自殺

アイツが帰ったあとの部屋は

驚く程『無』だった

数秒前までここにいたのに

こうして形跡があるのに

虚無感が押し寄せた

つまらない人生をこのまま送るのなら

別の世界で幸せになった方が何倍も楽しい

こんな都心に来たのは初めてだった

世の中にこんな楽しいものがあるんだと

感じた

感じてしまった

今から終わろうと思っていたのに

せっかくやっと 決心がついたのに

やっぱり 自分の家の方が安心感がある

でも

ここら辺で騒ぎになったら

色々と面倒くさいことになって ロクに成仏も出来なさそうだ

そろそろ暗くなってきたな

ここは歩道だから ここでは実行できない

もっと もっと もっと

いいところを…

っはあ、はあ…

そろそろしないと

時間が…。

ブーン……

はは、ははは…

いっそのこと このま車に轢かれちゃえば…

…いや

ちゃんと自分の決めた道でしたい

はあ、はあ、はあ…

もう、朝だ

はあ…はあ…

そろそろ、体力が…。