神様、ありがとうございます。
私は漸く人間になれました。
2個上の大切な恋人も出来ました。
美月 明
先輩…
清川 零那
コラ。二人でいる時は名前で呼んでって言ってるでしょ?
美月 明
ごめんね、零那(レイナ)…
清川 零那
ま、いいんだけどね!そんなことより明(メイ)、今度二人で旅行に行かない?
美月 明
いいね!何処に行く?
やっと。
清川 零那
ニュージーランドとか?
やっと。
美月 明
遠いなぁ…
やっと手に入れた幸せを
清川 零那
じゃあ、フィリピン行こっか!
手放すわけにはいかない。
美月 明
…うん。
逃がさないよ。
ー3日後ー
清川 零那
明、あっち行こうよ!
美月 明
浮かれ過ぎじゃない?
清川 零那
いいじゃんいいじゃん!初の恋人旅行だよ!?浮かれたって仕方ないよー。
美月 明
あっ、そう…
清川 零那
あ、ほら、飛行機きたよ!
美月 明
あ、ちょっと引っ張らないで!
ー飛行機の中ー
清川 零那
ひゃー…これが飛行機の中かぁ…
美月 明
零那、私ちょっと寝るね。
清川 零那
えー!
清川 零那
もっといっぱい…って、寝る準備はや!
美月 明
すー…
清川 零那
もう寝てるしぃ!
片目で零那を見る。狸寝入りなの、気づかないのか…
そう思い、目を瞑る。
懐かしい夢を見た。
透明人間の頃、誰とも何も出来なかった頃を。今は幸せだ。
清川 零那
明、起きて!墜落してる!
美月 明
えっ…
「なんで」そう思い、飛び起きる。
清川 零那
キャアアア!!!!
どうして
ドンッ と大きい音が鳴る。
美月 明
れい、な?
横を見ると、零那らしき人物の顔が潰れている。
美月 明
いや、いや…
美月 明
なん、で…
結局私は幸せを手に入れる事が出来ない?
いやだ。
零那、死なないでよ。
私を置いて逝かないで
もう1回、もう1回…
1回だけでも良いから、私の名前を呼んで?ねえ、零那…
神様なんて、信じなければ?
いや、神様は私を人間にしてくれた。
少しの間だけど、幸せをくれた。
でも、零那は…
これがもし零那の運命なら、私の運命なら、
私が居なかったら?
零那は生きていた?
美月 明
零那、もう一度、私と…
そう言って、零那の手を握る。
美月 明
さようなら、愛しき人…