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新崎明夫

うっ……嘘だろ!?

目覚めたのはベッドのうえで、 隣には眠る部下の顔がある。 天井を見ればここが いかがわしい施設だということが分かり、 明夫は、この状況が信じられない。

新崎明夫

(馬鹿な……確か今日は早く上がれて)

新崎明夫

(部下と飯に行った……?)

新崎明夫

(そのあとの記憶がない……)

新崎明夫

(いったいどうやってふたりでこのラブホテルに入ったんだ?)

新崎明夫

(……っ着信だ……!)

ラブホテルの一室に響き渡る 携帯電話の着信音。 明夫は、ビジネスバッグを見つけ、 なんとか電話に出る。

新崎鞠子

もしもし?

新崎鞠子

いま大丈夫?

新崎明夫

(なんで急に電話なんか……)

新崎明夫

(普段はおれが残業漬けなのを知っているくせに)

新崎明夫

(ああ。暗いのはよそう)

新崎明夫

(いまは妻が最優先だ)

新崎明夫

……ああ。大丈夫だよ

女の声

ああーん。ああん。あぁん……もう、駄目ぇ……っ!!

男の声

もっと声を出せ!!

男の声

ほら。中にたーっぷり出してやるからな! おれのスペルマをぶち込んでやる!!

女の声

やぁん、あぁん……お義兄さん……駄目、中出しは駄目ェ……!!

男の声

食らえぇえ!!

明夫は絶句した。 テレビ画面のなかで男女が獣のように絡み合っている。

新崎鞠子

……誰かと一緒?

新崎明夫

ちがっ……。違うんだこれは

新崎明夫

いま外にいて酔っ払いがいるんだ!

新崎明夫

(リモコンは。リモコンはどこだ!?)

新崎明夫

(服が散らかっていて見つからない!)

新崎明夫

(そうだ。洗面所のほうへと移動すれば声はマシになるか)

新崎明夫

……すまない。で、なんの話だ?

新崎鞠子

ごめんなさいお忙しいのに

新崎鞠子

今度、美夏の運動会があるでしょう?

新崎鞠子

お義父さんお義母さんも来たいみたいで

新崎鞠子

うちでお夕飯してくみたい

新崎鞠子

お義母さんすぐ返事が欲しそうだったからあなたに確認しようと思って

新崎明夫

(なんだ……そんなことか)

新崎明夫

構わないよ

新崎明夫

十月の……何日だっけ?

新崎鞠子

26日、土曜日よ

新崎明夫

たぶん……サッカーの試合はないだろうから大丈夫。空けておくよ。

新崎鞠子

そう? 分かった

新崎鞠子

お義母さんに伝えておくわね

新崎鞠子

ごめんなさいね仕事中に

新崎鞠子

ビーフシチュー作って待っているから

新崎明夫

ああ……ありがとう

新崎明夫

通話終了

通話
03:12

新崎明夫

はぁ……危なかった

新崎明夫

とにかく早く家に帰らないと

篠山味蕾

あの。……新崎課長

新崎明夫

へっ……あああ! びっくりした!!

新崎明夫

後ろから驚かすなよ

篠山味蕾

……すみません

新崎明夫

ふ、服くらい着たらどうだ

新崎明夫

(そんなことを言うおれだってトランクス一丁なのに)

新崎明夫

(なにやってんだ)

新崎明夫

(おいこら。下半身反応してる場合じゃねえぞ!)

新崎明夫

(にしても篠山さんすっげーエロいからだしてる)

新崎明夫

(タオル一枚だけってのにメリハリのあるからだって分かる)

新崎明夫

(……ごくり)

新崎明夫

篠山さん。ごめん

新崎明夫

おれ、なにがどうなってここに来たのかさっぱり覚えてないんだわ

篠山味蕾

新崎課長をお誘いしたのはわたしです

篠山味蕾

あの……今日、定時デーだったじゃないですか

篠山味蕾

それでわたしから相談があると持ち掛けたんです

新崎明夫

(あ……なんとなく、そうだったような……)

新崎明夫

(まだ酒で頭がぼんやりとしてうまく働かん)

篠山味蕾

新崎課長は、たまには息抜きも必要だろうって

篠山味蕾

お酒をどんどん追加されて

新崎明夫

まじか

新崎明夫

最悪じゃねえかおれ

篠山味蕾

それで、課長、バーで戻しちゃって

篠山味蕾

このままだと家に帰れないって言うので

篠山味蕾

なんとかお連れして

新崎明夫

大変申し訳ない

新崎明夫

すまない。おれ、酒は駄目なんだ

新崎明夫

昔やらかしたことがあって以降セーブしている

新崎明夫

つもりだった。……ごめん

篠山味蕾

仕方ないです

篠山味蕾

あのまま課長を放っておくわけにはいきませんでしたし

新崎明夫

(お?)

新崎明夫

(話がいい方向に進みかけている?)

篠山味蕾

今回のことは、事故にでも遭ったようなものとして

篠山味蕾

わたくしひとりの胸に秘めておきます

篠山味蕾

お互いこんな格好をしているのに言うのはアレなのですが

篠山味蕾

決してなにか間違いを犯したわけではないので

新崎明夫

(解決した?)

新崎明夫

(解決したって思っていいのこの案件?)

すると裸にバスタオルを一枚 隠しただけの姿の 篠山味蕾は恥ずかしそうに言う。

篠山味蕾

……課長が先に出てくださいませんか

篠山味蕾

ふたりでこんなところから出てくるのを誰かに見られたら

篠山味蕾

なにを噂されるものか分からないので

新崎明夫

分かった

新崎明夫

出る時必要だったら、これ出しといてくんない?

新崎明夫

(一万円で足りるかな)

新崎明夫

(おじさんこんな施設に入るの十五年ぶりなもんで)

新崎明夫

(現代のシステムがどうなってんのかさっぱり分かんないのよ)

新崎明夫

(うし。服を着てさくっと出よう……)

そのとき、明夫に背後から近づく影。 それは明夫に迫り、――

新崎明夫

(大変なことをしてしまった)

新崎明夫

(こんなことは絶対にあるべきじゃない)

新崎明夫

(許されない)

新崎明夫

(おれには愛する妻と子どもがいるというのに)

新崎明夫

(なんということを……!)

夜の街を新崎明夫は絶望して走る。 明夫の背後に近づいた篠山味蕾は、 明夫に耳打ちをしてこのように言ったのだ。

篠山味蕾

わたし

篠山味蕾

新崎課長がわたしの服を脱がせた罪は忘れませんからね

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