同僚
私
時刻は午前1時をまわった。
時間外労働にも程がある。
いっそのこと退社しようとも思ったがこの年だ。
ここからまた新しい勤務先を見つけるので精一杯になるだろう。
後輩や他の同僚は定時で帰ってしまう人が多い。
私
そう思い立ち上がると脚に力が入らなくなった
私
これが私の最後の夜だった。
何年も社畜として働き、上司に使えた。
本当につまらない人生だった。
私
気がつくとそこは綺麗...ではない寝室。
私の物ではない。
もしかして転生した?
そう思い、横にあった鏡をみた。
鏡に映ったのは綺麗な女性。
やっぱりだ。
コンコン
扉がノックされた。
私
リリアス
私
リリアス
私
たしか、リリアスちゃんだっけ。
...おねぇ様って言った?
クリーム色の髪。彼女は私の大好きな漫画の子で間違いないだろう。
おねぇ様と言ったのなら、私はエンゼリーテ。リリアスの姉でありライバル。
リリアス
私
この物語に登場するリリアスは主人公である。姉のエンゼリーテにいじめられる子だ。
姉は自分の髪色が気にいらず、綺麗な髪色の妹をいじめた。
そんな姉に転生してしまったようだ。
私
私
リリアス
リリアスは私の部屋...エンゼリーテの部屋を出ていった。
私は埃が被った机に向かう。
この世界は髪色が全て。
白に近ければ身分が上になる。
漆黒の髪色をしたエンゼリーテはかなり身分が下なのだろう。
私
物語でエンゼリーテは序盤にしか出てこない。
そのあとはこの一族から私は消される筈だ。
私
さて、どうしたものか。
私
こんな埃だらけの場所にいたら体に悪いだろう。
とは言っても掃除するものがない。
窓は...開かない。
私
ダン!
物凄い音とともにエンゼリーテの母が入って来た。
母
母
私
母
私
母
いや、部屋に入ってきたのはリリアス本人なんだけどな。
後々分かることなのだが、私はこの母から産まれた子ではない。
父の愛人から産まれた子なのだ。
最終回が終わった後、公式サイトで発表された。
エンゼリーテは地味に人気があったから。
リリアス
母
リリアス
母
母
私
そう言い放ち、母...リリアスの母は部屋を出ていった。
エンゼリーテの本当の母はどんな人なのか。それは最終回が終わっても知ることはなかった。
リリアスは最終回で隣国のジュティス陛下と結婚し、幸せになる。
そんなリリアスを応援しよう、そう誓った。
リリアス
私
私
私
リリアスの顔が赤くなっていた。
熱でも出したのではないかと心配になった
私
リリアス
この瞬間、私はなぜリリアスの顔が赤くなったのかが分かった。
照れているのだ。
私
リリアス
小さなリリアスの手の中にあったのは白い花のしおりだった。
リリアス
リリアス
えぇぇぇ!やだやだ、可愛い...
私
リリアス
リリアス
またリリアスの顔が赤くなる。
リリアス
そんな、優しくするに決まってるじゃない。
私
リリアスはエンゼリーテに愛されたかったのだろう。
可愛い子だ。さすが主人公。
私
リリアス
見つかったら怖いからもうこなくて良いけどね。
こんな妹、最高だ。
月が物凄く綺麗に見えた。
おやすみ、リリアス。
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