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藤原 糸
ピーーーー
電車の発進する音が聞こえた
本を開いても、文字が上滑りする
左斜め前の方に、
隙間だらけの電車の座席に
場違いに立ちながら
…残念ながら、俺から君の表情は見えない
気付かれてないのか…
藤原 糸
…目の前の本は、
丁度フィナーレの
主人公とラスボスとの戦闘シーン
…本に逃げたいけれど
いつものように落ち着かない
…あぁ、わかった
景色が違うからだ
俺、
こいつと同じ電車なわけないじゃん
いつも見かけないのに
そもそも俺…何番線から乗ったんだっけ
次の停車駅は名前も聞いたことのないような駅
少し動揺する頭を軽く叩いて
スマートフォンの電源を入れる
起動を待つときの暗い画面をまどろっこしく眺める
ふと、視線を上げると
…その綺麗な後姿が
やけに背が高く、細く
…綺麗に見えた
白野 夕李
”主人公”
ほら、頑張って羽ばたきなよ
今眺めている窓の向こうに広がっているのは、君の世界だよ
ほら、早く。
…っ、~w
あはっ!w
とっとと夏になって、羽ばたいていけよ
ね?
君は主人公なんでしょ?
夏休みが明けた時…君は
どんな主人公の顔をしているかな?
勇敢な顔?はじけるような笑顔?はかなげな涙?憎悪にあふれた顔?
早く君のストーリーを見せてよ
もうあらすじはいいからさ
俺はエピローグを眺めるだけかな?
それともプロローグしか見れないのかな?
…どちらにせよ
早く、羽を広げて
とっとと、…
白野 夕李
藤原 糸
白野 夕李
…あ
どうしよう
どうやって逃げよう
白野 夕李
白野 夕李
藤原 糸
藤原 糸
白野 夕李
白野 夕李
藤原 糸
ふと、後ろを振り返ったときに
…目が合った
少し前から気が付いていた
でも、声を掛けられなくて、…
ちょっとっつきにくくて…
みんなは「おかしいし避けた方が良い」って雰囲気
でも…俺は、嫌いじゃない
また、視線を彼は本に落とした
…電車、間違えたのか
そっか~、…!
白野 夕李
藤原 糸
白野 夕李
白野 夕李
藤原 糸
沈黙が気まずい
制服が濡れていて、なんか…寒くなってきて
…だめ、だな
白野 夕李
俺は、きっとこう言うから…
精一杯の…勇気が、…
藤原 糸
…容易く崩れ落ちるのはいつもの事。
~翌日~
白野 夕李
<何やってんだよお前ww
<てか、そういや昨日、藤原がお前のあと付いて行ってたってこと知ってる?
白野 夕李
<あいつ…なんか変わってるしさ
<あんま近づかない方が良いからな?
<いやマジで…ちょっと、…危ないからな?
白野 夕李
白野 夕李
<変人だもんな~…w
白野 夕李
俺は
ふふ、…w!っ
俺は…
まぁ、別に
悪い事ではないよね、?
だって
みんなこうやって生きてる
青山 直霧
白野 夕李
青山 直霧
青山 直霧
白野 夕李
青山 直霧
白野 夕李
紅 優安
白野 夕李
白野 夕李
青山 直霧
紅 優安
白野 夕李
間違いと笑顔にあふれた、
この世界に祝福を。
コメント
12件
クラスメイト殺りたい..... 冗談です★
超天才! わわ様はmfdn 小説のプロだ!
やはり神ですよね