康之
センパーイ
圭介
どした?
康之
今、家っすか?
圭介
ああ、そうだけど?
圭介
何かあったのか?
康之
ちょっと相談というか、聞いて欲しい事ありまして…
圭介
電話するか?
康之
いえ、LINEで大丈夫です。
圭介
で、どうした?
康之
康之
今日の仕事の依頼あるじゃないですか?
康之
あれ、私にやらせてもらえませんか?
圭介
お、やけにやる気だな。別に構わんがどうした?
康之
そろそろ私も独り立ち出来るようにならなきゃと思って。
圭介
うちの事務所やめるのか?
まあ、あのアホ社長じゃ、やる気も起きんだろうけどなw
康之
違うんです。
いつも先輩に迷惑ばかりかけてるんで、これじゃダメだと思って。
康之
康之
それに先輩は今、彼女の事で大変じゃないですか…
圭介
ああ、芹那の事か…
お前にまで心配かけるくらい俺も最近ミスばかりだしな…
頑張れよ。今回は俺が助手やってやるよ。
康之
ありがとうございますm(_ _)m
圭介
依頼者は一癖ありそうだ。無理すんなよ。
康之
はい!よろしくお願いします!
圭介
じゃあ詳しくは明日。
俺はこれからまた病院いかんとならんから。
康之
彼女、早く良くなるといいですね。先輩も無理しないで下さいね
圭介
ああ、ありがとう
俺は田舎の小さな探偵事務所で働いている中年のおっさんだ。
探偵と言っても名ばかりで、いつも依頼は浮気調査か離婚の相談ばかり
いつもダラダラ仕事してたけど、康之が入社して少しは変わったと自分では思っている。
アイツはとにかくやる気と元気に溢れている。
流行りのドラマでも見て探偵に憧れたんだろうが…
よくもまあ、ここまで続いたもんだ。
今回は珍しくちょっと危ない匂いがする依頼だが……まあ、あいつなら大丈夫だろう。
芹那
いつもありがとう❤️
圭介
ああ、こちらこそ
芹那
ねぇ?圭介元気だって言ったじゃん?
圭介
うん。元気だよ
芹那
顔に疲れてるってかいてたよw無理しないで❗
芹那
毎日は大変だよー
大丈夫!私は負けないから💪
圭介
そっか(^-^;芹那にはごまかしきかないね💦
でも、俺は本当に大丈夫!ほら?仕事も康之が頑張ってくれてるから。
芹那
康之くんと一緒に働くようになってから変わったよね!
職場の文句言わなくなったw
圭介
たしかに笑
あいつと仕事してると楽しいんだよね。何か新鮮でさ。
芹那
そっか🎵
私も頑張んなきゃね!
そろそろ寝るね。おやすみ💤
圭介
明日はもう少し早く行くよ。
いつも遅くなって悪いな…
おやすみ🌃💤
はあ…頭の整理がつかん…
あんなに元気に笑ってる芹那が末期ガンだなんてな…
無理して明るく振る舞ってるんだろう
芹那にとって人生最後の男が俺という訳か…
俺は芹那の為に何が出来るんだろうか?
本当は残りの時間の全てを一緒に過ごしたい…
たくさんの思い出を作ってあげたい…
今まで不真面目に生きてきた事にこれほど後悔したことはない
今出来る事に全てを傾けよう
康之
おはようございます!
圭介
おはよう
康之
先輩、寝たんですか?
圭介
ああ、少しな
気にすんな。大丈夫だ。
康之
何か出来ることあったら言って下さいね。
圭介
おう。すまんな。
圭介
圭介
よし、始めるか
昨日の依頼を整理しよう。
康之
はい、お願いします。
圭介
圭介
まず依頼を確認しよう。
圭介
依頼者は「工藤 里美」26歳
職業はIT企業のOL
半年前より同棲中の彼「佐久間 賢二」が家に帰らず連絡もつかない。仕事先に連絡をしてみたが、あれ以来出勤していないとの事。
康之
正し1ヶ月後、彼から連絡のメールがあり、仕事はPCでデータ提出するとの事だった。 それ以来定期的にデータの提出や、メールのやり取りは続いているとの事
圭介
しかし、彼女に関することや、彼自身の事には一切返信はない。
康之
里美さんの唯一の心当たりは、彼の交遊関係。鮫島というチンピラと揉めていると彼が話した。
圭介
この件は警察に相談した方がいいと伝えるが、依頼者は拒否。大事にはしたくない。騒ぎを大きくして、彼の身に何かあると嫌だからとの事
康之
と、まあ、こんなとこですかね?
圭介
うん。よく分からないケースだ。依頼は彼を捜して欲しいと言うなら話は早いんだか…
康之
真実を知りたい…
圭介
そう、彼を捜せば必然的に真実は分かると思うんだけど、彼とはよりを戻す気は無いって事か?
康之
うーん。不思議な依頼ですね。とにかく、まず鮫島という男を捜しますか?
圭介
そうだな。リーダーがそう言うなら任せるよw
康之
ちょ💦止めてくださいよw
圭介
だってお前が仕切るんだろ?
何なりと指示してくれよ
康之
はい、そうでしたね。それじゃ鮫島を捜しましょう!
圭介
了解!
康之
はあ…だめっすね…
手掛かり無しと…
圭介
うーん。依頼者は鮫島は過去にこの店で呼び込みをしていたと話した。しかしどの店に聞いてもそんな奴は雇ってない、そもそもそんな名前も聞いたことがない…
康之
どういう事ですかね?
鮫島は錦町では働いていないと言うことですか?
圭介
依頼者が嘘をつくとは考えられない…かと言ってこの町で誰も鮫島の存在すら知らないとなると…
康之
康之
偽名を使っている?
圭介
可能性はある
康之
依頼者からもらった鮫島の写真は?
圭介
別人…
康之
なるほど…
振り出しに戻ったということですかね…
圭介
いや、そんなことはない。
必ずどこかで繋がるはずだ
圭介
偽名か…それとも康之が言うように、そんな事実は存在しない…
一旦戻って整理しようか。
康之
はい、そうしましょう!
圭介
さてと、次はどうする?
康之
えっと…
康之
行方不明の佐久間の交遊関係を調べてみます。
圭介
そうだな。でも、その前にこの違和感を何とかしたい。
俺はどうしても納得出来ないんだよな。
依頼者は本当に困っているのか?
何か俺達が利用されているような気がしてならない…
康之
康之
か…考えすぎだと思います
康之
依頼者はそんな人ではないと思いますが…
圭介
うーん。まあ、お前がそう言うなら任せるが、気を抜くなよ。もしもの場合も想定して動くといい。
康之
はい、すいません。
慎重に動きます。
圭介
頼んだぞ
康之
はい、では私はこれから聞き込みに行ってきます。
圭介
俺はどうすればいい?
指示してくれ
康之
そうですね。圭介さんは鮫島の件をもう少しあたってくれませんか?
圭介
了解。何か動きがあったら連絡くれ。無理すんなよ!
康之
はい、先輩も気を付けて
結局成果は無しか…
まあ、予想通りだな。
嫌な予感がする。全てがおかしい。
探偵やっててこんなに違和感を覚えるのも久しぶりだ。
康之は本当に真っ直ぐな奴だ
その真面目さが裏目に出なきゃいいが…
そろそろ病院に行かなければ…
今日は早く行くと言っておいて、結局この時間になってしまった。
康之
おはようございます!
圭介
ああ、おはよう
康之
何か進展ありました?
圭介
すまん。駄目だ…
康之
俺の方はちょっと気になる話を聞いて来ました。
圭介
事件に繋がるといいが…
早速聞かせてくれよ
康之
ちょっと会議室にいいっすか?
圭介
で?どんな話だ?
康之
まず、佐久間の件ですが、やはり彼は生きていて、友人達とも連絡を取り合っているようですね。
康之
佐久間の友達の話によると、
①里美さんには悪いと思ったが、急いでいて連絡せずに離れてしまった。
②離れた理由は詳しくは言えない。
③里美さんと連絡を取らないのは、今更気まずくなってしまったから。
との事だそうです。
康之
そして、鮫島についても聞けましたが、友人もそんな人物は全く知らないという事と、佐久間はそんな怪しいやつと知り合いになる事自体ありえないという事でした。
圭介
そうか、しかしなぜその事を依頼者は知らないんだ?
佐久間の友人と依頼者は繋がりがないのか?
康之
そうみたいですね。
里美さんとは話した事はないそうです。
圭介
………わかった。
康之
あ、後もうひとつ…
康之
康之
昨日先輩が帰った後に、依頼者から電話がありました。
圭介
何て言ってた?
康之
進展ありましたか?って事だったんで、佐久間と友人とのやり取りを伝えました。
康之
そうしたら「生きていたんですね!」「安心しました」って驚いてましたね。
圭介
???
圭介
うーん。府に落ちん…
康之
そうですか?
里美さんも、もう少しで解決しそうですって喜んでいましたよ?
圭介
それで依頼は終了でいいのか?
康之
いえ、一応もう少し真相を知りたいと…
圭介
よくわからんな…
俺がおかしいのか?
明日は少し休ませてもらってもいいだろうか?
やはり康之のいう通り疲れてるのかも知れない…
康之
先輩は今大変ですもんね…
任せて下さい。この件はあとは私だけでも解決出来そうです。ゆっくり休んで下さい。
いつものように病院に来てみたけれど
芹那は具合が悪そうだ…
ずっと眠っている芹那を見ると、もう2度と起きないんじゃないかと考えてしまって恐くなる…
病気がわかったあの時
芹那はすでに覚悟を決めていた。
そして、俺にこう言ったんだ…
最後はあなたの手を握っていたい…
ぬくもりを感じたまま逝きたい…
言葉にならなかった…
頷くことしか出来なかった…
この約束だけは必ず守る
何があってもこれだけは…
とうとう病室からも出されてしまった
不安に押し潰されそうだ
そうだ、TV でも観て気を落ち着かせよう
殺人か…
ん?鮫島!!
あの、連続殺人犯…
あやめ川公園…
錦町の裏手の公園か…
あっ!そうか!
何でこんな簡単な事に気付かなかったんだ!
だめだ、焦るな、落ち着け…
よく、考えてみろ…
康之
先輩すいませんm(_ _)m
圭介
あ、康之!ニュース見たか?
康之
え?何ですかそれ?
見てないですよ。
圭介
すまん。今病院なんだ。
後で詳しく話す!
康之
ど、どうしたんですか?
康之
これから里美と会います。
これで解決しそうです。
圭介
そうか、後でまた会えるか?
康之
俺は大丈夫ですよ。
病院終わったら連絡下さい!
圭介
わかった。じゃあ後でな
頭が混乱しそうだ
1つずつ考えよう…
まず、この遺体はもしかしたら佐久間の可能性がある
そうなると気になるのは、会社へのレポート提出や友人とのやり取り
もし、誰かが佐久間の代わりにやり取りをしていたら?
そして鮫島はどうだ?
佐久間と接点があるとすれば聞き込みでも何らかの情報は出てくるはずだ
しかしあれだけ調べても何も出てこない…
誰かが意図的に佐久間と鮫島の関係を作ったとしたら?
でも、何の為に…
そうだ、佐久間の会社から貰ってきた提出文章を見てみよう。
ちょうどカバンに入っていたはずだ
「N物流の依頼についてはこのまま伝えて大丈夫かと思いますのでよろしくお願いします.」
「ご依頼のweb 作成については4,200円/ページとなります.」
何か特徴はないか…
うーん…
そうか、もしかして!
康之が危ない!
圭介
康之!今どこだ?
圭介
おい!連絡くれ!
圭介
もしもし!進藤か?
刑事 進藤
どうした?急ぎか?
圭介
後輩が危ない
刑事 進藤
また、警察無視して危ない捜査でもしてんのか?
圭介
事情は後で話す
栄町2丁目2-1
港新ビル栄町201号
急いでくれ!
刑事 進藤
お礼は高く付くぞ!
圭介
俺もすぐに向かう!
頼んだ!
刑事 進藤
了解
芹那 母
お世話になってます…芹那が…
医者
ご家族の方、こちらにどうぞ…
圭介
え…まさか…
芹那 母
圭介さんもお願いします…
圭介
嘘だろ…
芹那 母
芹那!芹那!
圭介
芹那…
芹那
………
圭介
芹那の手…あったかいな…
圭介
いっぱい頑張ったね…
もう、頑張らなくていいよ…
圭介
芹那…
芹那 母
芹那…
医者
残念ですが…
23時20分 御臨終でございます…
圭介
お母さん……
芹那 母
ありがとうございました…
圭介さんのおかげで幸せだったと思います…
圭介
信じたくないです…
昨日まで普通に会話も出来たのに…
元気に笑ってくれたのに…
どうして…
まだまだ話したいこと一杯あるのに…
あの店のアイス食べに行こうねって言ってたのに…
元気になったら結婚式したいねって言ってたのに…
もう3時……
康之は大丈夫かな…
後輩を見捨ててしまった…
せめて無事でいてくれ
康之も進藤も連絡は無し…
行かなきゃ…
圭介
進藤すまん…
大丈夫か?
刑事 進藤
ちょうど良かった。
今連絡入れるところだった
圭介
すまない。彼女が亡くなって…行けなかった…
刑事 進藤
そう言うことか。
なら仕方ないな。
刑事 進藤
とりあえず昭和病院に来い
話はそれからだ。
圭介
康之に何かあったのか!
刑事 進藤
ああ、大丈夫だ。心配するな。命に別状はない
圭介
くそっ!俺のせいだ!
刑事 進藤
いいから早く来い
圭介
わかった。すぐ行く
圭介
康之!!
康之
先輩…すんません…
圭介
謝るのは俺の方だ
本当に申し訳ない
刑事 進藤
傷は深くない。
左下腹を一突きされたが大丈夫だろう。
圭介
くそっ!
康之
大丈夫です。
それより話が…
圭介
今は無理するな。
康之
はい、すいません
圭介
進藤、少し話がある
刑事 進藤
ああ、聞かせてくれ
既に容疑者は確保している
圭介
そうか…良かった。
刑事 進藤
一体どうなっているんだ?
なぜ、俺に相談しなかった?
圭介
本当にすまない
そこまで大きな事件になるとは思わなかった…
刑事 進藤
お前らしくないな…
いつものお前じゃ考えられん
康之
すいません。私が悪いんです…この依頼は私が無理矢理頼み込んで、私が担当してました。
康之
先輩すいません。
里美は…元彼女なんです…
久しぶりに会ってカッコつけて私にやらせて下さいなんて言ったからこんな事になったんです…
圭介
そうか。安心した。
依頼人を庇っていたなら話は分かる。全く違和感を感じていないお前に不安になったが、そうではなかったという事だな。
刑事 進藤
どうしてわかったか教えてくれないか?
圭介
容疑者に合わせてくれ
刑事 進藤
また、無茶いう奴だなw
そう言うと思ったがな
圭介
じゃあ、行こうか…
刑事 進藤
ああ、頼んだぞ
里美
あ…探偵さん…
圭介
おはようございます。
正直に話してもらえませんか?
里美
嘘はついてないです。本当です。
圭介
康之をなぜ刺した?
里美
康之くんが、警察に行こうと言って離してくれなかったから…
刑事 進藤
そんなのは人を刺す理由にならん!!いい加減にしろ!
何で警察に行こうと言われたか分かってるんだろ!
里美
いえ、私もいきなり言われたので動揺してしまいました。
心当たりが無いのにどうして警察に行かなければならないのかと焦ってしまいました。
刑事 進藤
鮫島 結城と結託して佐久間を殺したのはお前だろ?正直に話せ!
里美
違う…話を聞いて!
刑事 進藤
どういう事だ?言ってみろ
里美
鮫島という名前は佐久間から聞いたことあるだけで、話した事もないです。
それにこないだの遺体は半年も前のものでしょう??
里美
佐久間の会社や友人に聞けばわかりますよ。ついこの間まで連絡を取り合っていたんですから!
彼は生きている!
刑事 進藤
それは事実か?圭介?
圭介
進藤、事実だ
刑事 進藤
え?
圭介
作られた事実と言ったところだな。
刑事 進藤
どういう事だ?
圭介
工藤 里美さん
佐久間を殺したのは貴方ですね?
里美
は?話聞いてたでしょ?
バカじゃないの??
圭介
いや、最近私もダメダメでね…こんなに簡単なトリックに気付く事が出来ませんでしたよ
里美
何言ってるの?佐久間を殺したのは鮫島よ!
圭介
貴女の真実とやらを説明しましょうか?
里美
いいわよ。探偵ごっこに付き合ってあげるわ。
圭介
貴女は佐久間とうまくいってなかった。そうだね?
里美
普通に仲良くしてたわ。くだらない!
圭介
貴女の友人A子さん。そして、佐久間の友人Bさんから話を聞いたところ、貴女の浮気が原因で喧嘩していたそうだが?何なら彼らを連れて来ましょうか?
里美
嘘を言ってるだけじゃない?
証拠でもあるわけ?
圭介
LINEのやり取りが残っている。そう、彼らに送った内容がね。
里美
そう、ならそれでいいわ。
でもそれと事件は関係ないでしょ?単純な人ねw
圭介
半年前、激しく言い合った際に、家にあった包丁で佐久間の右下腹を刺した
圭介
我に帰ると佐久間が死んでいることに気付いた貴女は車で彼の遺体を運びあやめ川公園の中沼に埋めた。
圭介
そう、中沼は冬季は止水されているのを知っている貴女は土を掘り、彼を埋めたんだ
圭介
彼と揉み合った際に貴方は利き手である左手に怪我を負った。深い傷だったのでしょう?貴女が私に依頼をしてきた時にも、お茶を飲もうとしてコップを倒した。今でも力が入らないんでしょう。
圭介
貴女は必死に証拠隠滅を図った。しかし、身代わりの犯人までは仕立てられなかった。そんな時、TVで流れた鮫島容疑者を見て瞬時に閃いた。
圭介
たまたま録画してあった番組の間に上手くニュース番組も録画されていた事に気付いた貴女は鮫島の写真をスクリーンショットに撮り、加工した。
圭介
鮫島を犯人にするにはどうしたらいいか?貴女は我々探偵を上手く使ってやろうと、元彼だった康之がいる探偵事務所に依頼を持ち掛けた。
圭介
元彼なら何かあった時に何とかしてくれるだろうと考えたんでしょう。
圭介
そして貴女は公園に行き、土を掘り、水のバルブを開いた。時間をおいて水の力で遺体が浮き上がるのを計算してね。
圭介
貴女の予想通り、上手く遺体は浮き上がり、連続殺人の犯行現場に近かったという理由で鮫島に容疑がかかった。
圭介
そう、全ては貴女の計算通りに…
圭介
これが貴女の真実です。
里美
ほんと、良くできたシナリオねw彼は生きている。所詮探偵さんの推理止まりという事ね。
圭介
彼が生きているかのように工作した。これが事実だとしたら?
里美
探偵ごっこももう飽きたわ。そろそろいいでしょ?
圭介
ああ、もうすぐ終わるよ。
圭介
貴女がLINEで友人に送った文章を見てもらえるかな?
ちょっと郁未聞いてよ?
浮気バレたっぽくてさ.
マジあいつウザいんだけど消えてくんないかな?
暇ならご飯付き合ってよ.
返事まってまーす.
圭介
このLINEは貴女が送ったもので間違いないですね?
里美
そうよ。それがなんだっていうの?
圭介
うちの事務所に依頼してきた時のメールも見てもらえるかな?
工藤と申します.
彼が行方不明になりまして…
お手伝い頂きたいと思いまして連続しました.
依頼内容は真実を知りたいという事です.
よろしくお願いします.
圭介
間違いないですね?
里美
そうよ。何なの?
圭介
そしてこれが、佐久間さんが勤務先に送っていたメールです。
「N物流の依頼についてはこのまま伝えて大丈夫かと思いますのでよろしくお願いします.」
「ご依頼のweb 作成については4,200円/ページとなります.」
刑事 進藤
特におかしいところは見当たらんが??
里美
そうよ。くだらない
圭介
佐久間が生前、友人に送ったメールや、会社のメールには語尾が必ず『。』で締められていた。
しかしこのメールは貴女が送ったものも全て『. 』で締められている。
里美
…………
刑事 進藤
!!!
圭介
もう、わかったな?
佐久間は死んでいる
刑事 進藤
しかし、佐久間のメールは彼の家から送信されているんだよな…
佐久間が居なくなってからアパートの大家も鍵を替えたと言ってるし、彼以外送信出来ないと思うが…
里美
その通りだわ。彼の家にはあれ以来入ってないわ!
とんだ勘違いだわ!
圭介
データは容易に入手出来た。そう、貴女も佐久間もIT業界のベテランのエンジニア。
圭介
クラウドストレージ
そして、マクロを組んでいた
刑事 進藤
なんじゃそりゃ??
圭介
貴女と佐久間はお互いにデータを共有できるストレージを利用していた。そして佐久間のPCは保存されたデータを自動的に決められた相手に送信出来るようにプログラミングされていた。
圭介
そう、貴女は彼を装いメールをする事が容易に出来たと言う訳だ。
里美
…………わかったわよ
里美
もう、いいわ……
圭介
貴女は利き腕の左手で佐久間の右下腹を刺した…
しかし左手を負傷したせいで、不自由が残った。
康之を刺したのは右下腹。左手では刺すことは出来なかったんだろう。
メールは貴女が送信したと解析出来た。死体は佐久間と断定した。鮫島は右利きという事がわかった……
里美
もう、いいって!
里美
あの康之のアホのせいだわ💢
里美
全て、うまく行ってたのに…
あいつがじゃましたのよ💢
警察に行こうだなんて、よくも私に言えたもんだわ💢
刑事 進藤
いい加減にしろ💢💢
圭介
お前のように開き直る奴は許さん。
人の命を何だと思っているんだ💢必死で生きようとしてる人もいるんだ💢
どれだけ願っても、亡くなってしまう命があるんだよ💢
里美は殺害を認めた
自分の不貞を棚にあげ人殺しをするなんて、本当に狂った女だ
しかし今回は本当に危なかったな…
俺のせいで大切な後輩の命が奪われるところだった…
こんな時、芹那なら何と言ってくれただろう…
頑張ってって背中を押してくれたんだろうな…
ごめん、芹那…
もう、潮時なんだ…
刑事 進藤
圭介、ご苦労さま。
圭介
進藤も康之を助けてくれてありがとう。
康之
ご迷惑かけてすいませんでした💦
圭介
康之、お前、彼女が犯人だとわかって行ったんだな。
よくやった。もう、お前ひとりでも大丈夫だと確信したよ。
康之
先輩が言ってた違和感の意味がやっとわかりました。
圭介
康之…俺は会社を離れる…
康之
何言ってるんですか!
俺ひとりじゃ無理ですよ。
圭介
大丈夫だ。心配するな。
康之
何でなんですか?
辞める理由が知りたいです…
圭介
俺はお前を見捨てたんだよ…
仕事を放棄したんだよ…
康之
え、どういう事ですか?
圭介
ちょうど康之が危険な目にあっている時に、俺はお前を見捨てたんだよ…
康之
…よくわかりません…
刑事 進藤
康之くん…
刑事 進藤
ちょうど君が危険な目にあっている時、芹那さんが…亡くなったんだ…
康之
え…芹那さんが…
康之
そんな…急に…
圭介
そうだな。
俺もこんなに早く逝ってしまうなんて考えてもいなかった…
圭介
だけどな、康之…
だからと言ってお前を見捨てた事実は変わらないんだ…
刑事 進藤
圭介、もういいだろ?
落ち着いてからゆっくり考えるといい。
康之
まだまだ先輩に教えてもらわなきゃならない事がたくさんあります。
それに、今回は自分が勝手に起こした行動が裏目に出ただけです。先輩のせいじゃありません!!
圭介
康之、ありがとう。
また話を聞かせてくれ。相談にもいつでも乗るよ。
でも、もう決めた事なんだ…
本当にすまんな…
康之
先輩……
刑事 進藤
まあ、お前ならまた戻ってくるさ。変な正義感だけはあるからな。
圭介
そうかもな…
康之
先輩、待ってますよ。
圭介
自分を許せる日が来るんだろうか…
しばらくは懺悔の毎日だ…
圭介
圭介
それじゃまたな。
芹那のところに行くよ…
あれからもう半年か……
あっという間だったな…
ニュースで見たけど、進藤がどでかい事件を解決したみたいだな。
さすが有能な元相方だ…
しかも、康之の推理がドンピシャだったらしい。
さすが有能な元後輩だ…
俺はすっかり隠居おやじに成り下がってしまったな…
まあ、本来の俺はその程度の実力だ。
周りに恵まれてただけなのに調子に乗っていただけなんだ。
芹那はどう思っているだろう
しっかりしなさいと怒っているだろうか…
貴方らしいねって笑っているだろうか…
思い出の丘に来てみたけど
やっぱりまだまだキツいね…
まだ、芹那から離れられないみたいだ…
なあ芹那?
俺はまた立ち上がれるかな?
あいつらと一緒に頑張れるかな?
いつになったら涙は渇くのだろう
いつになったら芹那を思い出に出来るのだろう
なあ芹那?教えてくれないか?
もう、ここには来ない事にするよ
ありがとう…さようなら芹那…
2018年 8月 太陽の丘にて
刑事 進藤
おーい圭介!
刑事 進藤
ニュース見たか?
さすがお前の後輩だな
刑事 進藤
もうそろそろいいだろう?
しっかり頼んだぞ!
康之
先輩!
康之
ちょっと相談と言うか、聞いてほしい事がありりまして…
圭介
懐かしい言い方だなw
電話するか?
康之
いえ、LINEで大丈夫です!
康之
また明日からよろしくお願いしますm(_ _)m
圭介
お前の足手まといにならんといいけどな…
康之
何を言ってるんですか。先輩の残したメモ大活躍でしたよ!
康之
また一緒に仕事出来ると思ったら嬉しいです。
圭介
じゃあメモがあれば俺は要らんだろw
康之
いや、そう言うことじゃw
圭介
色々とすまなかったな…
また、よろしく頼むよ。
康之
はい、よろしくお願いします!
ありがたい事だな…
こんな俺でもまだ必要と言ってくれる仲間がいる。
芹那がいつも言ってたな…
どんな小さな依頼でも、その人にとってはとても大きな事件なんだよって…
さあ、また明日から頑張ろう
芹那…見ていてくれるかな…