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失明したピアノ経験者は異世界に転生して何を創る?1

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失明したピアノ経験者は異世界に転生して何を創る?1

1 - 失明したピアノ経験者は異世界に転生して何を創る?1

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2019年08月23日

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タン、タン、タン…

要 流生

…色葉

聞き慣れた声がして、顔を上げる。

奏木 色葉

ああ、流生。

要 流生

ああじゃないよ。…私ね、ピアノの全国大会出れることになったんだ。

奏木 色葉

…ごめん。僕、流生の初の晴れ舞台も見れないんだ。

要 流生

そっ、か…

奏木 色葉

ねえ、流生。

要 流生

なに?

奏木 色葉

流生はどんな服を着るの?

要 流生

肌色のミニドレスだよ。

奏木 色葉

肌色って、どんな色だったっけ。

ごめんね、流生。

僕の目が見えていたなら。

要 流生

ごめん…

奏木 色葉

…大丈夫。

要 流生

うん…

幼稚園の時に目が見えなくなって、何もわからなかった。

そんな時に音楽を見つけた。それを代表として飾るピアノは、僕の中で目が見えないながらも弾ける唯一無二の存在だった。

色も形も忘れたけど、音があるから弾けた。音符もその時初めて知った。それこそ形も知らないし、見えないから先生が口頭で教えてくれた。

練習していくうちに楽譜もキーの場所も、全て覚えた。

優勝だってしたし、トルフィーだって手に入れた。だけど、目が見えないと全国大会にはいけない。どれだけ弾けても表現力が欠けていると優勝は難しい。

それがわかっていたから、中学の時にピアノを辞めた。…でも、机を叩く癖が抜けなくて。

諦めようって思ったけど、無理だった。そんな時に膵臓癌が発覚して、今に至った。自分だからこそわかる。…もう時期僕は死んでしまう。

ああ、死ぬ前に晴れ舞台を聞いてみたかった。

奏木 色葉

ごめんね。

要 流生

謝らなくていいよ…

要 流生

よし、いよいよだ…

色葉にも、来て欲しかった。

最初の頃は仲良くなんてなかったし、あんなに華奢でもなかった。少しふっくらした呑気な男の子、位にしか思ってなかったんだ。

色葉が転園して来た時、男の子だって知ってどれだけ落ち込んだだろうか。

それでも、ピアノを習ってると聞いて親近感が湧いて、話しかけてみた。そしたら凄く気が合って、時間なんて気にせずすぐ仲良くなれた。

いつの間にか好きになってた。それは、目が見えなくなった後でも。

いつか全国大会に出たら告白をって、そんな頭で考えてた。なのに、膵臓癌なんて…

色葉が安心して向こうに行けるように、私もトルフィーを取らなければ。

後、もうすぐで私の番…!

ブー!!

急に電話の着信音がなる。

要 流生

…もしもし?

色葉のお母さん

流生ちゃん、色葉が…!

私は辞退した。

色葉のお母さん

色葉!色葉!

ああ、母さんの声が聞こえる。

ガラッ

要 流生

…色葉!

あれ、流生の声が聞こえる…?大会なのに、駆けつけてくれたんだ…

ごめん、ごめん。

来世は絶対に、病気には掛からないから…

そこで僕の意識は飛んだ。

神様

起きろ…起きろ!

奏木 色葉

わわっ!?えっと…

神様

お前は今日死んだ。

奏木 色葉

えっ?

ああ、そう言えば…

流生の大切な大会の日に、病気で…

奏木 色葉

じゃあ、あなたは?

奏木 色葉

死神…とか?

神様

ふむ…汝等の所で言う、神と言うやつだ。

奏木 色葉

えっ!?…で、でもその神様がなんで僕に…

奏木 色葉

もしかしてなんかやっちゃったとか!?

神様

違う…実は、頼みがあるんだ。

神様

こことは違う世界の、プロの音楽家になって欲しい。

奏木 色葉

えっ…違う世界って?

神様

剣と魔法の世界だ。あの世界は、音楽と言う文化がない。物を叩けばそれは店曲として流れてくる。耳が痛くなるくらいに、不協和音な音だ。

奏木 色葉

でも僕目が見えなくて…

神様

大丈夫。目が見えるようになる。

神様

ふむ…転生条件として、何か与えようと思うのだが…

奏木 色葉

じゃあ、その世界の知識と、色の判別、認識、漢字や英語その諸々が読めるようにして下さい…後、健康な体をください。音楽を作れる環境下も欲しいです。

神様

わかった。神からの贈り物も用意しておこう。危なくなった時用に、MPや全魔法属性が使えるように手配をしておく。

奏木 色葉

ありがとうございます、こんなにしてもらって…

神様

大丈夫だ。問題ない。

神様

見た目の設定もできるが…どうする?

奏木 色葉

じゃあ…神様に任せます!分からないので!

神様

了解した。では転生を始める。

スー、という音とともに、目の前が明るくなった気がした。

オルフェリア・ベルセルク

あー!

ソニア・ベルセルク

ああ、可愛い私の息子…

クルケット・ベルセルク

ソニア…よくやった…!

目の前の両親は涙ぐんでいた。

ああ、これが人。これが色。これが形。

僕は嬉しみを胸に、産声を上げた。

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