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これの💙🎲🍸くんバージョンみたいです!!!!
これの続きってでたりしますか?めっちゃ気になります、
会議のため集まった事務所
俺たちはビルの下で偶然合流した
エレベーターの扉が開いた瞬間怒鳴り声が聞こえた何事かと来てみれば
ほとけが初兎の胸ぐらを掴んで怒鳴っていた
少し離れたところからりうらがおろおろと声をかけている
ほとけが手を離し
初兎がどさっと座り込む
怒鳴り声に余程驚いたのか
大きく肩で息をしている
それに気がついたまろが背中をさすろうと手を置く
急に倒れた体ををまろが受け止める
俺は初兎の正面まで行って額に触れた
熱がある
いつからだろうか
こんな状態で喧嘩なんてしてたのか
今喧嘩してるんだし…
…てか熱出てる人に怒鳴ったのも堪えるだろうな…
そんなことをぐるぐる考えていると
冷たい声が聞こえた
バンッと
大きな音を立てて彼が出ていく
事務所のあるビルから出て
すぐのところの路地裏に1人蹲る
今日は朝から頭が痛くて
でも出来れば悟られたくないし
数少ない対面での会議を欠席したくなかった
だから普段通りを装った
体調を懸念して早めに家を出たからか
まだ時間は会議の30分前だった
初兎ちゃんがいるのは想定外だったけど
今日は彼も余り喋らない
というか顔色が悪い
彼が大きく目を見開く
YESと言ったようなものだ
僕のブーメランすぎる発言にも
初兎ちゃんは固まる
全く同じ意見だ
でも
明らかに僕より顔色が悪いし
無理してほしくない
扉が開いて
赤髪の彼が入ってくる
僕らの反応に違和感を感じたのだろう
きょとんとした顔をしている
なんだかイラつく
隠し通せていないのに
無駄に意地を張っているように見えて
それが自分と重なって
…心配で
段々と会話がヒートアップして
全然関係ないことも持ち出して
怒鳴り声を上げて
胸ぐらまで掴んで
挙句の果てにその場から逃げて
…なんで、あんなこと言っちゃったんだろ
か細い声は
コンクリートに囲われた狭い空へと
消えていった
辺りを見回す
どうやら仮眠室のようだ
誰かが運んでくれたのだろう
彼は心底安心したというように深いため息をつく
りうらが走っていく
悠くんが顔を覗き込んでくる
…1人、居ない
嫌でも分かる程
空気が凍った
まろちゃんが真顔になって
悠くんは気まずそうに目をそらす
静かなようで
言葉の端々に怒りが滲んでいるのが分かる
部屋の空気が重い
"気まずい"
普段なら持つはずのない感情
それくらい本気で怒っている
…特にないふが
弁解しなきゃ
いむくんが誤解されたままになる
体調管理の出来ていない僕が悪いのに
急に大声を出したからか
咳が止まらない
みんなが部屋を出ていこうとする
慌てて声を掛ける
ベッドに体を沈め
ゆっくり呼吸をする
鈍い痛みに思わず唸る
…しんどいなんて
助けて、なんて今更言えない
初兎ちゃんも体調崩してるんだし
あんなことした後に言っていい事じゃない
病院に行った方がいいんだろうけど
そんな体力はとっくに使い果たしていて
そのまま僕は眠りに落ちた
寝れば治るかもなんて
馬鹿だった
明らかに悪化した頭痛に目眩
加えて吐き気
思わず嘔吐いてしまう
回る視界の中なんとかゴミ箱を掴む
そこに頭を突っ込むようにしてせり上がってきたものを吐き出す
今日まだ何も食べていないからだろう
吐いても吐いても胃液しか出てこない
朝日が昇ってくるのが見える
あの後も吐き気と頭痛でとても寝られたものではなかった
寝不足で体調は悪化したが
波のある吐き気は治まっている
動くなら今だと
食べ物と水を取りにリビングへと向かった
とりあえず椅子に座り水を飲む
胃酸で焼けた喉にしみて思わず顔を顰める
食欲はないので食べるのはやめにした
しばらく天井を眺めていると
ピコンっと通知音が鳴った
グループチャットの通知だったようだ
当たり前だろうけど
僕抜きで会話が進んでいく
会話の様子から初兎ちゃんは大分回復したようだ
安心する反面罪悪感が襲ってくる
"謝らなきゃ"
その気持ちでいっぱいになる
初兎ちゃんに直接かけるのは迷惑だろうか
…なら、ないちゃんにかけよう
吐き気も治まっている今しかない
7コール目
出てくれないかと不安だったが、繋がった
今は行けない
家の中を歩くので精一杯なのに
ないちゃん家まで行くなんて
あれ
なんか
気持ち悪…
気持ち悪いのに
出てくるのは自分の嘔吐く声だけで
大きく視界が揺れて
暗転した
電話の向こうから聞こえた大きな音
それと共に相手の声が聞こえなくなる
苦しそうな呼吸と嘔吐く声の中聞こえたのは
"待って"
"ないちゃん"
"吐けない"
"苦しい"
加えて聞こえた何か大きな音
容易に想像できるその状況に
血の気が引いた
返事はない
インターホンを鳴らす
誰も出ない
恐る恐るドアに手をのばすと
簡単に開いてしまった
昨日から
家の施錠も忘れる程の状態だったのだろうか
そんな憶測が頭をよぎる
部屋に駆け込むと
彼が倒れていて
意識がないまま吐いていた
知らない天井だ
アニメでしか聞いた事のないセリフ
腕に違和感を感じ視線を向ける
刺さったチューブの先を見ると点滴で
口元には酸素マスクが付けてあった
ガタンッ
何かが落ちるような大きな音がした
思わず肩を揺らし恐る恐る音の聞こえた方を向く
落とした荷物も拾わずに彼が駆け寄ってくる
何故謝られているのかが分からず混乱する
僕の熱のことか
僕は今
病室に来た先生から説教を食らっている
体は起こさなくてもいいと言われたが
酸素マスクも外して貰えたし
申し訳ないので起き上がった
なんで
仲間にあんなことを言われて
放っておかれて
気づいてて貰えなくて
…あんなに苦しそうだったのに
彼は笑っているんだろう
なんで
笑ってるんだろ
まだ体は重くて
起き上がっているので精一杯で
…誰かに、頼りたいのに
あ、やば
また目眩…
どうしよ
なんか段々
くるし、
顔を顰める彼の体を支える
目眩がするのか目をぎゅっと閉じていて
ベッド脇の棚から手をのばし洗面器をとる
吐き気のためか時折俺の服を掴む力が強くなる
彼が小さく頷く
そう言って袋を彼の口元に差し出す
吐いても殆ど胃液で
段々と嘔吐く声だけになってくる
無言で彼の背中に手を置く
苦しそうな顔を見て
ずっとこんな状態だったのかと
一人でこんな風に耐えていたのかと
そう考えると
罪悪感で押し潰されそうになる
寝息を立てる彼を見て安堵する
同時に襲ってくる罪悪感
なんで気づいてやれなかったんだろうと
あんなに責めなくても
話を聞いてやればよかった
そうすれば
謝るべきは俺の方だ
彼がこんなに悪化するまで我慢させた
酷いことも言った
相談できない雰囲気を作った
全部
俺の…
なにが、あったんだっけ…
確かないちゃんと話してて
急に気持ち悪くなって…
窓の外を見ればもうすっかり夜で
ないちゃんが居たのも
背中をさすってくれたのも
優しくしてくれたのも
きっと
全然眠れなかった
寝ようとしても起きたばかりだったし
目を瞑るとつい色々考えてしまって
諦めて体を起こし膝を抱えて夜を明かした
頭痛も治まらないし
痛い
夢でもいいから
誰か
あの日から2日
みんなに休ませてもらったからか
僕の熱はすっかり下がって
あの時
いむくんはすぐに気づいてくれたのに
僕は気がつけなかった
俯いて話しながら前を行く初兎に
なんて声をかけたらいいのか分からない
俺の方が
酷い態度とって
傷つけてしまったのに
罪悪感が足に絡みついて
歩みを遅らせていた
この扉の向こうの彼が
どんな状態なのか
…見るのが怖い
けど
部屋に入ると
寝ていると思っていた彼は起き上がっていて
頭をおさえていた
顔を顰めて、背中を丸めて
小さく呟いた言葉を
もう、聴き逃してはいけないと思った
そう言って顔を顰める彼の額に触れる
彼の冷たい手が僕に触れている
夢じゃなかったんだ
そう分かったら
心の底から安心して
ふっと肩の力が抜けたような気がした
彼が少し不満そうに言う
安心したからか
僕は気持ちに整理がついた