ある日の朝
彼女の上履きが濡れていた
優妃
凪沙
凪沙
彼女は困ったような傷付いたような、そんな表情をしてた
私は「大丈夫?」と問いかけたら、乾かせば大丈夫と
彼女は表面に被せたような笑顔を作った
私はその笑顔が嘘なんだと気付いた
でも、私は何も言わなかった
ガラガラと音がする教室の扉を開けた
開けた時に鉄のこすれる音がする
いつもは気にならないのに、今日はやけにうるさく感じた
開けたと同時にクラスメートがこちらを向いた
私が「おはよう」と言うとみんな「おはよう」と返してくれる
いつもは
その日は違った
みんな何も言わなかった
私はそれを不思議に思っていた
教室に入り自分の席に鞄を置き、彼女の席に行く
いつもと違うことがあった
花が置かれていたんだ
百合の花
私は馬鹿だからその花が置かれている理由はよく分かんなかったけど
彼女が呆然としているのと
教室の端でいつも固まってうるさい声で笑っていた女子が、くすくすと笑っている
それは分かった
女子達から名前を呼ばれ、私は振り返る
来いって言われた
行かなきゃ良かったと今でも思っている
それがいじめだと知ったのは彼女達に聞かされてからだ
私は怒りを覚えた
彼女の机に戻って、花瓶を取り上げた
感情的になり、割ってしまいそうになった時
彼女が私の腕を掴んだ
何も言わなかったけれど、目が何もするなと言っていた
それから、いじめは段々とエスカレートしていった
優妃
凪沙
彼女の机には「死ね」「学校くるな!」「きもい」とか色々書いてあった
私は何も言わなかった。言えなかった。
そんなのただの言い訳としか思わないかもしれない
でも、私は、彼女と話して同じ目に合うのが少し怖かった
だから、一緒に居る時間は少なくなった
一緒に居る時間は登下校と昼休みしかなかった
自分でも最低だってことは分かっていた
あれだけ彼女の事が必要だのなんだの言っておきながら
彼女のことを避けてるじゃないかと思うだろう
でも、仕方ないんだ
仕方なかった
そう、仕方なかったの
自分ではどうにも出来ないのに、私が反抗して、私がターゲットに変わったら彼女は今よりもっと傷付くかもしれないし
そう、だから、仕方ないの
コメント
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