震える手と早くなる鼓動を落ち着かせながら 俺は太宰さんの方へと近づいた
太宰さんが真っ直ぐこちらを見てくるから なんだかとても緊張して、上手く言葉が出てこない
ずっと言いたかったその言葉は喉に引っかかるばかり
なかなか言葉に出来ないで居ると 今度は太宰さんが口を開いた
何かを悟った太宰さんは優しく笑った
そして震えている俺の手を優しく引いて リビングへと向かった
リビングに着くと太宰さんは 不慣れな様子でふたつのコップにミルクを注ぐと 電子レンジに入れて加熱した
温め終わると、ミトンを使うのを忘れたのか 「熱ッ」なんて言いながら コップを一生懸命素手で持って来てくれた その姿に少し笑みが零れる
コップを受け取って1口飲む 味は至って普通のホットミルクだったが この時はなんだかとても安心した
コップから口を離した後も 俺の喉からは言いたい言葉は出てこず ホットミルクと一緒に飲み込んでしまった
そんな沈黙を破ったのは、またしても太宰さんだった
コップに入っているミルクを見つめながら 太宰さんは話しかける
事件も確かに怖かったが 今は気持ちを伝える方が圧倒的に怖い
でも、例え「好き」の2文字が伝えられなくても 一緒に居て幸せだったことは伝えたい
好きがどんどん溢れてくる気持ちと なかなか口に出せない腑甲斐無い気持ちが混ざって 自然と涙が溢れてくる
太宰さんは涙を優しく拭いてくれて 背中までさすってくれている …だから、言わなくては
1度伝えられた後は濁流のように溢れ出す 顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにし 彼の服を掴みながら必死に伝えた
太宰さんはぽかんとした表情で俺を見ている 静かなリビングには数秒、沈黙が広がっていた
なんとなく気まずい空気に、思わず俺から沈黙を破る
涙は溢れ続ける だけど、何故か必死に笑顔を作っている俺が居た
最後の時まで、せめて少しでも好印象で居たい そんな無駄な足掻きの具現化だった
太宰さんは余程驚いているのか ぽかんと口を開けて、まだ固まったままだ
流石に固まりすぎで不安になる 別にここまで驚くことは無いだろうと 手を伸ばした時だった
心配してきた俺を止めるかのように 太宰さんは手を出して制止してきた
だが、太宰さんの顔はほんのりと赤かった
太宰さんの言葉の意味がイマイチ分からず 首を傾げていると、太宰さんは溜息を一つ吐いて 絞り出すような声で呟いた
ここに来て、やっとすれ違っていたことに気がついた なんて鈍感なんだろう でも仕方無い、恋は初めてだから
太宰さんの言葉で、涙が止まらなくなってくる こんな素敵な人と付き合っても良いのだろうか
でも、俺から伝えたんだ もう迷わない
太宰さんは心底幸せそうに笑うと 唇に優しくキスを落としてきた
しかし、俺はキスなんて初めてだから 自分と太宰さんの歯が、音を立てて当たってしまった
この人となら、きっと上手くやって行けるだろう
Lily
Lily
Lily
Lily
Lily
Lily
Lily
コメント
21件
最終回で初コメ申し訳ない!!🥲 ちなみにずっと見てました!!🫣🩷始まった頃はまだあまり仲良くなくてちきってコメント出来なかったんだけど、ようやくコメントする!!✨✨ 率直に言ってすきですっ!!!🩵💭Happyendで終わって良かったよ!!結月はこのキャラについてあんまり知らないんだけど全然読んでて楽しめた!!次の作品も待ってるね!!
めちゃめちゃ良かった……!!😭😭😭 1枚絵が出てきた時にめちゃくちゃびっくりしたしよすぎて感動した…😭💕 こんな話作れたり、素敵すぎる絵描けるの尊敬でしかない…… ここまでありがとう!そしてお疲れ様!とっっても良かった!!
ちょ、もうほんまに見てるこっちが恥ずかしいわ!!!!!😇😇😇😇 なんやねんもう…告白するシーン最高かよ……流れ最高かよ……無理……😇😇 1枚絵はずるい。尊すぎてずるい。裁判所に連れて行ってやる(????) こちらこそ、1枚1枚イラストも描いて、視聴者が思いっきり楽しめるようなお話を企画してくれてありがとう!!!✨️✨️ 本っ当に楽しかったです!!🥰💗 最初から最後まで、本当にありがとう!!✨👏✨👏✨