まふまふ
まふまふ
そう言って、俺を見る
起きたばかりの君は不安そうだった
そらる
そらる
そらる
飽きるほど言った言葉に、力を込める
できるだけ冷静に
泣かないように
まふまふ
咄嗟にまふが呟いた
まふまふ
まふまふ
それは昨日をなぞるような一言
少し滲む視界を無視して
そらる
そらる
と呟いた
俺たちの早朝はこうして始まる
縫い合わせるように、昨日との共通点を探して
なんで、って?
──君には記憶がないから
そらる
まふまふ
昨日もそれだったね
君は毎朝、和食派なんだ……
そらる
キッチンに行くと、まふが問いかけた
まふまふ
少し不安そうな声に、耳を傾ける
まふまふ
そらる
恋人なんだよ…ずっと好きです、って言ってくれたじゃん……
そらる
そらる
苦しい思いを閉じ込めて、また君に嘘をついた
まふまふ
まふまふ
まふまふ
「好きになったから」と、君は言った
そらる
そらる
緩く笑って言うと、まふもふわりと笑った
その笑顔は、これまでの思いをかき消すほど、美しかった
医師
病院の医師が、まふに言う
昨日も来たのに。
そらる
まふまふ
容赦なく、まふが言う
すると、柔らかい笑顔で医師が言った
医師
まふまふ
医師
まふまふ
そう言って、いろいろと調べていく医師
少しは覚えていてよ、
俺との幸せな過去も
初めて出会った日のことも
時に、喧嘩した日のことも
医師
医師
そらる
まふまふ
病院を出ると、二人に会った
さかた
うらた
元気に二人が話しかけてくる
そらる
そらる
まふが不安にならないように、俺は必要以上に明るく振る舞う
うらた
さかた
何気なくまふを見ると、怯えるような顔をしていた
そらる
そらる
まふまふ
そらる
まふまふ
その目は、威嚇する猫のようで
二人は絶句していた
さかた
さかた
相当動揺しているようだ
うらた
さかた
冷静に自己紹介をした
二人の顔は、なんとなく切なげで
そらる
そらる
届いて欲しい
そう願って、まふを説得した
まふまふ
まふまふ
まふが言うと、二人がホッとしていた
さかた
うらた
さかた
そらる
まふまふ
気づいたときには、もう遅い
まふまふ
まふまふ
まふまふ
隠していたのに
まふを守るために
そして………
受け入れられない、俺を守るために。
まふまふ
俺を呼んだ
そらる
まふまふ
やっぱり不安そうな目。
君のそんな顔は…見たくないけど
そらる
まふが泣き崩れて
さかたが謝って
浦田君がまふを慰めた
……認めてしまった
まふは……記憶喪失
記憶は一日限りで
思い出すことは二度とない
そらる
うらた
そらる
さかた
そらる
誰への言葉でもない、ただの独り言
バカみたいな、空回りの怒り
まふまふ
まふまふ
訴えるように言うまふに、ハッ、とした
そらる
そらる
二人に会釈して、まふの手を取って歩いた
まふまふ
まふが呟いて、俺は前を向いた
まふまふ
ニコッと笑うまふが愛しくて
記憶が無くならないように、
今日がずっと続けばいい、と願った
まふまふ
まふまふ
まふまふ
まふの横顔が夕日に照らされて、泡のように儚く見えた
そらる
そらる
不安になって、まふに聞く
一番不安だったのは、俺だったのかもしれない
まふまふ
まふまふ
でも、君は記憶が無くなるから………
……泣いてしまうんじゃないの?
そらる
不安なんだ。
君が泣いたら、俺も悲しいから。
訴えるように俺は叫んだ
まふまふ
まふまふ
まふまふ
……そっか。
それもそうだね……
いつだってまふは、初恋を俺にしてくれた
毎朝の告白を、俺は聞いていた
そらる
そらる
今日寝たら、また俺を忘れるけれど
もう、そんなことどうでもよくなっちゃった……
そらる
早朝
まふまふ
まふまふ
そう言って君は、やっぱり俺を見る
不安そうな顔も変わらない
そらる
そらる
そらる
言い飽きた言葉も、今なら愛せる
今日はおまけに、ふわっ、と笑って見せた
まふまふ
咄嗟にまふが呟いた
まふまふ
まふまふ
昨日も一昨日も聞いた言葉を噛み締めるように、俺は笑った
そらる
これから何回、このやり取りを重ねる?
100回?1000回?いや、それ以上でしょ?
これからも、呆れるほど重ねよう
幾度もの、初恋を。
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笑笑笑
w
Skymoonで心中しよう笑