天
あ!おはよう悠哉くん!
天
(休日に会うなんて珍しいなぁ)
天
(まあ近所なんだけど)
悠哉
…
そっけない…のはいつもの事だけど
今日はなんか…
悠哉
なに?
天
え?
悠哉
なんか言いたいならはっきり言えば
天
あっ大丈夫
悠哉
つーか昨日見てたろ
天
え!?
天
みみみ見ちゃいけなかった!?
悠哉
…いや別に
悠哉
悠哉
怖いだろ
天
…へ?
悠哉
あん時の俺
悠哉
怖かったろ!
天
え…うん
圧に負けてついつい本音を言ってしまう
悠哉
だったら近付くな
悠哉
俺と関わるってことはお前があの立場になるかもしんねぇ
悠哉
女だからとか天だからとかねーんだよ
きつい言葉を言ってるのに
ちっとも響かない
でも悠哉くんなのに
悠哉くんじゃない
悲しく揺らぐ瞳とは反対に
悠哉くんの顔つきは殺人鬼のようで
それが
すごく怖かった
天
あたしは分かってるもん
天
悠哉くん
天
…あたしには本気で喋ってよ
悠哉
関わんなっつったのが聞こえねーのかよ
悠哉
俺はさ、冷酷無慙なんだわ
悠哉
お前が何を言ってきても情はわかねーし友達とか求めてないわけ。
悠哉
それを頑迷固陋にずっと言い続けてくんの要らない
…なるほど
うん、全然わかりませんな
天
(れーこくむざん?がんめいころう?)
天
あ、あの…ワンモアプリーズ…
悠哉
だから
悠哉
つまんねぇいい人ごっこに俺を巻き込むな。
悠哉
そういう偽善者が一番気に入らねーんだよっつったんだわ
天
なん──
悠哉
あ?
グイッ
天
…っ
悠哉
それ以上まだ歯向かうなら
悠哉
…どうなるか分かるよな?
胸ぐらを捕まえて軽々と片手で持ち上げられる
この人は悠哉くんだ
天
…
だけど…怖い
悠哉
恐いんだろ
悠哉
先行けよ
天
…
悠哉
俺から逃げろよ
悠哉
ほら早く!
悠哉
悠哉
俺に関わんな。今すぐ俺の目の前から消えろよ!!
泣いてんじゃん
そこまでして俺を追いかける意味がわかんねぇ
ギロッと睨むと天はその場から立ち去った
悠哉
(むっかしからアイツ)
悠哉
(足早いよな…)
バカみてぇ
結局天だって俺から離れんだよ
俺はそんなもんにかけてる暇ねんだ
人なんて結局自分の事でいっぱいいっぱいなんだ
悠哉
冷酷無慙…か
それはちょっとちげーかもな
悠哉
あーあ…
悠哉
まじバカみてーだな
ドンッ!
天
わぁ!ううっ、すみません…
幸光
あ、ごめんね
天
(全力疾走してたらぶつかった…)
天
(って、ん?)
天
この声…
幸光
てんてん?
天
せ…先生ぇ!?
幸光
…何で泣いてんの?
ポロッ
先生の顔見たら安心してまた涙が出た
幸光
え、なにどーしたの
天
先生ぇ~…あたしって…うぅっ、結局ひとりよがりでただの迷惑なだけだったんですかねぇ…
幸光
…なにが?
天
ゆうっ…悠哉くんと…仲良くなるとか…ただのあたしの自己満足で終わることだったんですかぁ~…
幸光
幸光
…だから言ったのに
幸光
無理して仲良くなんなくていーじゃん
天
無理はしてないんですよぉ…
幸光
ふーん
幸光
ま、大丈夫じゃん?
天
…へ?
幸光
てんてんが頑張ったことには変わりないし
幸光
成瀬くんだって迷惑だっていっつも思ってる訳じゃないと思うけど
幸光
幸光
俺だって
幸光
てんてんのこと迷惑だとか思ってないよ
ねぇ先生
なんでいつも先生は助けてくれるんですか?
なんでそんなこと言ってくれるんですか?
天
…
タバコを吸いながら当たり前のように言う先生
ねぇ先生
いくらなんでも
そんなことしたら好きになっちゃうじゃないですか…