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余命屋

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余命屋

20 - 【番外編】とある幽霊の物語 5

♥

212

2025年02月09日

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病院

サム

ボーッ

医者

治くん、入るでー

医者

ガラガラ(扉開)

医者

点滴かえにきたで

サム

……

医者

治くん?

サム

サム

あ、はい

サム

なんですか?

医者

点滴、いれかえにきたで

サム

あー、よろしくお願いします

医者

おん

医者

……

医者

(心配やなぁ)

点滴いれかえた

医者

治くん、病院生活には慣れたか?

サム

まあ、そこそこは…

医者

それはよかったわ

医者

体の様子は?

サム

体調は大丈夫です

医者

そうか

医者

けど、まだ精神の方は落ち着いてないやろ

医者

少しずつでええから落ち着いてきな

サム

はい…

医者

じゃ、私はこれで

医者

体調悪かったらすぐに言うんやで

サム

はい…

医者

(絶対、前より元気ないけど、)

医者

(ほんま、大丈夫やろか…)

サム

……

サム

…つらいなぁ

サム

侑といつか別れることは付き合う時から分かっていた…

サム

覚悟はしていたはずだった

サム

けど、

サム

こんなに苦しいなんてな…

サム

…はよ楽になんないかな

サム

俺はもう侑に嫌われたと思うし、

サム

侑ももう俺のこといらんやろ

サム

俺が今ここにいる意味ないよな?

サム

やったら、

サム

はよ死んで楽になりたい…

サム

もうこんな苦しい気持ちは嫌や…

数日後…

医者

ほい、今日の診察は終わりや

医者

今日はあと点滴入れ換えるだけやな

サム

はい

医者

じゃー、またあとでな

サム

…あの、

医者

ん?

サム

“DNR”って頼めますか?

医者

!?

DNRについて簡単に説明

DNRとは蘇生処置拒否のこと 患者、または患者の家族の希望で心配蘇生処置を行わないこととされる

これは主にこの先生きてても有意義がない人、植物状態の人が希望する

医者

…それは

医者

たとえ、余命の前だとしても蘇生はしなくてもええってことやろな

サム

はい

サム

それを承知の上で頼んでいます

医者

…理由は

サム

俺が生きてても意味ないと思うから…

医者

意味はなくても生きてはええやろ…

サム

けど、

サム

俺はそれでええんです…

医者

…わかった

医者

書類の準備はしておく

医者

けど、それまでもう一度考え直しといてや

医者

本当にそれでいいのか

サム

わかりました

サム

医者はああ言っとったけど、

サム

もうやるって決めたからなー

サム

ツムともとの生活に戻れるわけないし、

サム

そもそも、もう会えないし…

サム

(けど、)

サム

(もし、会えるなら)

サム

(会いたいなぁ)

ガチャ

サム

(なんや、医者か?)

サム

(準備、早i)

ツム

お、治…

サム

!?

サム

な、なんで

サム

なんで、ツムが…

サム

(なんでツムがおるんや…)

サム

(俺のこと、嫌いになってなかったんか…)

ツム

なあ、治話してや

ツム

もう、ここまで来たんやから嘘はつけへんで

サム

(まあ、せやな)

ツム

話して、治

サム

(仕方ない、言うか…)

サム

…わかった

サム

まあ、わかるかもしれへんけど

サム

俺、

サム

もう長くないねん

ツム

っ、

ツム

…どれくらいなんや

サム

(あー、ツムには余命屋のこと言わん方がええよな)

サム

(自分のせいやと思ってまうし、)

サム

……さあな

サム

けど、医者にはもう長くないって言われたんや

ツム

…病気か何かか

サム

まあ、せやな

ツム

いつから知っとったん

サム

半年くらい前やな

サム

体調がおかしいから病院行ったら、もう長くないって…

ツム

けど、生きれる可能性もあるんやろ

サム

まあ、医者はそう言っとったな…

サム

けど、無理や

サム

多分、俺死ぬと思うし

ツム

何でそんなこと言うんや!

ツム

治は死なん!

ツム

俺はそう信じる!

サム

…そーか

サム

(これ以上、侑に希望与えたらダメや…)

サム

(俺はもう死ぬんや)

サム

(やから、侑には俺が生きる希望より俺が死ぬ覚悟を決めてほしい…)

ツム

けど、何で俺に病気のこと隠してたんや

ツム

それに別れよなんて言い出して、

サム

……

ツム

サムさ、

ツム

ほんとは俺と別れたくなかったんやないか

サム

(え?)

ツム

別れたい理由は知らんけど、

サム

…何でそう思うんや

ツム

…やって

ツム

サムが別れよって言ったとき

ツム

サム、無理しとる顔しとった

サム

(なんでもお見通しか…)

サム

(俺も耐えきれなかったんやろな)

ツム

…なあ、治

サム

…なんや

ツム

もう一回聞くけど

ツム

ほんまに俺のこと嫌いなんか?

サム

(…ここで嫌いって言ったらええんや)

サム

(そしたらもうここに来ない)

サム

(本当に別れられる)

サム

(本当に侑が嫌いになってくれる)

サム

(嫌いって言うだけ…)

サム

(たったそれだけ)

サム

(それだけのこと…)

サム

(…けど、)

サム

俺はツムのこと、大好きや

サム

世界で一番、愛しとる

サム

(無理や)

サム

(あの時と一緒や)

サム

(この気持ちには嘘はつけない)

サム

(何年たってもこの気持ちは一緒なんやな…)

サム

(俺は侑のことが、)

サム

(ずっと大好きなんやな…)

※省略します

角名たちと合流した

ーーー、ー

角名

ーーーーー、

サム

ーーー?

角名

ーーーーー

サム

ーー、

ツム

ーーーー、ーー

サム

ーーー

トントン(扉叩)

医者

失礼します

医者

治くん、点滴入れかえに来たで…

医者

って、お友達か?

サム

はい

サム

友達と双子の片割れです

医者

そうなんか

医者

(よかった、楽しそうで…)

ツム

あ、あの

医者

はい?

医者

(もしかして、この子が侑くんか?)

ツム

治のこと何ですけど

ツム

助かることってありますか?

医者

んー、その事についてか

医者

(この様子じゃ、余命屋のことは話しとらんな)

医者

(やったら、)

医者

治くん、君の兄弟借りてってもええか?

サム

あ、はい 大丈夫です

医者

ありがとな

医者

じゃ、別室で話そか

ツム

はい

サム

……

角名

じゃあ、俺たちもう行くね

サム

おん

サム

今日はありがとな

また見舞いに来るからな!

サム

おん、ありがとう

角名

じゃあね、治

サム

おん、またな

ガチャ(扉開)

サム

お、ツム戻ったか

ツム

おん

ツム

あれ、角名たちは帰ったんか?

サム

おん、さっき帰ったで

サム

ツム、何の話してたんや?

ツム

あー、治の病気についてやな

ツム

まあ、ほとんど治が知っとることや

サム

そーなんか?

ツム

おん

サム

(嘘やな)

サム

(病気の話なら別室でする必要ないし、)

サム

(それに医者から病気についてはほとんど言われとらん)

サム

(ということは、)

サム

チラッ(医者を見る)

医者

ニヤッ

サム

(話したな、この医者💢)

サム

(せっかく秘密にしたんに💢)

ツム

じゃあ、俺は帰るな

ツム

また明日来るからな

サム

おん

ツム

じゃあな、治

サム

おん、じゃあな

サム

侑に言いましたよね?

医者

さあ?ww

サム

言いましたよね?

医者

んー、まあな

サム

…どこまで話したんですか

医者

余命屋があるかもってことだけや

医者

治くんについては話しとらん

サム

なんで

サム

なんで話したんですか…

サム

せめて、余命屋のことを知らずに俺が死ねば、

サム

まだ侑は苦しまないのに…

医者

せやな

医者

余命屋のことを知らんかったら、侑くんは自分のせいで治くんが死んだとは思わんやろ

サム

じゃあ!

サム

なんで言ったんですか…

医者

私はな、

医者

最後まで君には嘘をついてほしくないんや

サム

っ、

医者

それにな

医者

これも一応は侑くんのためや

サム

侑の、ため?

医者

せや

医者

侑くんはこれから一人で生きてくことになるやろ

医者

そのためには強くならないとあかん

医者

やから、

医者

治くんが死ぬわけの真実を知ってもらう必要がある

医者

この真実を知ったら、

医者

きっと侑くんは苦しむやろ

医者

けどな、

医者

その苦しみに一人で抗って抗い続けることで、

医者

やっと強くなれるんやと思う

医者

私はその強さを侑くんには持ってほしいねん

サム

……

医者

けど、勝手に話したのはすまんかった…

サム

いえ、大丈夫です

サム

なんか納得しました

医者

え?

サム

俺は侑を苦しませるのが嫌でこんなことしました

サム

けど、侑を一人にする前には一人で生きてく強さが必要

サム

ほんと、その通りだと思いました

サム

だから、今からでも侑が一人で生きれるようにしたいです

医者

そーか

医者

なら、これやるわ

サム

サム

紙とペン?

医者

侑くんに手紙でも書きな

医者

一番苦しむのは君が死んだあとやろ

医者

少しでも支えになるようにな

サム

ありがとうございます

医者

あ、せや

医者

DNR、どうする?

サム

やっぱり、断ります

医者

わかった

医者

じゃ、また明日な

サム

はい

次の日…

医者

失礼するでー

医者

治くん、手紙書き終わったか?

サム

あ、はい

サム

けど、誰に渡しとくか迷ってて

医者

私は無理やで

医者

侑くんを苦しめた張本人やしな

医者

持ってるわけにはいかへん

サム

そうですか…

サム

けど、友達に渡すとなると「遺書は早い!」って言われそうですし…

医者

そうやろなw

サム

んー

サム

あ、

サム

いました、一人

サム

渡せる人

医者

おー

サム

けど、直接会いに行かんといけへんし…

医者

あー、

医者

やったら、

医者

今日は特別や

サム

え?

医者

2時間だけなら外出てもええで

サム

え!ほんまですか!

医者

おん

医者

けど、体調悪なったらすぐに戻ってくるんやで

サム

はい!

サム

ありがとうございます!

数十分後…

サム

(ここに来るのも久しぶりやな)

サム

(さて、入るか)

カランカラン

……

いらっしゃいませ

サム

あ、どうもです

……

今日はどのようなご用件で?

サム

あ、今日来たのは余命についてではないんです

……

はい?

サム

ちょっと預かってほしいもんあって

……

えーと、

……

失礼ですが、余命屋に来たことは…

サム

あー、あります

サム

ずいぶん昔ですが

サム

子供の時でしたし、

……

(子供?)

……

(あ、もしかして)

……

双子の方に余命を渡した…

サム

あ、はい そうです

サム

よく覚えてましたね

……

子供のお客様はそもそも少ないですし、

……

お客様は初めてのタイプでしたので

サム

初めてのタイプ?

……

はい

……

余命屋のことを知らずに来た人はお客様が初めてです

……

余命屋は本当に探している人にしか見つけられないので

サム

ほーん、そうだったんか

……

あの、お預かりしたいものとは?

サム

あー、せやった

サム

俺の余命がもうすぐなのは知ってますよね?

……

はい

サム

やから、双子の片割れ宛の手紙を預かっててほしいんです

……

え?

……

私でいいんですか?

サム

はい

サム

ここなら信用できますしね

サム

侑には手紙のありか残しておくんで

サム

手紙は侑が取りに来ると思います

サム

やから、お願いします

……

…わかりました

……

私が預かっておきます

サム

サム

ありがとうございます!

……

いえ

帰ってきた

医者

手紙、渡せたか?

サム

はい

サム

無事に渡せました

医者

そうか

医者

それはよかったわ

サム

はい

ツム

失礼しまーす!

ツム

愛しの侑くんがお見舞いに来たでー!

ツム

(᎔>⩊<᎔)♪

そして、

10月5日…

サム

……

サム

今日は俺らの誕生日…

サム

(そして、)

サム

(俺の命日…)

ガチャ(扉開)

ツム

失礼しまーす

サム

ツム、おはよぉ

ツム

おん、おはよぉさん

ツム

そういえばやけど、今日俺ら誕生日やったな

サム

…そうやな

ツム

やから、これ返すな

ツム

(ペンダント渡す)

サム

え?ええんか

サム

俺、あんなこと言ったんに

サム

(結構ひどいこと言ったよな、俺)

ツム

おん

ツム

俺はちゃんと誕生日プレゼント渡したいしな

サム

そーか…

ツム

それに俺もネックレスにして指輪大切にしとるからな!

サム

そーなんか?

サム

ありがとうな

ツム

おん!

ツム

じゃあ、俺もう行くからな

ツム

また後で来るわ

サム

…おん

ツム

またあとでな、サム

サム

…おん

サム

“じゃあな”、侑

サム

(多分なんやけど、)

サム

(これで侑と会うのが最後の気がするな…)

サム

そういえば、

サム

侑、これ気づいたんかな?

サム

パカッ(ペンダント開ける)

サム

俺と侑の写真、入れといたんよな

サム

あ、せや

サム

手紙のありか、残しとらん…

サム

どないしよ…

サム

あ、この中入れたらええか

サム

気づいてくれるかわからんけど…

サム

(まあ、侑のことや)

サム

(きっと大丈夫やろ)

サム

(…もうすぐ死ぬんやな)

サム

(もっと生きたかったな…)

数十分後…

サム

はぁ、はぁ、

サム

(ヤバイ、苦しい…)

サム

(せや、ナースコール…)

サム

グイッ(手を伸ばす)

サム

(無理や、押せん…)

サム

はぁ、はぁ、はぁ、

サム

(苦しい、息が、できない)

サム

クラッ

サム

(ヤバイ、意識が…)

サム

はぁ、はぁ、

サム

(あぁ、死ぬんやな、俺)

サム

(もう、ここで終わりか…)

サム

(生きたかったな…)

サム

(…侑、ごめんな)

サム

(ごめんな、嘘ついて)

サム

(ごめんな、約束守れなくて)

サム

(ごめんな、侑をひとりにして…)

サム

(他にもたくさん謝りたいことがある)

サム

(けど、)

サム

(それよりも“ありがとう”って気持ちの方が多い)

サム

(俺のこんな人生でも)

サム

(最後まで幸せだったのは、)

サム

(全部、侑のおかげや)

サム

(ありがとう)

サム

(侑、大好きや)

サム

(本当に、愛しとる)

サム

(けど、もうお別れやな)

サム

(あの世でも侑の幸せ願っとるから)

サム

(さよなら、)

サム

あつむ…(ボソッ

ガチャ(扉開)

角名

ーーー

ーーー?

ーーー!!!

角名

ーーー!

ーーー!

ピッ、ピッ、ピッ…

医者

ーーー!

医者

ドッ、ドッ、ドッ、

医者

ーーー、ーーー!

ピッ、ピッ、ピッ…

医者

ーーー!

ツム

ガチャリ

ツム

ーーー!

ピ──────────

以上の物語が

とある幽霊の

全ての真実である

この作品はいかがでしたか?

212

コメント

5

ユーザー

え、、、これまじいい話すぎる😭治の信用してる人余命さん(笑)←なんか勝手につかた 医者〜!え、なんなんあんた優しすぎるんだが…?この物語終わっちゃった…?悲しい😭まぁ、でも次の物語楽しみ‼️

ユーザー

待ってましたよおお!!この話を!治視点マジ良すぎる…あと、医者めっちゃいい人やん

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