言ったし。
LAN
お前らにも言ってきたよね?
いるま
ああ…。
LAN
知ってて、あんなことよくできたねぇ…?
LAN
まぁ、過ぎたことだし。もう、どうでもいいけど。
いるま
俺は…俺らはお前のことが大好きだ。
LAN
だから?
いるま
俺があの企画を考えた。あいつらは付き合わせただけだ!
いるま
やめようって言ってきたのを俺が無理やり押し通した。
LAN
全て、お前が考えたと。
いるま
ああ。
LAN
あいつらは関係ないのかぁ…。
LAN
じゃあ、お前が今、ここで土下座したら、あいつらのことは許すよ。
いるま
ほんとか!?
LAN
うん。
いるま
お願いします。あいつらのことは許してください。
俺は一切の迷いもなく、らんの前で土下座をした。 俺のせいで、あいつらまで傷つけるわけにはいかないからだ。
LAN
………ほんとにやるなんて馬鹿じゃないの(ボソッ)
いるま
……?
なんか声が聞こえた気がしたけど、機嫌を損ねたくはないので 頭は下げたまま、らんの反応を待つことにした。
LAN
ウケるwマジで土下座したんだけどw(パシャ)
LAN
はい。もういいよ。帰って。
いるま
マジで守ってくれるんだよな?
LAN
しつこいな。あいつらのことは許すって。
いるま
ありがとな(ニコッ)
LAN
・・・・・
らんからの返事はなく、冷めた目を向けられただけだった。 でも、あいつらがもう傷つかずに済むならお礼は言っとくべきだと思った。