数週間後
雨はまだ降っているけれど、街には穏やかな空気が流れていた
ツクリはノートを手に、カウンターで静かに書き続ける
ページには、前回の雨の記録と、今日の出来事が交互に残されていた
“今日も誰かが笑った。”
“小さな願いが、届いた。”
ののは窓際に座り、外の雨を見ながらコーヒーをすする
音ノ乃
雨って、ずっと続くんだね。
このみは隣で微笑む
甘狼
うん。でも、怖くない
甘狼
雨は、誰かを守るために降っているから
ゆらが小声で呟く
ゆらぎ
ゆらぎたち、ちゃんと雨守れてるんだね
あくびは、少し得意げに笑う
あくび
もちろんだよ。これからも、この店は雨の日の居場所だ
外の雨は、時に激しく、時にやわらかく降る
でも店の中は、まるで光が差すようにあたたかい
こまがノートに付箋を貼りながら
小廻
次は誰の記録を書こうか?
眠雲ツクリがそっと笑う
眠雲
それは、来る人次第だよ
雨は変わらず降っている
だけど、ミリプロ喫茶には、確かに誰かの居場所がある
誰かの願いが、記録として、雨音の中で生き続ける
このみは立ち上がり、店のドアを開ける
雨粒が顔に当たり、冷たいけれど心地よい
甘狼
さあ、新しい雨の日の始まりだよ
店に入ってくるのは、初めての人も、常連も
カップの湯気と笑顔が、雨に負けない光を作る。
“雨の日限定のミリプロ喫茶
記録と願いが重なったこの場所は、今日も、誰かの心を照らす。”







